有休の理由は「言うのがマナー」とされるのが納得できない。「有休を取ります」で済むはずなのになぜ?

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2025年03月17日 21:50  All About

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会社で働く人の権利である「有休」ですが、そこにはさまざまな“モヤモヤ”が横たわっているようです。今回は、「有休の理由」に関するお悩みについて、社会保険労務士の小西道代が回答します。
心身の疲れをリフレッシュし仕事の生産性を上げるのに役立つ「有休」。ただ、会社内の暗黙の了解による“有休マナー”なるものによって、むしろモヤモヤしている人も少なくないようです。今回はAll About編集部に寄せられた有休のお悩みについて、社会保険労務士の小西道代が回答します。

有休の理由は伝えるのがマナー?

【今回のお悩み】
上司に有休の理由を言うのがマナーとされるのが納得できません。「有休を取ります」の一言で済むはずなのに、なぜ説明しないといけないのでしょうか(30代男性/岐阜県在住 )。

理由を知らせたくないときは

【回答】
会社へ提出する有休の取得申請書に「理由」の欄がある場合、理由を記載しないと有休を取得させてもらえないと思うかもしれません。法律上、有休は理由に関係なく働く人の権利として認められるものです。

しかし、会社としては、働く人の状況を把握してフォロー体制を整えておきたいという業務上のリスク管理の側面もあります。健康上の問題や家族の事情などを把握して、適切なサポートを提案することもできます。また、海外旅行や遠方に出掛ける場合は、その居場所を知ることで、万一災害に巻き込まれたり、緊急時の連絡が取りにくくなったりすることを、事前に会社が把握できます。

ただし、有休を取得するときの要件に「理由」がなければ、本人が理由を伝えることを拒否している場合にまで、強制することはできません。会社は、プライバシーの保護や本人の自主性に配慮する必要があります。

理由を伝えたくない場合は、「私用のため」と記載するのみで法律上は問題ありません。

なお、理由を伝えたくないあまり、虚偽の記載をする人がいますが、これは絶対にやめましょう。会社と働く人は、雇用契約に基づく信頼関係が根底にあり、うその理由で有休を取得したことが会社に知られれば、会社との信頼関係が破綻し、場合によっては懲戒処分(始末書など)が科せられることがあります。

シンプルかつ、必要最低限の情報に

有休は働く人の休息や心身のリフレッシュのためだけでなく、自己成長やスキルアップの機会とすることもできます。有休申請時、法律上は理由を記載する必要がないとはいえ、通常のコミュニケーションの中で上司や同僚に聞かれることがあるかもしれません。

自身の健康状態などプライバシーに関わらないもので、「資格試験の勉強のため」「趣味の発表会のため」など、会社にとっても前向きな理由であれば、一緒に働く仲間との関係も良くなるかもしれません。

しかし、「資格試験の勉強をしているということは、転職を考えているのかな?」など、無用の詮索につながる可能性もありますので、シンプルかつ、必要最低限の情報にとどめておくことをおすすめします。

<調査概要>
仕事で有休を取得する際のマナーに関する疑問
調査方法:インターネットアンケート
調査期間:2025年1月28〜29日
調査対象:全国10〜70代の男女100人

小西 道代プロフィール

社会保険労務士法人トップアンドコア代表。行政書士法人グローアップ代表。大学卒業後、日本マクドナルドに入社。幅広い年齢層と共に働くことで、労務管理・組織運営に興味を持ち、弁護士事務所等で経験を積む。自身も喫茶店を経営した経験から、労務トラブル予防の労務相談を得意とする。All About 労務管理 ガイド。
(文:小西 道代(社会保険労務士・行政書士))

このニュースに関するつぶやき

  • 法律論で強制できないことは「マナー」という形で攻めてくる陰湿なやり方が日本の職場って感じで実に素敵ですなあ
    • イイネ!1
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