前回からの続き。私(ユキナ)は、夫と小学2年生の長女、年長の長男の4人暮らしです。今日はママ友4人でランチ会。夏休みの予定について話をしていたところ、マキコさんが「旅行が羨ましい!」と言いはじめました。彼女のところは双方の実家に帰省するだけで長期休みが終わってしまうのだとか。けれど、実家も自宅も地元にある私は、帰省先があるマキコさんのことが心底羨ましい。自宅と実家が近いことで良いこともありますが、距離を理由にできない分、面倒くさいこともあります。「帰れる場所」がある「帰省」っていいなぁ……そんな愚痴をレイコさんにこぼしてしまったのです。
「それはもちろんそうだとは思うんだけど、たくさんの大人に定期的に会って、色んな価値観の話を聞いてさ。「面倒くさいな」とか「あのおじさん嫌だな」とか、そういった感覚も全部含めて「羨ましいな」って思うの。そういう経験ってお金を出して買えるものじゃないでしょ?」
うちは親戚付き合いがほとんどないため、余計そういう思いがあるのかもしれません。
「たまにしか会えない祖父母だって、いつも近くにいてくれる祖父母だって、子どもにとっての環境を考えたら、どちらも一長一短だと思う」
というレイコさんの言葉を素直に受け止めて、いまある環境を大切にしようと前向きにとらえることにしました。
ずっと「帰省」ができる場所がある人が羨ましかった私。
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この考えが贅沢だということは分かっているし、自分にはない環境がよく見えているだけなのも理解しています。
けれどマキコさんの話を聞いて、思わず気持ちを吐露してしまったのでした。
レイコさんは言葉を選ぶように優しく話を聞いてくれました。
「羨ましい」と思ったらキリがない。
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素直にそう思えたのでした。
【第5話】へ続く。
原案・編集部 脚本・渡辺多絵 作画・よしはな 編集・石井弥沙