高い致死率“マダニ感染症” 西日本中心から関東地方にも… 専門家「野生動物が運び屋の可能性」 感染を防ぐ対策は?【news23】

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2025年06月27日 14:03  TBS NEWS DIG

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死亡例が相次いでいるマダニ感染症。これまでは西日本が中心でしたが、関東地方にも広がり始めています。原因となるウイルスは、アライグマなどの野生動物が運搬する可能性も指摘されています。

【図解を見る】マダニから身を守るためには

マダニ感染症 死者相次ぐ

20代会社員
「夏は服を着せて、ダニとか入り込まないように」
30代自営業
「ダニ対策のスプレーをかけてから出てきてます」

体長3ミリほどのマダニ。SFTS(重症熱性血小板減少症候群)を媒介し、人が感染すると死亡することもあります。

このマダニ感染症、近年、人への感染例が増加。国内で初確認された2013年と比べると3倍になっています。

静岡県では、60代の男性が感染。右脇腹など3か所にマダニの刺し傷がありました。感染は刺されることだけが原因ではありません。

三重県では5月、SFTSに感染した猫の治療をした男性獣医師が、呼吸困難などの症状がでて救急搬送され、その後死亡。愛知県豊田市でも6月に2人が死亡しています。

マダニのSFTSウイルスの保有率は数%ほどですが、感染、発症すると発熱、下痢などが出ます。そして、致死率は6%から30%と高いのが特徴です。

7年前にSFTSに感染した獣医師
「治療中の猫が身震いをした時に、補液剤と出血が飛び散って、おそらくそれが目から侵入した可能性があると推察されている」
「やはり不安ではあった。死ぬかもしれないっていう恐怖も感じられないくらい、きつくて、ただ寝ているだけっていう感じだった」

SFTSの感染経路は、屋外で刺された場合のほか、ペットに付着したマダニによるものや、発症した動物の体液に触れ、感染する可能性もあります。

特にネコは発症しやすく、外に出てしまった場合、注意が必要です。

国立環境研究所 五箇公一 特命研究員
「マダニの場合は、口にあるハサミで皮膚を切って、そこに頭突っ込んで血を吸う。その切り方がすごく上手で、あまり痛みを感じることはなく、1週間以上血を吸われても気づかないというケースで、そういうことで病気も感染してしまうということになります」

これまで、西日本で多かったマダニによるSFTSですが、近年は関東でもじわりと増加しています。

5月、茨城県ではペットの猫が感染、発症数日後に死にました。県によると、ベッド感染の事例は関東では初めてのこと。そして、街中でのマダニが増えてきています。

五箇公一 特命研究員
「最近クマが山からどんどんおりてくる。シカ・猪そういったものが、すごい人間の生活圏に近づいてきちゃってる。彼らが本来の宿主になりますから、そういったものがどんどん人間社会におりてくるっていうことは、マダニも一緒に降りてきてしまう」

東京・板橋区で撮影された外来種のアライグマ。こうした動物にも、マダニが付着している恐れがあるといいます。アライグマは外来種ですが、近年、都内で増加。23区のうち22区が捕獲に取り組んでいます。

五箇公一 特命研究員
「そういう野生動物たちは、全然SFTSウイルス発症しないまま、ウイルスを運ぶという運び屋状態になっている」

マダニ感染症 致死率6%〜30%

藤森祥平キャスター:
都市部の街中にも広がってきているマダニから身を守るために、厚生労働省は、山や草むらで活動する場合には肌の露出を控えましょうと推奨しています。関東でも今、このマダニの感染症が増えているということですのでご注意ください。
専門家の五箇さんによると、虫除けスプレーをしっかりと肌に塗ることでマダニが寄ってくるのを防ぐことができるといいます。虫除け成分に「ディート」の濃度が30%入っているものが効果的だそうです。

注意が必要なのが「ディート」の刺激性によって、小さなお子さんが痛がることもあります。その場合は、「イカリジン」という虫除け成分が入っているものを選ぶと良いということでした。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
近年のパンデミックで注目されるようになった「ワンヘルス」という言葉。「人間社会の健康というのは、健康な動物・生態系のあり方と切り離せないので一緒に考えよう」という意味です。

最近では、里山が荒れて鹿やイノシシ、アライグマのような外来種も増えています。気候変動の影響もあって、周りの生態系のバランスが崩れる中で、マダニ感染症もどんどん身近な存在になっています。

やはり、人間の健康や食料というのも、全て自然とか動物の健全なあり方に繋がっています。この「ワンヘルス」という考え方は改めて大事だと思いました。

こういったニュースをきっかけとして、気候変動・生物多様性の問題について社会の関心を高めていかなければいけないなと感じています。

<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済・社会思想
ドイツ在住 著書『人新世の「資本論」』

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