
世界自然遺産の小笠原諸島が揺れています。原発から出る「核のごみ」の最終処分地として、政府が東京・小笠原村に申し入れた南鳥島での調査。「観光客が減っていく」など不安の声も聞こえてきます。
■“核のごみ”小笠原村民は賛否 南鳥島の調査申し入れ
東京都心から南に約1000キロ。世界自然遺産に登録されている小笠原村。
イルカやクジラ、色とりどりの魚が住む海に囲まれ、亜熱帯の独特の生態系が魅力的な美しい島々から成ります。
この小笠原村が、「核のごみ」をめぐる議論の最前線に立たされました。
「核のごみ」とは原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物のことで、放射線量が十分に下がるまで10万年もの時間が必要です。
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政府が、この「核のごみ」を10万年間地下に閉じ込める最終処分地を選ぶにあたり、小笠原村に南鳥島での「文献調査」を申し入れたのです。
父島では14日、住民向けの説明会が行われ、賛成・反対両方の声が聞かれました。
住民
「(電気を)享受しているのはみんな同じなんだから。処分場を決めないといけないわけだから」
住民
「核のごみというのは、いかにもイメージが悪すぎる」
「核のごみ」の最終処分地は、これまで自治体が自ら候補に名乗りを上げる“手挙げ方式”がとられてきました。
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文献調査を受け入れるだけで、自治体は国から20億円の交付金を受け取れるのです。
ところが…
高知県 橋本大二郎知事(当時)
「非常に苦しい地方財政を逆手にとって、お金でほっぺたを叩いてやっていくような原環機構(NUMO)なり、国の対応には強い疑問を感じます」
最初に手を挙げた高知県・東洋町は立候補を撤回。
北海道と佐賀県の3つの自治体では、「文献調査」は行われたものの、知事らの反対で、第二段階ボーリングを行う「概要調査」に進むかどうかは不透明です。
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そんな中、初めて政府から名前を挙げたのが“日本最東端の島”南鳥島でした。
自衛隊員や気象庁の職員が駐在している、一般の人は住んでいない国有地です。
一般市民が暮らす父島から約1200キロ=東京から韓国のソウルまでと同じくらい離れていて同意が得られやすいと思いきや、父島の住民からは心配する声が多く出ています。
■核のごみ「風評被害」懸念も 小笠原村に調査申し入れ
父島で約50年、民宿を営む笹本好幸さん(84)。
「これが今晩のメニューです。ソデイカ、マグロ」
自慢は、父島の漁港から仕入れる新鮮な魚を使った料理です。
笹本さんは、こうした海産物に「風評被害」が出る可能性があるといいます。
笹本さん
「魚にまず(風評)被害が起きると思います。観光客の方が減っていくのではないかなと」
「息子と孫たちの代に『なんでこういうことしたんだ』と言われる状態じゃ困りますから」
「賛成派ではない」としながらも、文献調査を受け入れると国から交付される20億円にはメリットがあると話す人も。
父島の住人
「買い物の値段見ていただくとわかる通り、物価も高い」
こちらの自動販売機では水は190円。
本土からの輸送費などによるあらゆる物の物価高対策に、交付金をあててもらえるなら魅力的だと言います。
最終処分地では、ステンレスで覆われた強い放射線を発する核のごみを、地下300mより深い地点に埋めて処分しますが、南鳥島は適した場所なのでしょうか。
■南鳥島「最終処分地」に適している?“核のごみ”調査申し入れ
東海大学・海洋研究所の平朝彦所長。20年以上前から、南鳥島が最適だと主張してきました。
東海大学 海洋研究所 平朝彦所長
「日本にとってはまさに唯一の安定した場所」
南鳥島は1億5000万年が経った、地球上でもっとも古い太平洋プレートの上にあり、「核のごみ」が安全な放射線量になるまでの10万年間、地震や火山活動の影響はほぼ受けないといいます。
さらに…
東海大学 海洋研究所 平所長
「ここの地層は玄武岩で、海底から吹き出してきた溶岩から成り立っています。その上にサンゴ礁から作った石灰岩という石が乗っかっている。割と水が通りやすい状態で放射性廃棄物を冷やしたり、非常に良い特性があると思っています」
一方、この地層こそが最終処分地として不安定な要素になり得ると言う専門家もいます。元新潟大学名誉教授の赤井純治氏は…
地質学に詳しい 元新潟大学名誉教授 赤井純治氏
「(南鳥島は)火山で岩質が非常にもろい。山体崩壊もあり得る。そういう所に数百メートルの大きな空間を作るのは論外ではないかと。もし(放射性廃棄物が)漏れたら、太平洋全体に放射能汚染が広がることになる」
小笠原村が合意すれば、国は「文献調査」に乗り出すことになります。
