画像提供:マイナビニュース猛暑で外遊びが難しい夏休み。家で過ごす時間が増えると、「遊びがワンパターンになる」「何をして遊ばせればいいかわからない」と悩むことも。では、子どもが夢中になれる遊びは、どう見つければいいのでしょうか。
アンケート結果をもとに、子どもの遊びや成長に関する事業に携わり、自身も10歳の娘を育てるボーネルンド代表取締役社長・中西みのりさんに話を聞きました。
○暑い日や雨の日、親は子どもの遊びにどう関わる?
マイナビニュース読者で0歳〜12歳の子どもを育てる保護者172人に、暑い日や雨の日の過ごし方についてアンケート調査を実施しました。まず、子どもの遊びへの関わり方について、保護者がどのように考えているのかを見てみましょう。
○Q.暑さなどで外に出られない日の遊びについて、あなたの考えに最も近いのは?
最も多かったのは「親子で遊ぶ時間と、一人で遊ぶ時間の両方が大切」と「特に意識したことはない」で、ともに23.8%でした。一方、「正解がわからない」という回答も2割を超え、子どもの遊びにどう関わればいいのか迷っている保護者も少なくないようです。
暑い日など外遊びができない日の過ごし方について具体的な悩みを聞くと、
「家の中で遊んでいても飽きるので大型ショッピングモールで遊ぶとお金がかかる」(宮崎県・44歳・女性)
「過ごし方がどうしてもワンパターンになってしまう点が困っている」(石川県・32歳・男性)
「子どもが自発的に動けるようになってほしい」(新潟県・43歳・男性)
などの回答が寄せられました。
中西 みのり なかにし みのり 1974年東京生まれ。1992年から5年間、ロンドンの大学でマーケティング、インテリア・建築デザインを学び、1999年にボーネルンド入社。マーケティング、バイヤー、企画・設計・デザイン部門の統括を経て、2023年に代表取締役社長に就任。一児の母。 この監修者の記事一覧はこちら
○家事のお手伝いも、子どもにとっては遊びになる
――夏休みや暑い日、雨の日など家で過ごす時間が増える中で、「親が遊び相手になって疲れる」「子どもが退屈する」などの声もありました。家遊びのバリエーションが少ないことも悩みの一つかもしれません。
中西 特別な遊びでなくても、日常生活の中の家事をいっしょにやってみるのも方法の1つかもしれません。遊びって、実は生活そのものとつながっているんです。
1歳くらいの赤ちゃんでも、親が自分にご飯を食べさせるように、親の口もとにスプーンを持っていく動きをすることがありますよね。あれは、親のまねをするごっこ遊びの始まりなんです。遊びはそういうところから少しずつ発展していくものです。
料理もごっこ遊びの延長線上にあると思います。しかも料理は、実際に食べられるという達成感があり、さらに食べて喜んでもらえたらうれしいですよね。
自分でレシピを読めるようになると、レシピを理解し、順序立てて作り、完成させるという体験が、大きな達成感につながります。
――親子で料理をしてみると、子どもは野菜の皮むきも、包丁で切るのも楽しんでやりますよね。最後に家族から「おいしかった」と言われれば、子どもにとってもうれしい体験になりそうです。
中西 子どもは親と同じように本物を使いたがりますよね。私の娘も、とにかくなんでも手伝いたがる子でしたから、幼児期に子ども用の包丁とまな板を用意して、一緒に野菜を切るようなところから始めました。
本物を使う経験をすると、次におもちゃ遊びに戻ったときに、より本格的な遊びにレベルアップするんです。子どもにとっては、遊びと生活に境界線がないんですよね。だからわざわざ遊びやおもちゃを用意しなくても、生活の中の家事を子どもと一緒にやってみることだって、子どもは楽しめると思いますよ。
――家で娘さんがお手伝いをすることはありますか?
中西 娘は何ごとも順を追って説明書通りに進めたいタイプなんです。好きなものを自由に作りたい私とはまったく違うので面白いです。そんな彼女が夢中になったのが料理でした。レシピを見て、一つずつ正確に計量して正しい手順で作って、正しい結果が出ることに大きな達成感を得ているようでした。
小学生になると、子ども向けのレシピ本の料理を次々に作り、やがてお菓子作りにはまり、さらにパン作りへと発展していきました。最近ではおいしいソーセージロールを作ってくれます。
○遊びがいつもワンパターン……変えたほうがいい?
――アンケートでは、「子どもが自分で遊びを見つけられるようになってほしい」と回答した人もいました。子ども自身が「やりたい」と熱中できるものは、どう見つけるといいですか?
