インタビューに答える東京電力福島第1廃炉推進カンパニーの小野明代表=5日、東京都千代田区 東京電力福島第1原発事故から14年を迎えるのを前に、東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明代表がインタビューに応じた。2号機から回収した溶け落ちた核燃料(デブリ)について、「一粒のデブリからでもさまざまな情報が得られる」と強調。将来の大規模取り出しなどに向け、「運搬や保管用設備の設計などで参考になる」との見解を示した。主なやりとりは次の通り。
―昨年11月にデブリの試験的取り出しが完了した。当時の心境は。
少量(約0.7グラム)だが、安全に取り出せてほっとした。「廃炉の本丸」と言われるデブリ取り出しへの第一歩が踏み出せた。
―分析中のデブリから期待している結果は。
デブリ運搬や保管用設備の設計で参考になる情報のほか、事故当時の原子炉内の状況に関する情報も得られると期待している。
―着手直前に回収装置のパイプの取り付け手順にミスが発覚し、中断した。
重要な局面では社員が確認していたが、準備など一般的な作業への管理がおろそかだった。高線量下での作業の難しさを踏まえた対応が不十分だった。
―高線量下での作業の難しさとは。
作業時間を短くする必要があり、「なるべく早く終えたい」という心理が働く。普段はしっかり確認するところをおろそかにしたり、コミュニケーションがうまくいかなかったりする。
―今回の経験を、春ごろ予定の2回目や、将来の本格的な取り出しにどう生かすのか。
一粒のデブリからさまざまな情報が得られるが、全てが分かるわけではなく、サンプルを増やすことが重要だ。1回目の反省や経験を踏まえ、回収装置の改良やカメラの交換、訓練などを行っている。
―この1年の廃炉作業はどう進むか。
2回目の取り出しのほか、2025年度中に予定されている(開発中の)ロボットアームを用いた試験的取り出しと調査に取り組みたい。3号機では将来の大規模取り出しに向けた検討も行っており、しっかりと取りまとめていく。26年度までに、2号機使用済み燃料プールからの燃料取り出しを開始できるよう準備を整えたい。

試験的取り出しで採取した核燃料デブリの模型を手にする東京電力福島第1廃炉推進カンパニーの小野明代表=5日、東京都千代田区