初日で首位に立ったオリバー・ソルベルグ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2026年WRC世界ラリー選手権第6戦『ラリー・ポルトガル』のデイ1が5月7日、ポルトガル中部の古都コインブラ近郊で実施された。TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のオリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)がSS2でベストタイムを記録して首位に立ち、TGR-WRT勢がトップ8に5台全車が顔を揃える好スタートを切った。
今大会は、ヨーロッパ大陸では今シーズン初となる本格的なグラベル(未舗装路)ラリーだ。ポルトガルのコースは、滑りやすい砂や細かい浮き砂利(ルースグラベル)が路面を覆っているのが特徴となる。
初日はポイントランキング順でのスタートとなる。先頭を走る車両は、路面の砂利を掃き飛ばす『路面清掃(クリーニング)』の役割を担わなければならない。そのため、出走順の早いドライバーほどグリップ不足に悩み、タイムロスを強いられる非常に過酷な条件となる。
このデイ1において、トヨタ勢は最大の試練に直面していた。ランキング首位のエルフィン・エバンスが先頭スタート。同2位の勝田貴元が2番手、同3位のサミ・パヤリが3番手、そして同4位のソルベルグが4番手。上位陣がすべてトヨタ車という状況のなか、彼らは後方から追い上げてくるライバルたちのために、自ら道を切り拓く『掃除役』を務めなければならなかった。
それでも、15時過ぎから始まったSS1『アゲダ/セーヴェル』では、先頭スタートのエバンスが周囲を驚かせる走りを見せる。圧倒的に不利な路面状況にもかかわらず、トップと0.1秒差の2番手タイムを叩き出した。
この快走にはエバンス自身も驚き、走行後に「自分たちより後から走ったドライバーのペースがそれほど速くなかった」と振り返っている。出走順4番手のソルベルグもエバンスと0.1秒差の3番手タイムを記録し、トヨタの若手も序盤から高い適応能力を示した。
ラリーの展開が大きく動いたのは、20.24kmの長丁場となったSS2『セーヴェル/アルベルガリア』だった。路面クリーニングの差が顕著に出るこの区間で主役に躍り出たのはソルベルグだった。ソルベルグは見事なベストタイムを記録し、ここで一気に総合首位へ浮上する。
また、後方出走となったセバスチャン・オジエもこのSS2で意地を見せた。オジエは最初のステージではスピード不足を感じていたものの、クルマに調整を加えたことでフィーリングを向上させる。その結果、3番手タイムを刻んで総合4番手へとポジションを上げた。
デイ1最後となる市街地でのスーパーSS(SS3)では、ソルベルグが冷静な走りで首位を堅持。エバンスとオジエもベストタイムを分け合う速さを見せている。この結果、デイ1終了時点でソルベルグが首位、オジエが総合3番手、エバンスが総合5番手、パヤリが総合6番手、勝田が総合8番手につけた。
数字上は全車が上位に食い込んでいるトヨタ勢だが、過酷な路面清掃を担ったドライバーたちからは慎重な声も聞かれた。出走順2番手で総合8番手につけた勝田は、「出走順のせいでもっとタイムを失うと予想していたのですが、それほど悪くありませんでした」としつつも、次のように現状の課題を語っている。
「今のところあまり良いフィーリングを得られていませんし、明日はさらに長い一日になるので、このままだと簡単にはいかないでしょう。より良いフィーリングを見つけるために、クルマのセッティングを調整する必要があります」
同様に、総合6番手につけた若手のパヤリも、「プレイベントテストやシェイクダウンの時とは少し違い、フィーリングがあまり良くありませんでした」とコメント。陣営内のソルベルグがトップに立ちはしたが、フィーリングには明暗が分かれている様子。オジエからもマシンへの不満が聞こえており、2、4番手にヒョンデ勢がつけている接戦である以上、ペース改善はデイ2の急務となりそうだ。
チーム代表代行を務めるユハ・カンクネンは、この初日の結果について次のように総括し、着実な手応えを口にしている。
「我々としては悪くないスタートを切ることができましたが、各ドライバー間のタイム差は依然として非常に僅差ですし、もちろんラリーはまだ始まったばかりです」
さらにカンクネンは、「前戦よりもライバルとの戦いがはるかに激しくなるだろうと予想していましたが、今のところその通りになっているようです。ですので、この先も、見ている皆さんにとってエキサイティングなラリーになると思います」と語り、秒単位の接戦が続く週末への期待を寄せた。
競技2日目となる5月8日(金)のデイ2は、本格的なグラベルの山岳ステージが連続する。SS4からSS10までの計7ステージが行われ、SS合計走行距離は96.22kmという過酷な1日となる。
最大の特徴は、昼の本格的なミッドデイサービスが設定されていない点だ。各車は途中のアルガニルに設けられた簡易的な『タイヤフィッティングゾーン』に立ち寄るのみとなる。メカニックによる大がかりな修理を受けることができず、ドライバーたちは自身でタイヤマネジメントとマシンのケアを行わなければならない。
路面清掃の重圧に耐え抜き、首位と僅差の好位置を死守したトヨタ勢。マシンのフィーリング改善を目指す彼らが、波乱必至のデイ2でどのような反撃を見せるのか。伝統のポルトガルは、いよいよその厳しさを増していく。
[オートスポーツweb 2026年05月08日]