中西 親が「ワンパターンだな」と思ったとしても、子どもにとっては必ずしもそうとは限りません。子どもにとっては好きな遊びを繰り返すこと、たとえばいつもブロック遊びをするとか、車や電車を動かしているとか、そういった遊びが「心を整える」ことにつながっている場合もあります。
大人だって、ぼんやりしながらその日に起きたことを考えたり、「はぁ」と一息ついたりする時間ってとても大事ですよね。
もし子どもの遊びを少し発展させてあげたいなら、子どもの様子を見ながら、「こっちにおうちを作ってみようか」「あっちから違う色の電車がきたよ〜」などと少しだけきっかけを作ってあげるといいでしょう。
子どもが好きなことを見守りつつ、小さな変化を与えてあげると、遊びの幅が広がっていくかもしれません。
○子どもに合った遊びはどう見つける?
――アンケートには、「子どもが自発的に遊べるようになってほしい」という声もありました。子ども自身が「やりたい」と熱中できるものは、どう見つけるといいですか?
中西 子どもの気質や個性によって、その子に合った遊びがあるので、そこを見てあげることが大事だと思います。
たとえば、親としては家の中で静かに遊んでほしいと思っても、ものすごくアクティブでエネルギーがあり余っている子は、どんどん体を動かしたくなりますよね。そういう子に対して、料理やお絵描き遊びをすすめても合わないかもしれません。
親子の日々の対話の中に、その子らしさが見え隠れすると思います。おしゃべりが大好きで、どんどん話が展開していく子どもは、きっと想像遊びや物語の世界に入り込む遊びが合うでしょう。
ボーネルンドが運営する室内あそび場「キドキド(KID-O-KID)」にもいろいろな子が遊びに来ますが、同じ遊具でも子どもによって遊び方が全然違います。様子を見ていると、その子がどんなことに達成感を得るか、何に喜びを感じるか、といったその子らしさが見えてきます。
――親自身の興味と子どもの興味が違うと、子どもに合うものを見つけてあげられないのでは、という心配もあります。
中西 難しいところですよね。親が好きな遊びと子どもが好きな遊びが真逆ということもありますよね。実は私と娘はまったく遊びのタイプが違うんです。
娘が、「マグ・フォーマー」というマグネットブロックで遊んでいたときのこと。娘はブロックでなにか形を作るのではなく、四角いパーツを1つ1つ床に並べ始めたんです。さらにどこからかビーズを持ってきて、並んだ四角の中心に1つずつビーズを配置して楽しんでいました。
私はどちらかというと、たくさんのパーツでいろんな作品を作りたいタイプなので、娘の遊び方を見て驚きました。でもそのときに、子どもによって本当に遊び方が違うし「正しい遊び方」はないんだと、改めて気づきました。遊び場を作る立場としてとても勉強になりました。
――遊び方に、その子の個性が表れるんですね。
中西 そうですね。もし子どもの興味がよくわからなければ、会話ができる年齢の子なら本人に聞いてみるといいと思います。私はよく娘に「私はこれすごく面白いと思うんだけど、どう思う?」と聞いてみるんです。すると「こっちの方がいいよ」とか、「これは好きじゃない」とか、子どもなりの嗜好が見えてきます。
子どもの意見を聞くことで、親の選択肢も広がるでしょう。子どもとの対話から、自分では思いつかなかった発想に出会うこともありますし、さらにそこから親の経験を生かして別のアイデアを提案できることもあると思いますよ。
○親子がお互いを理解し合うために
――最後に、子育て中の読者にメッセージをお願いします。
中西 アンケートの自由回答欄では、親御さんたちがお子さんの遊びに対していろいろと悩みを持っている様子がうかがえました。こうして悩みを書いてくださっているだけでも、十分にお子さんに向き合っているとわかりますし、すばらしいことだと思います。
子どもには幸せになってほしいし、自立して生きてほしいから、どう育てればいいのか、関わればいいのか一生懸命考えるものですよね。その気持ちは、きっといつか子どもに伝わるはず。私はそう信じています。
そして、子どものことを考えることはもちろん大事ですが、子どもに親自身のことを理解してもらうのもいいと思います。「お母さんはこう思っているよ」「こういうのが好きなんだよ」「これは苦手なんだよ」と伝えてみてはどうでしょうか。子どもだって親のことを知りたいですし、ちゃんと理解できるはずです。
そうやって親子が人としてお互いを理解していくことで、よい関係性を育んでいってほしいですね。(早川奈緒子)