写真 2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(40歳・以前は小林悠として活動)。
20年間生活した東京をあとにして、故郷北海道で自然や犬との気ままなシンプルライフを楽しむアンヌさん。本連載では、40代の今だから感じる日々のあれこれを綴ります。
第82回となる今回は、Netflixドラマ『地獄に堕ちるわよ』、そして細木数子氏について綴ります(以下、アンヌさんの寄稿です)。
◆いろんな意味で度肝を抜かれた『地獄に堕ちるわよ』
今、話題沸騰の『地獄に堕ちるわよ』。Netflixがあの超有名占い師、細木数子氏の生涯を描いた長編ドラマです。
戸田恵梨香さんが演じるなど、放送前から「気になる!!」と思わせるコマーシャルが印象的。
私も観ちゃいましたよ。一気見でしたよ。
実話を基にした虚構である、との前置きがあるものの、昭和から平成へ駆け抜けたあの時代の空気、独特の存在感の強さ、そして「断言する力」に、思っていた以上に心を持っていかれてしまいました。
賛否両論あるとは思いますが、自分の才覚で成功と失敗を繰り返しながら貪欲にすべてを手に入れようとするこんな女性はなかなかいない。いろんな意味で度肝をぬかれました。
私は今40歳。思い返せば幼い頃、細木数子氏をテレビで観ない日はありませんでした。占いでどきっとするような凄みを見せるのみならず、エプロンを身につけて家庭料理を披露する姿などがやけに印象的だった記憶が。
そうそう、彼女にはお気に入りの男性アイドルがいて、あからさまに「可愛い可愛い」といつも口にしていたなあ。
大丈夫なのかと幼心に心配になりながら観ていましたっけ。でもそれがなぜか誰からも止められることがない、「非常に特殊な存在」として認識されていたのは、子どもながら不思議だと感じていました。
◆親友の口から「細木数子」の名前が!
さらにはっきり目に焼き付いている光景は、地元スーパーの書店平台にずらりと並んでいたあの本たち。
入り口もしくはレジ近くの非常に目立つ位置にありました。なぜか今でも鮮明に覚えていますが、私が夏休みの自由研究用に本を選んでいたある日、目の前で近所のご婦人がひょいと「六星占術」の本を手に取りまっすぐレジに歩いていったことがありました。
表紙には細木数子氏がほほえむ写真とともに水星人、土星人、などの文字。
そんなさまざまな印象がありながらも、これまで六星占術の本を手にする事はなかった私。
しかし先日、友人とこのドラマの話題になりました。少し私より年上の親友に、非常に面白かった旨を伝えたところ、「あ。私、細木数子さん、昔めちゃくちゃ信じてたよ」「ていうか今も結構好き。毎年本買っている!」と彼女はさらっと言うではないですか!
頻繁に会う友人でしたが彼女の口から「細木数子」の名前がでるのは初めてだぞ!! 興味がむくむくとわいた私。「え、めちゃくちゃってどれくらい……?」と聞けば、「全部!引っ越しも仕事も恋愛も、全部それで決めていたかもー!」と明るく答える彼女。
◆六星占術のサイトで自分の運気を調べてみると…
実はこの友人、私の周りでも指折りの“うまくいっている人”。結婚生活も順調で、仕事も安定していて、人間関係も穏やか。お子さんもとっても良い子、そして彼女はどこにいっても人気者。
自他共に認めるいわゆる「幸せな人」なのです。
驚きを隠せなかった私に、彼女が六星占術サイトのURLを送ってくれました。無料で自分が「何星人」なのかを判定してくれる箇所があるので、見たみたら? とのこと。
どれどれ……と私の生年月日を打ち込んでみたところ……なんと、今の私の状態をバッチリ言い当てる文言がずらずら並んでいるではないですか!
しかも今大殺界ならぬ、中殺界の時期とのこと……。え!!(殺界とは六星占術においてよくないとされる運気の流れを指すとのこと。そもそも六星占術とは細木数子氏が、中国古来の易学などをもとに提唱した占いとのことで一種の統計学のようなもの、とされています)
「ズバリ言うわよ」ならぬ、ズバリズバズバ「当てられている……!」と呟きながら読みふける私。
もちろん、たまたま自分の状況に当てはまる言葉が並んでいて私の琴線にふれただけ、かもしれませんが、はい、気づけば、月額500円の課金をしていました。
だって相性占いとか、毎日何に気をつけたらよいのか、まで教えてくれちゃうのよ……。あとね、アラフォー以上の女性はホルモンバランスも変わってくるし、仕事がある人は立場も変わってくるし、子どもがいる人はちょうど受験とも重なったり、夫婦関係や親子、親せき関係だって変わってくる。
大変な時期に、注意されたり励まされたりするのがどれだけ活力になるか……そこらへんのツボ、細木先生は心得ていらしたに違いない……。
◆細木数子氏、恐るべし
六星占術のサイトには、「六星占術は人生の羅針盤。答えではなくあくまで幸せな人生を送る為のヒント。あなたの明日が幸せになる“道しるべ”になりますように」との文字。そうなのです。ちょうどよい距離感を忘れてはいけない。
私の親友もどうやらよいエッセンスを取り入れて、何か嫌なことがあっても「今大殺界かな? だったら仕方ないかなあ〜?」くらいの気持ちで向き合っていたそう。このポジティブシンキングが良いのかも。
いやしかし、幼いころ、「この本はどんな内容なの……?」くらいに思っていたはずなのに、実際課金することになった40歳のわたし。
Netflix、すごすぎる。そしてなにより、死後も私たちの心を掴んで離さない細木数子氏、恐るべし。
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne