
「息子がいつも『おかあさんかわいい』と言ってくれるの、本当に嬉しい」
これまでもたびたび息子さんに褒められてきたというともさんですが、その“言葉の根っこ”にある思いに気づかされる出来事がありました。
それは、ある日の家族団らんのひとときのこと。ともさんがテレビに映る女優を見て「この人、きれいだな」とつぶやくと、息子さんは「おかあさんもきれいだよ」と返してくれました。
その言葉を聞いた夫が、「息子にとっては、お母さんのほうがきれいに見えるんだな」と言うと——息子さんはきょとんとした表情を浮かべ、「そういう話はしてないよ」と返したのです。
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このやりとりに、ともさんも夫も、ハッとさせられたといいます。
「私は、基本的にすぐ人と自分を比べてしまう癖があるのだけど、たぶん息子にはそういう気持ちがほとんどなくて、『(自分にとって)おかあさんはかわいい』って、ずっと褒めてくれてるんだよな」
ともさんはそう振り返り、あらためて息子さんの“褒め方”に深く心を揺さぶられたといいます。
「私も、そんなふうにありたい」
そう心を新たにしたともさんは、最後に「今日も息子はかわいい」と投稿を締めくくっています。
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このエピソードには9.5万件を超える“いいね”が寄せられ、多くの共感を集めました。ともさんに、その思いを改めて伺いました。
「みんな同じならつまらない」息子の視点に教えられる日々
ーー息子さんの言葉を聞いたとき、ご夫婦はどのように感じましたか?
「夫も、息子の一言に心を動かされたようでした。私は、息子が誰かと比べることなく、まっすぐな気持ちで私を褒めてくれたことが嬉しかったです」
ーーふだんのご家族やご友人との関わりでも、同じような様子はありますか?
「息子はふだんから、あまり自分とまわりを比較しないタイプです。発達障害があるので、その特性によるものかもしれません。以前、私が『自分がまわりと違うと感じることはある?』と聞いたとき、『あたりまえだよ。みんな同じだったらつまらないでしょ』と返されたことがありました。私はつい『まわりに合わせなきゃ』と思ってしまうので、息子の考え方には、いつも気づかされます」
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ーー息子さんの価値観に影響を与えたと感じる出来事があれば、教えてください。
「私は、まわりと自分を比べがちな性格なので、正直はっきりとはわかりません。でも、子育てをする中で、大きな気づきをもらったことはあります。息子が発達障害だとわかったとき、医師から『息子さんのできること、得意なことだけに注目して褒めてあげて』と言われたんです。その言葉は、今もずっと意識しています」
ーー今回の投稿への反響を、どのように受け止めましたか?
「思いがけずたくさんの反応をいただき、少し戸惑いました。でも、あたたかい共感や、息子を褒めてくださるコメントがたくさんあって、嬉しかったです」
投稿にはさまざまな声が寄せられ、息子さんの言葉はもちろん、ともさんやご夫婦の気づきやまなざしにも、多くの人が心を動かされたようです。
「息子さん、人生何周目ですか?」
「ナンバーワンじゃなくてオンリーワンの精神」
「私もそんなふうに家族や友人を褒めたい」
「男の子のママ“かわいい発言”は噂では聞いていたけれど本当なんですね。0歳でまだしゃべらない息子の成長がさらに楽しみになりました」
「お母さんは絶対的オンリーですが、子どもに『かわいいね』って言うと『お兄ちゃんとどっちがかわいい?』って比べようとするから、『あなたがかわいいって話をしてるんだよ』って毎回なりました」
「何かと比較することは、劣等感や嫉妬心を生みやすく、時には人を支配しようとする気持ちにもつながってしまう。比べることなく、相手を“オンリーワン”として受け入れられるのは、本当に素敵なことだと思う」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)