カメラ付きのスマホが当たり前になり、SNSに投稿するための写真を撮影している人を見かけるようになりました。都内のアパレルショップでアルバイトをしているAさんもそのひとりです。
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彼女は仕事終わりに評判の店に行っては、おいしそうな写真を撮影して自分のアカウントにアップロードしています。写真の内容によっては多くの「いいね」やコメントがつくため、それを励みにAさんは店の開拓を続けていました。
ある日、長期休暇が取得できたAさんは旅行に出かけます。いつもとは異なる風景を目にして、「映える」写真が撮影できると興奮気味です。とある寿司屋に入り、出された料理を目にしたAさんは、いつものようにスマホを取り出し撮影を開始します。すると、その店は撮影を認めていなかったようで「店内での撮影は禁止です!」と注意を受けてしまいます。
いつもなら問題なく撮影できていたのに、突然注意を受けてAさんは憤慨します。なぜ料理の写真を撮影しているだけで怒られないといけないのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに伺いました。
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ーAさんの撮影行為は違法なのでしょうか
一般的に料理の写真を撮影してSNSにアップロードしたとしても、何かしらの権利が侵害されたとはいえず違法行為とは考えられません。ただし一定の条件下では、違法行為と判断される可能性もあります。
たとえば、その料理自体に独創性があり芸術性が高いものであれば、著作物と認められる可能性があります。その場合、料理の写真を撮影してアップロードすることは著作権の侵害に問われるでしょう。
ーもし写真撮影禁止と店内に貼ってあった場合はどうなりますか
店側が明確に撮影を禁止しているにもかかわらず、料理の撮影をしたとなると「施設管理権の侵害」にあたり違法と判断される可能性があります。実際に料理の撮影によって訴えられたというケースは耳にしたことはありませんが、少なくとも店側から注意を受け、場合によっては退去を指示されることもあるでしょう。
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ー店からの指示に従わなかった場合はどうなりますか
退去するように言われたのに店に居座った場合は、刑法130条後段の不退去罪が成立する可能性があります。また店側とトラブルになった場合には、店の業務を妨害したとして威力業務妨害罪が成立することもありえます。いずれにせよ店側から注意を受けた場合には、すぐに是正した方がいいでしょう。
ー店内での写真撮影でほかに懸念されることはありますか
料理の撮影とはいえ、店員やほかの顧客の姿が写り込んでしまうこともあるでしょう。この場合は肖像権の侵害を問われる可能性があります。料理の撮影に夢中になっていると知らないうちに写り込んでしまうことがあるので、注意が必要です。
いずれにせよ飲食店で料理の撮影を行う場合には、撮影とSNSでの公開の許可を店側に確認をとることが重要です。
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◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)