「光遺伝学」で視力回復へ=難病患者に治験実施―慶応大
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2025年02月13日 19:31 時事通信社
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慶応大は13日、遺伝性の目の難病患者に治療薬を注射して、視力を回復する臨床試験(治験)を実施したと発表した。光を当てて神経細胞の働きを制御する「光遺伝学」の技術を応用。網膜の視細胞が担う光を感知する働きを、神経細胞に代替させる仕組みで、研究チームは「失明疾患に新たな治療法を提供する重要な一歩だ」としている。
栗原俊英准教授らは、光を感じる目の網膜に異常が起きる「網膜色素変性症」などの難病疾患について、光遺伝学を用いた実験を進めてきた。網膜色素変性症の発症頻度は、4000〜8000人に1人とされ、根本的な治療法は確立されていない。
今回の治療法は、光に反応する「キメラロドプシン」というたんぱく質を作る改良遺伝子を神経細胞に届けることで、機能が低下した視細胞に代わって光を感知する機能を持たせる仕組み。マウスの実験では、視覚再生や視細胞を保護する効果を確認したという。
治験対象は成人患者6〜15人で、約半年間経過観察を続けて安全性と有効性を確認した後、実用化を目指す。既に1例目の投与は終了し、重篤な合併症は発生していないという。
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