《医師が検証》全粒粉パンや玄米に驚愕の事実発覚、健康食だからと安心できない“血糖値の真実”

1

2025年06月26日 05:10  週刊女性PRIME

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週刊女性PRIME

※写真はイメージです

 健康意識の高まりで、玄米や全粒粉など血糖値を上げにくいとされる「低GI食品」を選ぶ人が増えている。しかし、実際のところ血糖値への影響はどうなのか。疑問を持った内科医の山村聡先生が“食べて”検証、糖質の意外な落とし穴を指摘する。

 YouTubeでの血糖値に関する検証動画が話題となった、内科医の山村聡先生。 糖尿病は血液中の糖の濃度「血糖値」を高いまま放置しているとかかる病気だ。全身の血管がボロボロになり、自覚症状がなくても失明や腎不全などの深刻な症状を招く。

「食習慣に注意し、上手に血糖値と付き合っていくことが糖尿病の予防になるので、自らを実験台とした検証動画を発信し始めたんです」(山村先生、以下同)

 腕につけた小型の測定器で、食前から食後にかけて血糖値の変動を記録してデータ化。そうして計測データを収集した結果、これまでの血糖値の常識が覆された食べ物もある。

そばや玄米は意外に高い

食品が血糖値を上昇させる速度を数値化したGI値という指標があり、その数値が低いと血糖値が上がりづらいとされてきました。しかし、低GI食品の玄米も、白米と同じようにしっかり上昇していたことに、個人的にもびっくりしました

 加工食品の材料に含まれる隠れた糖質や炭水化物も思わぬ伏兵に。例えば焼き鳥の甘辛いタレや、甘いお酒に含まれる果糖ブドウ糖液糖などもそう。血糖値がなかなか下がらない人は、そのような隠れ糖質を見逃している可能性があるという。

 注意したいのが、食事のたびに急上昇・急降下する“血糖値スパイク”。乱高下が血管に負担をかけ、病気のリスクを上げてしまう。

実は食後の眠気は血糖値スパイクが起きているというサインかも。食後2時間くらいするとお腹がすくなどの自覚症状があれば、糖分の摂取を控えてみてください

 また、週女世代は加齢や女性ホルモンの減少により血糖値が上がりやすいという。

「膵臓(すいぞう)から分泌される血糖値を下げるホルモン『インスリン』を出す働きが落ちてくるので、高血糖が続いたり、本来そこまで血糖値が上がらない食品で急上昇することもあるため、注意が必要です」

揚げ物はOK!おやつは低糖質を

 山村先生は、コンビニ食やお酒、流行(はや)りの健康食品をはじめ、数々の食べ物や食べ方の血糖値変化を実験。巷(ちまた)でいわれているヘルシーなものにも注意が必要ということをYouTubeで発信している。

注意すべきは炭水化物の量。炭水化物は糖質を多く含むからです。玄米やオートミールなどをヘルシーだから大丈夫といって積極的に食べる方がいますが、炭水化物量が増えれば、血糖値は上昇し高血糖が長く続きます

 まずは、ご飯やパンなどの主食の全体量を減らす食べ方を心がけてほしいという。

「肉や魚、豆腐などのタンパク質を1品増やし、ご飯を半分にするなど、量を調整してください。唐揚げなどの脂ものは太りやすいイメージがありますが、脂質が多いと消化吸収に時間がかかり、血糖値の上昇はゆるやかになるので、揚げ物は食べてもOKとしています」

 野菜を先に食べる「ベジファースト」に加え、炭水化物を後半に食べる「カーボラスト」や、「食前にプロテインを飲む」のも効果あり、という結果になった。

 そして、甘党派が気になるのは、おやつ問題。

「どうしても食べたいなら、食事の最後がベストなタイミング。種類は高カカオチョコレートや低糖質スイーツなどの糖質控えめのものか、ゆで卵やチーズなどタンパク質の多いものを選びましょう」

 健康に過ごしたいと思う反面、好きなものを食べられない生活はつらいもの。

「たまには、甘い物を食べる代わりにご飯などの主食を減らす、ラーメンを食べるときは野菜を多めにするなど、一生続けられる程よいラインを自分で探るのがポイント。

 病気は、なる前に防ぐことが大事。日々の食事で血糖値を上手にコントロールすることが病気予防の第一歩になります」

※血糖値には個人差があります。今回ご紹介するデータはすべて山村先生自身の血糖値測定器リブレでの測定結果です。

検証その1:「食後血糖値」が上昇するのは……

玄米と白米、どっちが上昇?

