限定公開( 22 )
自宅の網戸のひもが首に引っかかり女児(当時6歳)が死亡したのは製品や使用説明に欠陥があったからだとして、両親らが製造元の建材大手「YKK AP」(東京都)とリフォーム業者に計約8000万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は12日付で、リフォーム業者の上告を棄却する決定を出した。2社に計約5800万円の賠償を命じ、遺族側を逆転勝訴とした2審・大阪高裁判決(2024年3月)が確定した。
裁判官5人全員一致の判断。小法廷は「上告理由に当たらない」とだけ述べた。YKK側は上告せず、先行して賠償責任が確定していた。
1、2審判決によると、網戸は縦長の窓の内側に付いており、輪の形になったひもを引くことで出し入れできる仕組みだった。女児は19年11月、兵庫県の自宅で首にひもが絡まった状態でいるのを家族に発見され、その後死亡が確認された。
1審・大阪地裁判決(22年11月)は、網戸にはひもを子どもの手が届かない高さで束ねられるクリップが付属していたことを挙げ、「利用者が安全対策を実施できた」として製品の欠陥を否定。リフォーム業者も引き渡し時に子どもが事故に遭う危険性を説明していたとして、遺族の請求を棄却した。
これに対し2審判決は、クリップは網戸本体と別の袋に入って出荷され、両親は存在を認識していなかったと指摘。安全性に関する指示や警告は不十分で、製品の欠陥とYKK側の製造物責任を認定した。リフォーム業者についても、両親に製品の取扱説明書を渡さず、クリップの使用方法を説明しなかった注意義務違反があったと判断していた。【巽賢司】
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