東京都内のスーパー(資料・AFP時事) 政府は16日の閣議で、中小・零細企業で働くパートら短時間労働者の厚生年金加入の拡大策を柱とする年金制度改革関連法案を決定した。働きながら年金を満額受給できる高齢者を増やす方策も明記。一方、将来世代の基礎年金の底上げ策は自民党内の慎重論を受け、削除された。法案は20日の衆院本会議で審議入りし、政府・与党は今国会での成立を目指す。野党は底上げ策の復活協議を求めており、国会審議は難航が必至だ。
福岡資麿厚生労働相は閣議後記者会見で、底上げ策の見送りについて「法案の早期提出を重視した」と説明。その上で、底上げ策が実行されないことで影響を受ける就職氷河期世代を念頭に「さまざまな支援を行いたい」と述べた。
今回の法案は、公的年金に関する5年に1度の財政検証結果を踏まえ、制度の持続性を高めるための改革案を盛り込んだ。当初は3月中旬に国会提出する方針だったが、参院選への影響などを懸念する自民内で意見がまとまらず、2カ月遅れとなった。
厚生年金に入るパートらの拡大策では加入要件を緩和する。勤め先企業の従業員数に関する要件を2035年10月に撤廃。「年収の壁」による働き控え解消に向け、年収106万円以上の賃金要件もなくす。これらの見直しで、週20時間以上働けば厚生年金の加入義務が生じ、老後の給付が手厚くなる。保険料を折半する企業側は中小・零細ほど改革の影響で負担増になる。