
「デビュー作の『毎度おさわがせしますIII』のときは、まだ中学生。台本にはふだん使わない珍しい漢字が多く、しかもお芝居の経験がなく、関西弁も抜けきれませんでした。撮影現場では私だけ休憩時間もなく、演技やイントネーションの練習ばかり。しかも朝が早い。『もう、お芝居の仕事は嫌だな……』って思っていたんです」
こう語るのは、立花理佐さん(54)。ドラマに苦手意識を抱いていたときに、映画『ビー・バップ・ハイスクール』の仕事が舞い込んだ。
「当初は、主題歌を歌うだけだと聞いて、喜んでいたんです。それが何日かすると、芝居をすることに。あまり乗り気ではなかったんですが、『もう決まったことだから』と聞き入れてもらえませんでした」
暗い気持ちで現場入りしたが、初日から居心地がよかったという。
「監督は『理佐はお姫様だから、明るく、かわいくしていればいいから』と言ってくれて、安心しました。(仲村)トオルさんも、私のことを先輩だと勘違いしてくれて、すごく丁寧で。あとで『新人なんです』と伝えると『ウソ! 気を使っちゃったじゃん!』と言われてしまいました。トオルさんとはキスシーンも予定されていたのですが、監督が直前に『いらない』と、中止に。トオルさんからはあんまり残念がられませんでしたけど(笑)」
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撮影現場は、まるで学校に通っているかのように楽しかった。
「出演者とは、毎日、一緒にお弁当を食べていました。ロケ先には女性ファンが多かったから『みんなの箸、売ったらいくらになるかな?』って話題になったりしていました」
楽しいだけではなく、苦労もあった。
「窓を開けたらトオルさんの姿が見えて『あ』と言うシーン。『あっ』『あ?』『あ!』と何度やっても『それじゃない』ってNGになって。けっきょく、『4個前の“あ”がいちばん近い』と言われましたが、私もスタッフも正解がわからないままでした」
小沢仁志の頭で大きなすいかを割るシーンも忘れられない。
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「私が後ろからすいかを振り下ろすんですが、首を痛めないか心配で。監督とは『仁志兄ちゃんは知ってるの?』『知らないからそのリアクションが見たいんだ』『けがしたら大変じゃない』『俺が責任を持つから大丈夫。いいからやれ!』と押し問答が続きましたが、いざ本番では、キレイにすいかが割れたんです。でも、あれだけもめて、仁志兄ちゃんも痛かったシーンでしたが、全カットされていました(笑)」
『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭』(1988年)
漫画『ビー・バップ・ハイスクール』を原作とした実写版映画シリーズ第5弾。ケンカに明け暮れるヒロシ(清水宏次朗)とトオル(仲村トオル)が主人公だったが、本作ではヒロシが留置場にいる設定でおやすみ。ヤンキー映画の元祖的存在。
【PROFILE】
たちばな・りさ
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1971年生まれ、大阪府出身。1986年、ロッテのCMオーディションのグランプリを獲得したことを機に芸能界に。俳優、アイドルとして幅広く活躍する。
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