ANAのサービスに、「席すら選べなくなったのか」 新料金体系が物議をかもしてしまった、納得のワケ

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2026年06月09日 05:20  ITmedia ビジネスオンライン

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出所:ゲッティイメージズ

 ANAは5月19日搭乗分から国内線の新しい料金体系を導入した。エコノミークラス、ファーストクラスの双方で「シンプル」「スタンダード」「フレックス」の3タイプを導入。タイプによって予約期間や手荷物の量、座席指定の可否などが変わる仕組みだ。


【画像】ANAが導入した新料金体系


 特に座席指定の可否については、対応を疑問視する意見も多い。ANAは4月に上級会員制度(ステータス制度)の変更を発表した際にもSNSで賛否両論が寄せられたが、今回の新料金体系導入も話題を呼んでいる。新料金体系の特徴とその狙いを解説していく。


●特に物議をかもしているのは……


 新料金体系の3クラスは安い方から順に「シンプル」「スタンダード」「フレックス」となっている。前者2つは前日までに予約する必要がある一方、フレックスは搭乗当日の購入が可能だ。


 予約変更に関してはシンプルが不可、スタンダードは有料、フレックスの場合は無料で対応している。また、無料となる手荷物許容量はシンプルが23キロの手荷物1個までに対し、後者2つは2個まで可能だ。


 特に話題を呼んでいるのが事前座席指定で、シンプルの場合は基本的に不可(24時間前から可能)である。家族連れの場合、予約する時点で席を選べないため、席が分散してしまう可能性がある。


●LCC並みのサービスに?


 JALの場合は席のランクごとに料金体系を設定しており、ANAのように同じランクの席でタイプを分けるような設計にはなっていない。また、普通席でも予約時に座席指定が可能だ。スカイマークも同様に座席指定できる。


 一方、LCCは座席指定を有料オプションとしているため、フラッグシップキャリアにもかかわらずこうした料金設定を発表したANAに対しては「席すら選べなくなったのか」と批判する意見が多くみられる。


 以前のANAは、搭乗日までの予約日数に応じて割引を実施していた。予約時に座席指定は可能で、預けられる荷物も個数ではなく重量のみの制限だった。新料金体系では荷物を追加する場合、1個につき5500円がかかる。


 なお新料金体系の導入と合わせて、ANAは国内線の席のランク名を従来の「普通席・プレミアムクラス」から、国際線と同じ「エコノミークラス・ファーストクラス」に変更した。


 7月1日12時発の羽田→伊丹便(NH023)の場合、本記事執筆時点でエコノミークラスの料金はシンプル1万1240円、スタンダード1万3330円、フレックス3万4450円だ。ファーストクラスでは、シンプル3万3130円、スタンダード3万8190円、フレックス5万5350円である。両クラスの席ともに、フレックスの料金がずば抜けて高いが、前述の通り当日予約が可能で予約を無料変更できる点が最大の違いだ。


 旧料金と比較してどの程度違いがあるのか。変動制のため一概には言えないが、シンプルの場合は500〜1000円程度安くなるのに対し、スタンダードでは1000円以上高くなる感覚だ。3人では3000円以上高くなるため、座席指定したい客向けの値上げ策であると言える。


 ANAの新料金体系は、既に記したように随所でサービスの「実質値上げ」が行われている。無料で預けられる荷物の個数制限が設けられたことに加え、荷物サイズの上限も3辺合計203センチ以内から158センチ以内へと厳しくなった。また、席の確保が必要な幼児の定義を2歳以下から1歳以下に変更した。


●「ベーシックエコノミー化」する会社が増えている?


 ANAの新料金体系は「ベーシックエコノミー」に沿った考え方だと筆者は考えている。ベーシックエコノミーとは、従来通りの座席を備えつつ、サービス水準を下げたランクの事だ。標準的なサービスを受けるには、追加料金が必要なLCCの台頭に伴い、欧米のフルサービスキャリアを中心に導入が進んだ概念である。例えば「座席指定ができない」「受託手荷物を有料とする」などの施策がある。


 ベーシックエコノミーは一見すると料金が安く見えるが、従来通りのサービスを受けたい客が追加料金を支払うため、客単価は上昇する。一部報道によると、デルタ航空はベーシックエコノミーの導入により、四半期で数十億円規模の収益改善が見られたという。


 国内線の状況は各社とも芳しくない。国土交通省が5月に公表した資料によると、国内線の旅客数は2023年度にコロナ禍以前の水準まで回復したが、比較的高単価のビジネス利用は回復していない。高単価客の減少に伴い、主要6社の国内線事業の収益は2024年度に赤字化している。この間に燃料費や人件費も上昇した。ANAによる今回の新料金体系も収益改善が狙いとみられる。


 ANAの料金改定によって一時的に国内線の収益は改善するかもしれないが、導入により体系が分かりにくくなり、フルサービスキャリアらしさが失われることになる。一定数がJALに流れ、客数は減少するかもしれない。


●著者プロフィール:山口伸


経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。



このニュースに関するつぶやき

  • うわぁ〜、これは酷いな。ファミリーには改悪。しかも2歳も一人分の席取って隣に座りたければお金払えってこれじゃ他の交通機関を考えたりANA以外の飛行機選んじゃうかもね(^_^;)
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