シックスペンス(撮影:下野雄規)【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る安田記念
【Pick Up】シックスペンス:1着
キズナ産駒は今年に入ってJRAの平地重賞6勝目。GIは初勝利となります。ヴィクトリアマイルでクイーンズウォークが3着、オークスでドリームコアが2着、日本ダービーでパントルナイーフが2着と、このところ東京のGIで善戦するけれど勝てない、というレースが続いていました。キズナ産駒の競馬場別芝GI成績を見ると、勝率、連対率、複勝率とも東京の成績が最も優れており、とくに東京芝1600mでは連対率30.8%。過去にソングラインが安田記念を2連覇し、ヴィクトリアマイルを1勝しています。キズナ産駒に向いたレース条件だったといえるでしょう。
シックスペンスは、母方に父キズナと相性がいいダンジグ、ファピアノを併せ持っています。
前者のパターンからは他にジャスティンミラノ、ナチュラルライズ、バスラットレオン、サンライズジパング、パラレルヴィジョン、パントルナイーフ、エリキング、ドリームコア、リラエンブレム、アリスヴェリテが、後者のパターンからは他にナチュラルライズ、クイーンズウォーク、ビアンフェ、アリスヴェリテ、シャムロックヒル、レーゼドラマが出ています。いずれのパターンも、連対率、勝ち馬率、1走あたりの賞金額、という3部門でキズナ産駒全体の成績を上回っています。
母フィンレイズラッキーチャームは、現役時代にマディソンS(米G1・ダ7ハロン)をはじめ5つの重賞を制覇しました。
母の父ツワーリングキャンディは、名種牡馬ガンランナーと同じくキャンディライドを父に持ち、現役時代にマリブS(米G1・ダ7ハロン)で1分19秒70という好タイムを計時しました。わが国ではブルードメアサイアーとして優れた実績を挙げており、出走を果たした8頭中7頭が勝ち上がっています。そのなかにはエコロアゼル(カペラS3着、北海道スプリントC3着)、ファムエレガンテ(現OP)、ロッシニアーナ(現3勝クラス)が含まれており、連対率39.1%、1走あたりの賞金額905万円と驚異的な成績です。日本向きの海外血統としてツワーリングキャンディは要注目です。
◆血統で振り返る英ダービー
【Pick Up】クリスマスデー:1着
10位で入線した1番人気馬ベンヴェヌートチェッリーニが、スタート時に公正なスタートを切られなかった、という理由でレース後に出走取消になるという前代未聞の措置が取られました。
勝ったクリスマスデーは米G3を3勝したミストザカットの半弟。父キャメロットはモンジュー産駒で、その父はサドラーズウェルズです。キャメロットとクリスマスデーは英ダービー親子制覇となります。
2代父モンジューはガリレオと同じくサドラーズウェルズの仔ですが、ガリレオよりもスタミナに寄っているため、ダービーやセントレジャーといった中長距離戦がベスト。それゆえにスピード面が物足りず、後継種牡馬の成績はもうひとつ。障害用に活路を見出しているものも目に付きます。
キャメロットは、モンジューの仔としては珍しくマイル戦の英2000ギニーの勝ち星があり、ブルーストッキング(凱旋門賞)、ラトローブ(愛ダービー)、イーヴンソー(愛オークス)、ロスアンゼルス(愛ダービー)、ルクセンブルク(愛チャンピオンS)を出すなど種牡馬として健闘しています。2024年に仏リーディングサイアーとなりました。
クリスマスデーは「キャメロット×シーザスターズ」という組み合わせ。2着モルティーズクロスは「シーザスターズ×キャメロット」。両者は「父」と「母の父」が逆という関係です。キャメロットは道悪が得意なので、勝ち時計が2分43秒75という、過去50年間で3番目に遅い勝ちタイムだったこともプラスに作用したのかもしれません。