
WBCが開幕。早くも大谷翔平がホームランの量産態勢に入った。大谷の活躍を語る上で欠かせないのは、強靭なフィジカルのみならず、ここ一番で発揮される驚異的な集中力だろう。大谷はなぜ、大舞台で120%の力を発揮できるのか?
そのヒミツを解き明かすカギがある。大谷がメジャーリーグ挑戦前から愛読している、明治の思想家・中村天風の教えだ。
大谷翔平も読んでいた中村天風の教え
大谷の日本ハム時代の恩師・栗山英樹氏は、以前ある大学の特別講義で、大谷の愛読書として中村天風の著書を挙げている。これをきっかけに近年、中村天風の教えが再注目され、関連本の出版も相次いでいる。
中村天風は、「絶対積極」という概念を提唱。「相手に勝ちたい!」という気持ちから解き放たれて、今ここにある物事に全集中している状態が絶対積極だ。
昨年10月発売『中村天風 人生の「主人公」になる教え』の著者・堀田孝之さんは、絶対積極について次のように語る。
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「中村天風の絶対積極をイメージするのに役立つのが、宮本武蔵の『五輪書』です。『五輪書』には、『有構無構(構えあって構えなし)』という名言が記されています。武士の果し合いにおいて、未熟な剣士は『相手に勝ちたい』という気持ちがあるため、斬る行為に執着してしまいます。
すると、動きに隙が生まれ、結果として負けてしまう。一方、武蔵のような達人は、相手の剣さばきを一瞬で感知し、スッと剣を差し出すだけで勝ちを収めることができる。このイメージこそ、絶対積極なのです」
絶対積極の境地
絶対積極の境地とは、どんなことが目の前で起ころうとも、心が泰然として揺らぐことのない状態。そこに「相手に勝ちたい」という雑念はない。雑念がないからこそ、相手の動作を的確に感知し、最善の方法で対応することができるのだ。
確かに大谷は、どんなに緊張する場面でも、心が萎縮したり高揚したりすることなく、落ち着いた状態をキープしているように見える。絶対積極の境地でバッターボックスに立っているのだ。だから高い集中力を維持でき、球種を的確を見極め、武蔵のような鋭い一振りを繰り出せるのである。結果、特大ホームランというわけだ。
我々の実生活に照らし合わせてみると、仕事でも人間関係でも、「誰かに勝ちたい」という雑念があるほど、まわりが見えなくなり、物事がうまく進まなくなる。
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「構えあって構えなし」の境地で、周囲が何をしていようと心を揺らがせず、目の前のことに向き合うことが、集中力を高めて良い結果を生み出す鉄則なのだ。我々も、宮本武蔵、中村天風、そして大谷翔平へと続く偉人たちの心構えを学びたいところだ。
