「上下3800円」の肌着が“半年間で684万着”も売れたワケ。王者ユニクロの“隙を突いた”ワークマンの会心の一撃

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2026年05月22日 09:30  日刊SPA!

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ワークマンプラス
ワークマンの業績が絶好調です。2026年3月期は2割近い増収で、今期も1割を超える売上増を計画しています。2期連続の2桁増収となる予想。成長の起爆剤となっているものの一つが、疲労回復をアシストするリカバリーウェアの「MEDIHEAL(メディヒール)」。2025年9月から2026年3月までで684万着が売れ、115億円を稼ぎ出しました。ワークマンの業績が大きく変化する可能性があります。
◆1週間で40万点を売る大ヒット

「メディヒール」は2025年9月1日に全国の店舗で販売を開始。1週間で販売数は40万点に達し、前年の実績の2倍をわずか1週間で稼ぎ出しました。ワークマンは販売計画数を昨年同シーズンの約10倍に当たる200万点に設定。ワークマンは過少生産で品切れになることがありましたが、今回は大量生産で販売攻勢をかけました。それが奏功します。

「メディヒール」は体から出る遠赤外線を繊維内のセラミックが輻射、血行促進作用で疲労が回復するというもの。ユニクロは汗や蒸気を熱に変換する「ヒートテック」を世に送り出し、高い機能性が支持されて世界的な人気を博しました。「ヒートテック」は2023年に累計15億枚を突破しています。

「メディヒール」は疲労回復という特性を持たせ、機能性の高い競合のインナー商品の中で新たなポジションを確立しました。しかし、着るだけで筋肉の緊張をほぐすシャツはすでに知られている商品があります。「リライブシャツ」です。「リライブシャツ」は2021年にYouTube番組「令和の虎CHANNEL」で紹介され、広く知られるようになりました。しかし、2025年に一般医療機器認定の定義に合致しないとの指摘を受け、自主回収しています。その隙を縫うようにして、「メディヒール」が登場、大ヒットとなりました。

◆新業態が一般客の受け皿に

価格においても強みを発揮しており、「リライブシャツ」が1万円前後である一方、「メディヒール」は上下で3800円。手ごろかつ高機能で、何度か洗濯しても傷みづらいといったタフさが受け、SNSなどによる口コミ効果が広がりました。ヒット商品の王道とも言うべき道を歩んでいるのです。

ワークマンにとって、一般衣料のインナーでヒット商品が生まれたことは特別な意味を持っています。現在、ワークマンは作業着に特化していた「ワークマン」をアウトドアウェアなど一般客向けの商品を扱う「ワークマンプラス」へと転換しています。さらに機能性の高い女性向けの衣料を扱う「#ワークマン女子」も「Workman Colors」へと転換中。「Workman Colors」は女性のトレンドを意識した衣料を扱いつつ、男性のベーシックアイテムも扱うお店。2026年3月期は31店舗もの「#ワークマン女子」を「Workman Colors」へと看板替えしました。作業着は「ワークマンプロ」へと集約し、「ワークマンプラス」と「Workman Colors」で一般客の獲得に力を入れているのです。

◆異常気象と物価高が後押しする「一般向け製品需要」

2020年ごろのアウトドアブームによる追い風もあり、ワークマンの機能性が高く低価格の商品は消費者の心をつかみ、一般衣料での存在感を発揮するようになりました。しかし、ワークマンの商品はアウトドア用のジャケットなど、季節性の影響を受けやすく、買い替え頻度が低い商材が多いという課題がありました。リピーターの獲得に苦戦していたのです。

機能性の高いインナーの開発には早くから力を入れており、2024年には「シン・呼吸するインナー」といった売れ筋商品が生まれていました。しかし、この商品はユニクロの「エアリズム」に近く、爆発的な大ヒット商品には至りませんでした。そうした中、「メディヒール」が誕生したのです。この商品はリピーター獲得の潜在性を十分に有しています。

ワークマンは「メディヒール」以外にも、機能性の高い商品を次々と開発しています。「Xshelter」は遮熱率が高く、寒さ暑さや大雨の影響を遮断する着る断熱材とも言えるもの。紫外線をカットする高機能衣料も扱っています。日本は猛烈な暑さに見舞われるようになりました。突然のゲリラ豪雨に襲われることも多く、気候の変化の速さはかつてないほど。そして、物価高によって節約傾向が高まっています。ワークマンのような機能性が高く、低価格な商品が売れる下地が整っているのです。

ワークマンは2025年5月に発表した「中期成長ビジョン」にて、2026年度から2028年度の注力領域を「出店攻勢・一般向けマス製品開発」と位置づけていました。今期は36店舗の純増で1130店舗に達する見込み。「ワークマンプラス」と「Workman Colors」のみの新規出店を計画しています。「メディヒール」のヒットで「出店攻勢・一般向けマス製品開発」が噛み合い、成長に向けて走り出しました。

中期経営計画で掲げている2030年度の目標店舗数は1300。2026年度は計画を上回る出店数を予想しており、前倒し達成も視野に入ってきました。作業着チェーンで堅実に成長してきたワークマンが変貌を遂げようとしています。

<TEXT/不破聡>

【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

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