※画像はイメージです「車の運転をすると性格が変わる」「いつもおとなしい人なのにハンドルを握ると豹変する」……そんなタイプの人物、身近にいないだろうか?
蛇行運転や車間距離ギリギリといった危険な煽り運転をするドライバーも、普段は意外と真面目に生活していることもあるのだ。
今回は家族とのドライブ中に、“意外な人物”から煽り運転を受けたというチカさん(仮名・25歳)に、3年ほど前に起きた恐怖体験を語ってもらった。
◆楽しい家族ドライブのはずが一転
小さい頃からチカさんは、よく家族でドライブに出かけていたそう。
「父は若い頃カーレーサーをしていたことがあり、とても車好きでした。スカイラインやフェアレディZなどが愛車で、よく家族や友人を乗せていましたね」
そんなチカさんの父は、色黒でガタイがよく、目つきも鋭かったそうで、通りすがりの不良などによく絡まれることも多かったんだとか。そんな“絡まれグセ”は運転中にも……。
「私が大学4年生だったある日のことです。いつものように父のスカイラインで、私と母の3人で出かけました。その日は地方のショッピングモールに出かけることになっていて、ウキウキしながら楽しくドライブしていたんです。
ですが、抜け道の住宅街にある狭い道路を走行していたとき、事件は起きました。道幅が狭かったので、父は対向車に道を譲りながら慎重に走行していたところ、1台の白いプリウスとすれ違ったんです。特に問題もなく、スムーズな運転でその狭い抜け道を通りきったと思ったら、すれ違ったはずの白いプリウスが後ろにぴったりくっついてきていたんです」
◆後ろから蛇行運転され、その後…!
なぜかすれ違ったはずの車が、後ろにくっついてきていた状況に驚いたチカさん一家。その白いプリウスは蛇行運転をしながら、今にもぶつかりそうなところにまで車間距離を詰めてきたという。
「父は『さっきすれ違ったプリウスか!? どこで切り返してきたんだよ!』と焦った様子で、母も心配して、『危ないから先に行ってもらいましょうよ』と父に提案していました。私も振り返りながら後ろの様子を見ていて、あまりにも危なっかしいので思わず『ぶつかる!』などと怖くて騒いでしまいましたね」
チカさんの父は妻の提案通り、白いプリウスに追い越してもらうために道幅の広い路肩に停車したそうだ。やっとプリウスはチカさん一家の車を追い越していった……と思った次の瞬間、衝撃の展開を迎える。
◆バックしてきて衝突するという凶行
なんと追い越したはずのプリウスがチカさん一家のスカイラインの前に急停車し、そのままバックして衝突してきたんだとか……!
「かなりの勢いでバックして衝突してきて、『ドンッ!!』って衝撃音もすごかったので、私は怖くて『きゃあぁぁ!』って叫んでしまいました。こんな煽り運転はそれまで遭遇したことがなかったので、信じられませんでしたね……」
しかし、恐怖はそこで終わらない――衝突した直後、なんとその煽ってきたプリウスの運転手が降りて来て、チカさんの車に向かってきたという。
「こんなヤバい運転する奴は相当コワモテだろうと予想していたのですが、その想像に反して、運転席から降りてきたのは一見真面目そうな黒髪で細身の中年男性でした。その男は父のいる運転席ではなく、助手席にいた母に向かって大声で『ドアを開けろ!』などと怒鳴ってきたんです」
母の身に危険を感じたチカさんは、考えるよりも先に体が動いていたそうで、父が出ていくよりも先にその男に向かっていき、「何なんですか!?」と反抗。男はチカさんに向けて「何なんだよ、テメェは!」と怒鳴りつけてきたそうだ。
◆男の正体はまさかの父の知り合い!?
チカさんの母はすかさず警察に通報。そして父親も運転席から降りて、その男に向かっていった。そこで状況がガラッと変わったという。
「父と目が合った瞬間、その男が『あっ!』と驚いたような声を上げ、そこから態度が一変。父に向ってひたすら『すいませんでした、すいませんでした』と何度も謝り続けてきたんです(苦笑)」
ヘコヘコと頭を下げて、そのまま自身の車に戻ろうとしていたので、チカさんが「警察を呼んだので待ってください!」と叫んだものの無視されて、そのまま車に乗って逃げていってしまったそうだ。
その様子に唖然としたチカさんと母であったが、なんと父によると「あれ、俺の仕事の下請け会社の社員だわ」と、驚きの事実が判明。仕事先で会ったときは物静かで低姿勢な男だったという。
しばらくして警察が現場に到着し、事情聴取と現場検証が行われた。その男は警察沙汰になるのを避けたくて逃げたのだろうが、ドライブレコーダーに映像がばっちり残っていたので、後日警察に呼び出されたそうだ。
また、男はチカさんの父の報告により、会社をクビになりかけるほどの厳重注意を受けたんだとか……。
普段は真面目そうに見える人物でも、ハンドルを握って運転すると怖ろしい本性が出てきてしまうのかもしれない。
(取材・文=瑠璃光丸凪/A4studio)
【瑠璃光丸凪】
編集プロダクションA4studio(エーヨンスタジオ)所属のライター。興味のあるジャンルは、アングラ・音楽・ファッションなどサブカルチャー全般と、ジェンダー問題、政治経済問題について。趣味はレコード集め。