
「コメは買ったことがない」という失言で更迭された江藤拓前農林水産大臣。その後任として5月21日に新大臣に就任した小泉進次郎農林水産大臣は、もうすぐ就任から1か月を迎える。
就任早々、異常な価格高騰が続く“令和の米騒動”を解消するため備蓄米の放出を行うなど自称“コメ担当大臣”と自任するほど意欲的に政策を進めている。
小泉進次郎農林水産大臣への危惧
しかし、最近その暴走ぶりを危惧する声が上がっているという。
「例えば、備蓄米の放出についても6月10日に20万トンの追加放出を発表しました。江藤前農水相が決めた31万トン、小泉農水相が就任直後に発表した30万トンと今回の追加分20万トンをあわせると合計81万トンの放出になります。もともと備蓄米の在庫は91万トンだったので、残り約10万トン。
本気で米価を下げようという意思の表れだとは思いますが、逆に米価の暴落による農家や農業法人への影響が懸念されます。他にも、このタイミングで大災害が起きたときに残りの備蓄米で足りるのか?という心配もあるようです」(政治ジャーナリスト)
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また、16日には、約70年続いてきた作況指数の公表を廃止すると発表。その理由を「コメの作況指数が生産者の実感とずれてきた」と説明。今後は、人工衛星やAIなどの最新技術も活用しながらより精度の高い統計の作成に取り組んでいく考えを示した。
「作況指数はその年のコメの出来具合を示す指標で、過去30年間の傾向である平年の収量と比較して算出します。しかし、近年は温暖化などの気候変動や農業技術の進歩で過去30年のトレンドを踏まえた収量との比較では、生産現場の実態に合わなくなってきた。生産量が十分ではないのに、作況指数が良いと発表されることもあり、現場の実態とかけ離れているという指摘が現場から寄せられたそうです。その意見を聞いて今回の廃止に至りました」(前出・政治ジャーナリスト)
現場の意見を反映した前向きな取り組みの一方で、国民からは不安の声も上がっている。
《作況指数って基幹統計だよね?基幹統計の公表は統計法に基づく義務のはずだけど大臣の一人で勝手に廃止できるものなの?》
《作況指数の廃止ではなく、作況指数の公表の廃止って書いてあったけどつまるところ国民への公表は止めるけど調査は継続するということ?》
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さらに追い打ちをかけるように、17日には困惑を招く衝撃的な発言も。
農業関係者からも怒りの声
経団連の筒井義信会長らとの会談を終えた後、農業機械について言及した小泉農林水産大臣。「例えばコンバインが今、2000万円で。米農家さんは2000万円のコンバインを1年のうち1か月しか使わないんですよね。だとしたら普通買えますか?」と疑問を呈した。また、建設業界と比較し「重機や建機のレンタルやリースって当たり前ですよね。農業機械も個人個人で持っていたら、どう考えたって経済的にペイしないのに買ってしまっている。私はこういったことも変えなきゃいけないと思ってるんです」と農業機械のリース推進について熱弁。
この発言を巡って、ネット上では批判の声が相次ぐ展開に。
《たった1か月のために高額な機械を農家さんの数だけ用意してくれるリース会社がどこにあるんだよ?バカがよ》
《農業経験者じゃなくてもリースが普及していない理由なんかちょっと頭を使えばすぐ分かるだろうにアホ丸出し。お坊ちゃんの政治家ごっこはもうやめてくれ》
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《年間を通して機械の需要がある建設業界と一緒にしてる時点で救いようがないほど頭が悪い》
農業関係者からも怒りの声が上がっている。
「高額で使用頻度も低い機械は借りた方が安く済むという考えは、ものによっては合理的です。しかし、農業という仕事の実態には合わないのが現実です。
例えば、農業では収穫期がほぼ同じ時期に集中します。特定の時期に需要が逼迫して使いたいときに借りられないというリスクも。他にも、リース機だと整備問題や使い勝手の問題もあり、作業効率に支障が出る可能性も高いです。
農業は自然と向き合う仕事ですから、気象や作物の状態など細かな判断の上に成り立っています。時間やタイミングも非常にシビアな中、機械の融通が利かないのは致命的です。傍からみれば高額な設備投資に見えるかもしれませんが、長い目でみれば必要なものなのです。
大臣がいろいろ考えてくれるのはありがたいですが、現実味がないというか思いつきで突っ走ってる感は否めません」(農業関係者)
現場との価値観のズレが顕著になり始めている小泉農林水産大臣。そのズレは自身のSNSにも表れている。
「SNSも積極的に動かしていますが、まるで学生のインスタグラムのストーリーズのようにごはんの写真ばかりを投稿したり、とにかくズレています。食や農を統括する大臣として、消費促進や地産地消推進の意図があるのでしょう。しかし、可処分所得が上がらないうえに物価高騰で国民が苦しんでいるこの大不景気の中で、豪華な食事の写真を上げるのは国民の神経を逆なでしているように捉えられても仕方がありません」(前出・政治ジャーナリスト)
他にも、昼時に昼食を採りながら電話をかける様子や炎天下の中、メモも持たずに屋外で農家やJA関係者と意見交換をする様子に
《パフォーマンスのつもりなんだろうけど逆に非常識さが浮き彫りになってて草》
《投稿のどれを見ても一般常識がないのが明らか 頭の中は自分の見栄えしか考えてないんだろうな》
と冷ややかな視線が向けられている。
意欲的なのは良いが、肝心の国民を置いてけぼりにしては意味がない。