


スマホに連絡をしてみると、ツバサさんはちょうど帰宅途中でした。私は今日のやりとりを説明します。離婚に至った事情をたずねてみると、ツバサさんはゆっくりと口を開きました。「実はね……元夫、ココネを性的な対象として見てたの」


「何それ……」あまりにもおぞましい話に私は絶句します。「信じられないでしょ? 私も、まさかと思った」ツバサさんは淡々と話しますが、聞いているだけで気持ち悪くなるくらいの話です。当事者としてどんなに辛い思いをしたことでしょう。

義実家でのココネちゃんとのやりとりを、私は母親であるツバサさんの耳に入れておくことにしました。するとツバサさんはココネちゃんを守るために元夫から逃げてきたことが分かったのです。まさか、自分の娘を性的な目で見ていたなんて……。幼いココネちゃんへの信じがたい言動に私は言葉を失い、ツバサさんがココネちゃんに父親のことを話したがらなかった理由に激しく納得しました。
ツバサさんの苦しみを思うと本当に胸が痛みます。当時のことを知らない私でさえゾッとしてしまったのですから、離婚をめぐる元夫とのやりとりはさぞ修羅場だったでしょう。そんな事情があるのなら、なおさらココネちゃんに父親のことを伝えるわけにはいかないと私は強く思ったのでした。
【第3話】へ続く。
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