Perfumeの対バンツアーはなぜ「フェス」と銘打たれた? ブッキングの意図を読む

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2014年01月24日 10:50  リアルサウンド

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バンドシーンと積極的に関わっていく姿勢を見せるPerfume

 Perfumeが3月15日(土)のNHKホールを皮切りに対バンツアー「Perfume FES!! 2014」をスタートさせることを発表した。



(参考:「まるで洋楽」というレベルを超えた、Perfumeと中田ヤスタカの挑戦



 昨年の5月から6月にかけて行われた初の対バンツアーでは、斉藤和義や奥田民生、マキシマム ザ ホルモンと前代未聞の対バンを組み、音楽業界やファンの間で大きな話題となった。今回のツアーでも、東京スカパラダイスオーケストラやRHYMESTER、RIP SLYME、9mm Parabellum Bullet、秦 基博といったライブに定評のあるミュージシャンから、あ〜ちゃんこと西脇綾香の妹が所属するアイドルグループの9nine、気鋭のシンガーソングライターである高橋優、前回に引き続き登場するマキシマム ザ ホルモンまで、個性豊かな面々が揃っている。



 だが、2回目となる今回の興味深いポイントは、共演者のメンツだけではなく、「ツアータイトル」にもあると、音楽ジャーナリストの柴那典氏は指摘する。



「今回のツアータイトルですが、ホール主体の対バンツアーでありながら『Perfume FES!! 2014』と名付けられているところがポイントです。一般的な音楽ファンはこの形式のライヴを『フェス』とは思わないでしょう。しかし、だからこそ、そこからPerfumeが『フェス』というものをどうイメージしているかを読み解くことができる。ポイントはメンバー自らがツアーを発案し、ゲストアーティストを選び、自らオファーしたということです。



 昨年開催された第1弾の対バンツアー『ずっと好きだったんじゃけぇ〜さすらいの麺カタPerfume FES!!』の際には、斉藤和義、奥田民生、マキシマム ザ ホルモン宛にメンバー3人からオファーをお願いするビデオレターが送られていました。今回のツアーも、公式でこそ発表されていませんが、ラインナップを見るに、メンバーの意思を尊重して決まった対バン相手だと思われます。最近ではロックフェスにアイドルが出ることはもはや珍しいことではなくなりました。しかし、「アイドル自らがバンドにオファーをして対バンツアーを組む」というのは、まだ誰もやっていなかったこと。またしてもPerfumeが先駆者的な試みを実現させたと言えるのではないでしょうか。そして、これを『フェス』と銘打っているということは、つまりPerfumeは、単なる対バンライブイベントとフェスの違いを『ブッキングしている人の顔が見えること』として捉えているのではないか?という風に考えられるわけです。



 これはASIAN KUNG-FU GENERATIONが主催する『NANO-MUGEN FES』と対比させて考えると分かりやすいでしょう。『NANO-MUGEN FES』も、実際にアーティスト側がブッキングして行っている。そして、横浜アリーナで行う通常の形だけでなく、対バン形式で全国をまわるツアーイベント『NANO-MUGEN CIRCUIT』も、いわゆるフェスの範疇として受け止められている。いわば今回のPerfumeのツアーと『NANO-MUGEN CIRCUIT』のやっていることは同じ構図なわけです。『NANO-MUGEN CIRCUIT』でアジカンがいる立ち位置にPerfumeを置き換えて考えると、対バンツアーに『Perfume FES!! 2014』というタイトルを名付けた意図が見えてくる。これはどのアイドルよりも先にロックの現場に飛び出し、交流をしてきたからこそ生み出すことが出来た、Perfumeなりの『FES』への発想なのではないでしょうか」



 たしかに最近では『アイドルとロックバンドが対バンする事による異種格闘戦』が盛り上がりを見せており、ありそうでなかった組み合わせのブッキングで好評なロックイベント『QUATTRO MIRAGE』と、アイドルやアニメといったカルチャーを融合したイベント『@JAM』がコラボした、『QUATTRO MIRAGE vs @JAM』という大きなイベントまで企画されているほど。Perfumeはその潮流を見越して、今回の『FES』を仕掛けたのかもしれない。また、柴氏は今後の展開について、次のような展望を述べる。



「前回のツアーでは各アーティストとのコラボも繰り広げられたので、今回もその貴重な機会が実現するのではないかと思います。そして、まだ発表されてはいないですが、アルバムを引っ提げての海外展開、つまり再び行われるであろうワールドツアーをどれだけ成功させるかにも期待は高まります。また、この先には、対バンツアーで共演した面々を含む様々なアーティストやアイドルが一堂に会する、『Perfume主催の一大イベント』が開催される可能性も生まれてきた。とても楽しみですね」



 これまで斬新なプロジェクトを数多く実現してきたPerfumeとその制作陣なら、その話も遠い将来ではないのかもしれない。(中村拓海)



このニュースに関するつぶやき

  • この柴さんて方は、Perfumeの意図について好意的に解釈されていますね。 なかなか説得力ある解釈だと思います。 この方間違いなくPerfumeファンですね。
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