アメリカン・ショートヘア(資料) ペット保険会社「アニコム損害保険」(東京都新宿区)は17日までに、アニコム先進医療研究所が国立遺伝学研究所やかずさDNA研究所などと昨年10月に論文で発表したイエネコの全遺伝情報(ゲノム)解読成果が、「世界で最も精度の高いネコのゲノム配列」としてギネス世界記録に認定されたと発表した。
解読した品種はアメリカン・ショートヘア。これまで利用されてきたアビシニアンの解読成果に比べ、遺伝子数が1685個多い2万1272個となった。この遺伝子情報を利用し、アニコム先進医療研究所と大阪公立大、ときわバイオ(茨城県つくば市)は高品質なネコの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作っており、遺伝性疾患の解明や治療法開発、再生医療研究に役立つと期待される。
大阪公立大の鳩谷晋吾教授らはさらに、避妊のため摘出されたネコの精巣、卵巣からそれぞれ精子と卵子を採取。実験容器内で受精卵とし、胚性幹細胞(ES細胞)を作った。ES細胞は、皮膚などの細胞に遺伝子群を導入して作るiPS細胞の品質を評価する基準となるほか、将来は新たに精子や卵子に変え、絶滅の危機にあるネコ科動物を繁殖させる研究に利用できるという。