【結果】低GI食品の玄米だが上昇率は白米とほぼ同じ

 食物繊維が多く、食後血糖値が上がりにくいとされる低GI食品の代表格・玄米だが、白米と上昇率はほぼ同じ。高血糖の時間も長く、血管に負担がかかっている可能性が。

「一方で白米のように急激に下がると低血糖の症状が出ることも。一概にどちらがいいとは言えません」(山村先生、以下同)

そばとうどん、どっちが上昇?

【結果】「小麦粉由来のうどんのほうが血糖値が上がりやすい」はウソ

 そばに含まれる植物性タンパク質には食後血糖値の上昇を抑える働きがあるといわれているが、うどんと大差なしという結果に。

「計測してみたらこのときは、うどんより数値が高くなりました(笑)。血糖値が気になるときは、GI値よりも炭水化物量をチェックしてみて」

全粒粉パンと食パン、どっちが上昇?

【結果】むしろ全粒粉パンのほうが血糖値が上昇しがち!

 食物繊維や胚芽を含む未精製の小麦で作られる全粒粉パンは普通のパンに比べてGI値が低い。しかし、食後血糖値は食パン同様に上昇し、上昇幅は89mg/dLに。「全粒粉パンから、ビタミンやミネラルを摂取できる点はいいと思います」

焼き鳥のタレと塩、どっちが上昇?

【結果】調味料の“隠れ糖質”に注意!焼き鳥を食べるなら塩一択

 山村先生は焼き鳥の味つけぐらいでたいして血糖値は変わらないと思っていたが、甘みを加えたタレのほうがはるかに上昇。

「『今まで調味料はあまり気にしなくても良い』と患者さんに伝えていましたが、『隠れた糖質は要注意』に変えました」

柿の種とピーナツ、どっちが上昇?

【結果】柿の種の原料は米、ピーナツだけならセーフ!

 ピーナツは炭水化物量をほとんど含んでいないので、血糖値に影響はない。柿の種は1袋でもかなり変動した。

「柿の種の原料は米なので、ご飯を食べているのと一緒。しょっぱいおつまみなら血糖値が上がりにくいというイメージもありますが、決してそうではありません」

日本酒とハイボール、どっちが上昇?

【結果】ハイボールなどの蒸留酒なら安心!穀物が原料の醸造酒は注意

 日本酒は米が原料の醸造酒のため、しっかり血糖値が上昇した。ハイボールはウイスキーを無糖の炭酸で割ったもの。ウイスキーは蒸留酒のため糖質は基本的にゼロなので、血糖値への影響は少ない。「日本酒を楽しむなら適量で」

甘いサワーには血糖値上昇の大敵「果糖ブドウ糖液糖」が!
 焼酎はハイボールと同じ蒸留酒のため糖質ゼロだが、甘い味のサワーは危険。果糖ブドウ糖液糖という血糖値を上昇させる親玉のような糖が使われている場合もある。サワーは焼酎+炭酸で手作りした無糖のものがおすすめ。

検証その2:ヘルシー食材&食事法は血糖値を上げにくい?

オートミールは上げにくい?

【結果】炭水化物量が多く、2回も血糖値上昇…実はヘルシーじゃない!?

 健康志向の人に支持されているオートミール。「たった30gを食べただけで血糖値がグンと上がったあと、100分後に再上昇しました」。これは炭水化物量が多いと処理しきれず再びインスリン分泌が起こる現象。

「原料は穀物のオーツ麦。身体にいいとされていますが、血糖値の変動は食パンと同じくらいありました」

和菓子(どら焼き)は上げにくい?

