ル・マンのサルト・サーキットを走るポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのポルシェ963 10月7日に、WEC世界耐久選手権ハイパーカークラスにおけるポルシェ963のファクトリー・プログラムの終了を発表したポルシェ。これを受け取材に応じたモータースポーツ責任者であるトーマス・ローデンバッハは、将来的な復帰の可能性を排除していないと述べた。
ポルシェはファクトリー活動をIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とABB FIAフォーミュラE世界選手権に再集中させ、2023年のLMDhプラットフォーム導入以来参戦してきたWECにおけるポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのファクトリー・プログラムを、2025年末をもって終了することを選択した。
Sportscar365を含む3つのメディアへの質疑応答でローデンバッハは、今回のファクトリー・プログラム撤退は、WECへの最終的な「別れ」ではないことを強調した。
「耐久レースはポルシェブランドにとって特別な意味を持つことは間違いない。もちろん、将来的にWECに復帰する可能性も排除しない」と彼は述べた。
「我々はこれまでもそうだったように、このスポーツを継続的に注視し、ルールメーカーとのコミュニケーションを維持していく」
ポルシェ、特にローデンバッハは、早ければ2030年のWECとウェザーテック選手権シーズンから導入が見込まれる、LMDhとLMHを単一の技術規則に統合する統一トップクラスプラットフォームの推進において、中心的な役割を果たしてきたことで知られている。
ポルシェが2026年のファクトリー参戦から手を引く決断をしたことを受け、ローデンバッハは、今後ジェネシス、マクラーレン、フォードがトップクラスのレースに参戦することを踏まえ、ドライバーが直面する可能性のある状況を「充分に認識している」と述べた。
Sportscar365は、IMSA GTPポイントリーダーのマット・キャンベルとマシュー・ジャミネを含む、少なくとも3人のポルシェLMDhファクトリードライバーが、他のメーカーのレースに参戦するために契約を解除する選択肢を持つ可能性があるものと理解している。
ジャミネは来年WECにデビューするジェネシスに移籍すると噂されており、キャンベルはマクラーレンと、フェリペ・ナッセはフォードと交渉中だった可能性があると見られている。
また、ウェザーテック・チャンピオンシップのカスタマーチームであるAOレーシングのテスト参加のため、富士スピードウェイでの直近のWECレースを欠場したミカエル・クリステンセンは、2026年のポルシェ・ペンスキーの統合プログラムには復帰しない可能性が高いと考えられている。
「我々は世界トップクラスのスポーツカードライバーを擁することができて幸運だ。この状況は充分に認識している」とローデンバッハ。
「現段階で具体的な発表をするのは時期尚早だが、もちろん協議は進行中だ」
「2026年のラインアップは、11月下旬のポルシェ・ナイト・オブ・チャンピオンズの頃に発表する予定だ」
「同時に、今シーズンに集中し続けることも重要だ。バーレーンで開催されるWEC最終戦とロード・アトランタで開催されるIMSA最終戦の両方で、優勝とタイトル獲得の可能性はまだ残っているのだから」
ポルシェは、チーム・ペンスキーとのパートナーシップを継続し、来年もウェザーテック選手権へのファクトリー参戦が確定したと発表する以外、具体的な期間については明らかにしていない。
「ハイブリッドの963によるIMSA参戦は、引き続きファクトリープログラムであり、GTレースにも積極的に参戦していく」とローデンバッハは付け加えている。
[オートスポーツweb 2025年10月08日]