
家庭で出たごみを回収してもらうために、なくてはならないごみ袋。無料配布している自治体もあるなか、いまフリマサイトにはその「無料ごみ袋」の出品が相次いでいます。
【写真を見る】フリマサイトの出品者に理由を聞くとコメントが削除
無料ごみ袋を購入する理由井上貴博キャスター:
転売は非常に根深い問題ですが、「安く仕入れて高く売る」というのは市場経済の原則であり、なかなか規制することができません。
しかし、元値が0円のものを売ることについては、どのように規制していけばよいのでしょうか。
大阪・八尾市では、無料のごみ袋の転売が問題となっています。
指定されている家庭用ごみ袋があり、自治体で半年に一度、各世帯に無料配布されます。それがフリマサイトへ大量出品されているのです。中には1000円を超えるものもあります。
なぜ無料で手に入るものをお金を出して購入する人がいるのでしょうか。
八尾市は、配布しているごみ袋には「転売禁止」と記載していますが、これは条例ではありません。
ごみ袋が不足したら、無料で追加配布されます。不足しても無料で配布されるものを、お金を出して買っている人がいるのは、どうしてなのでしょうか。
議会でごみ袋問題を追及している、八尾市の柴谷匡哉議員のコメントです。
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大阪・八尾市 柴谷匡哉議員
「本来『家庭用ごみ袋』を使うことができない事業者が使用するのを見た」
柴谷市議によると、事業者のごみ出しは、▼1人1枚100円の事業用のごみ袋を購入、もしくは▼民間の回収業者と契約をしなければなりません。
そのごみ出しの費用を、フリマサイトで無料ごみ袋を購入し、費用を浮かせている可能性があるといいます。
消費者問題に詳しい岡田崇弁護士によると、「その事業者は不法投棄にあたる可能性がある」といいます。事業者としては、会社のごみを家庭ごみとして偽って出すと、不法投棄、つまり法に触れる可能性があるということです。
“転売”自体には法律的な問題はありません。
八尾市は今後、どのような対応をしていくのでしょうか。
JNNの取材に対し、▼“転売”を控えるよう市民に啓発していく、▼“転売”禁止の条例を専門家の意見を聞き検討していくといいます。
条例を作ったとしても罰則はないので、どこまで効果があるのでしょうか。
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無料ごみ袋の転売にSNSでは様々な声が聞かれました。
「税金で配られたものまで金儲けの道具に…」
「袋を製造するのもコストがかかるのだから、いくらでも金額を設定すればいいのに」
「“転売”は罰則付きの禁止にすればいい」
「いくらでももらえるなら金に変えることを考えるのは自然の成り行き」
俳優・タレント 大和田美帆さん:
売る人もいて買う人もいて、それが成立してしまっていますよね。法律以前に、人としてどうなのかと思います。
井上キャスター:
倫理的な部分にアプローチしたいのですが、法律では何も規制ができません。かつ需要があるから売れてしまいます。
井上キャスター:
無料ごみ袋の転売に歯止めをかけた自治体もあります。愛知・東海市のごみ指定袋です。
1年に1回一定枚数を無料配布し、追加分から1枚120円と有料化していました。「追加分を有料で購入するなら…」とフリマサイトで転売が横行しました。
そこで2024年、市として条例に「指定ごみ袋の転売、譲渡の禁止」という一文を追加しました。
罰則はありませんが、この一文の追加には一定の効果がありました。
条例に追加したことで、フリマサイトなどに出品取り消し要請がしやすくなり、転売が減少したということです。
これまでは「フリマサイトへの出品を取り消してください」と言ってもルールがないので、自治体がそれ以上踏み込むことができませんでした。しかし、条例があることで、フリマサイトも動かざるを得ません。
八尾市なども、やはり条例を作るべきではないかと動き出しているようです。
ごみ袋以外にも転売は様々なところで問題になっています。
千葉市の「幕張ビーチ花火フェスタ」は、チケットは数千円〜高いもので5万円と、幅のある価格設定をしています。市民には無料の招待席を一部設けています。招待席は抽選で、当選するとはがきが送られてきます。
2024年、この当選はがきの転売が問題になりました。
対策として▼当選はがきに“転売”禁止記載、▼受付で本人確認、▼HP等で呼びかけなどを行ったところ、2025年には問題になるような事実は確認されなかったといいます。
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他にも、下水道事業PRアイテムである「マンホールカード」の転売もありました。
全国各地各自治体でそれぞれ特色のあるカードがあります。下水道への関心を促すために無料で配布されており、原則1人1枚で、特定の場所のみで配布されています。
滋賀・大津市では、ガンダムモチーフのマンホールカードの転売が相次ぎました。
市の担当者によると、「本来の目的とは違う意図で使用されているのは大変残念」ということです。
このような元値が0円のものの転売を、どのように規制していくのかは新たな問題です。
大和田美帆さん:
私もサインを頼まれて、そのサインが転売されていたことがあり、とてもショックでした。
無料のものとはいえど、誰かがお金をかけて作ったものを無料で手に入れて、それを転売するというのは、人としてダメだと思います。
井上キャスター:
それ以上踏み込むことができないことにも、モヤモヤを感じますよね。
最近では、ゆうちょ銀行のATMで封筒が大量に持ち去られることがありました。
フリマサイトでは100枚セットが「SOLD OUT」に。ゆうちょ銀行は「必要以上の持ち去りや転売行為は控えていただきたい」としています。
環境負荷があることから、銀行では封筒を設置しないところも多いですが、封筒があると助かるという人もいるから設置している中で、このようなことがあると、便利な世の中も少しずつ変わってしまうのかもしれません。
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〈プロフィール〉
大和田美帆さん
俳優・タレント
音楽療法士・子供心理カウンセラーなどの資格を持つ
大和田獏・岡江久美子の長女 1児の母