【結果】和菓子で血糖値は急上昇!低糖質なら食べて良し

 ヘルシーなイメージの和菓子だが、あんこに含まれる砂糖は吸収が早く、血糖値の急激な上昇を招く。どら焼きの実食でも食後血糖値は急上昇&急降下。

「実はショートケーキのほうが血糖値は上がりにくい。和菓子を食べるならエリスリトールなどの天然甘味料を使った低糖質のものを選んで」

果物は上げにくい?

【結果】栄養はしっかりあるが果物の血糖値変化はスイーツと同じ!

 果物はビタミンやミネラル豊富で栄養価が高いが、実は血糖値を爆上げする食材。例としてスイカで実験したところ、食後40分で230mg/dLとなった。

「果物はご飯やパン、スイーツと同じと思ってください。フルーツを使ったスムージーも要注意食品です。バナナは1本、りんごは半分が1日の摂取量の目安」

お酢は上げにくい?

【結果】食事にお酢をかけるだけでOK!血糖値の上昇をゆるやかにする効果あり

 お酢には食後血糖値の上昇を抑制する効果があるというデータも。冷麺をお酢(りんご酢35ml)のあり、なしで食べ比べてみたところ、お酢と一緒に食べたほうが血糖値のピークがゆるやかに。

「一説ではお酢の酢酸に効果があるといわれています」

野菜先食べは上げにくい?

【結果】野菜先食べは効果あり!15分前に食べるとさらにGood

 先に野菜を食べてからタンパク質、炭水化物の順で食べる食事法「野菜先食べ(べジファースト)」。野菜サラダをおにぎり2個の「直前に食べる」「15分前に食べる」で比較すると、15分前に食べたほうが上昇率がゆるやかに。

「おにぎり2個のみを食べて検証した際と比べても変化がゆるやか。そのため、ベジファーストは効果があり、さらに時間を空けるともっと効果的だといえるでしょう」

冷やご飯は上げにくい?

【結果】“レジスタントスターチ”による効果はほとんど見いだせず…

 ご飯が冷める過程でできる「レジスタントスターチ」は消化吸収されにくく、血糖値の上昇を抑えるという説がある。そのため、血糖値を上げない手段として冷やご飯をすすめる健康法があるが……。

「炊きたてのご飯と比較したところ、ほぼ同じ! 1食分の量では、消化吸収にはさほど差がないと私自身は推測しています」

プロテインファーストは上げにくい?

【結果】「炭水化物だけ」と明らかな差!食前プロテインドリンクは効きめ大

「カップ焼きそばのみ」と「プロテインを飲み、15分後にカップ焼きそばを食べる」の2つを比較。食後50分で、前者は上昇幅107mg/dL、後者は55mg/dLに。

「上昇幅の差は約半分。食前の牛乳でも効果があることがわかっています」

【結論】食事は時間をかけて「炭水化物をあと食べ」

 食後血糖値を急上昇させないためのポイントは、炭水化物をできるだけ食事の後半に回す「カーボ(炭水化物)ラスト(最後)」を実践すること。

 実験でも効果のあった「ベジファースト」のあと、肉や魚のおかずを食べ、食事開始から15分くらいたってから炭水化物を食べる。こうすることで、血糖値を急上昇・急降下させる血糖値スパイクの予防が可能に。

 朝食は特に食物繊維を多めにしてご飯やパンなどの主食を控えめにするほか、甘い味のタレやドリンクなど、隠れた糖質にも気配りを。

「早食いも血糖値をグンと上げてしまうNGな食べ方。ゆっくりよく噛んで食事を味わうことも大切です」

教えてくれたのは……山村 聡先生●やさしい内科クリニック院長。日本内科学会認定内科医。診療の傍ら、登録者数8.6万人のYouTubeチャンネルやSNSで、糖尿病の啓発・予防のため血糖値に関する情報を発信している。

取材・文/釼持陽子

このニュースに関するつぶやき

  • 内容が強化版健康オタク
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

ランキングライフスタイル

前日のランキングへ

ニュース設定