「通信の監視」に「攻撃無害化」 能動的サイバー防御導入の審議始まる 私たちの「プライバシー」は守られる?

79

2025年03月20日 16:52  TBS NEWS DIG

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

TBS NEWS DIG

TBS NEWS DIG

サイバー攻撃を未然に防ぐための法案の審議が国会で始まっています。導入されれば、政府が通信情報を監視・分析できるようになるため、プライバシーが侵害されないか懸念の声もあがっています。なぜ今、必要なのでしょうか。

去年末に発生した日本航空へのサイバー攻撃。国内では同様の被害が相次いでいて、生活に直結する“インフラ”への影響が日々、深刻化しています。

2000社以上の企業からサイバーセキュリティの委託を受ける会社を訪ねると…

GMOイエラエ 阿部慎司 執行役員
「これは実際の(日本への)サイバー攻撃を可視化した画面になります」

日本で被害が相次いだ去年末の同時期、わずか1分の間に、この会社が感知しただけでも600万回もの攻撃が行われた日もあるといいます。

現在の日本の法制度では、こうした攻撃の被害を抑える「壁」を作ることはできても、攻撃そのものを止めることはできません。このため、サイバー攻撃への対処には“限界”があると話します。

GMOイエラエ 阿部慎司 執行役員
「今の制度はあくまで、来た攻撃を防ぐみたいな目線なので。次こっちから、次こっちから、いたちごっこをするしかないですね、常に後手後手になっちゃうので。誰が何の目的で、何をやっているんだというところまでたどり着けない限りは、やはりかなり厳しい“防戦一方”の戦いを強いられるのかなと」

こうした現状を受け、今週、国会ではサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の導入に向けた法案の審議が始まりました。

この制度は、▼電気や鉄道などのインフラ事業者に被害が予測される場合、警察や自衛隊が攻撃元にアクセスして機能を停止させ、“攻撃を無害化”することが可能になるというものです。

法案はサイバー攻撃を事前に察知するため、“政府による通信情報の監視・分析を可能にする”といったものですが、この「監視」については懸念の声も…

日本維新の会 市村浩一郎 衆院議員
「憲法21条1項で表現の自由を保障し、2項で検閲の禁止と並んで『通信の秘密』の保障を規定。平時からの監視については、この『通信の秘密』を侵す懸念もあります」

共産党 塩川鉄也 衆院議員
「なぜ、個人の通信情報を政府が勝手に取得できるのですか。この法案は憲法が保障する『通信の秘密』、プライバシー権の侵害そのものではありませんか」

石破総理
「『通信の秘密』の尊重等につきましては、既に相当程度の措置が講じられているところで、政府といたしましては、法案の円滑なご審議をお願い申し上げるものでございます」

法案では、監視する通信情報から、▼国内同士のやりとりを除くほか、▼メールの本文や件名は対象とせずに、機械的に識別を行うなどとしていますが、実効性の確保などが今後の焦点になるとみられます。

また、サイバー攻撃に対する無害化を行う具体的な状況が示されていないことや、「海外に対する先制攻撃にあたるのでは」との指摘もあがっています。

政府・与党は早期に制度を導入したい考えですが、相次ぐ懸念に丁寧な説明が求められます。

このニュースに関するつぶやき

  • 一緒にはできないかもしれないけど、今や犯罪解決の切り札になっている防犯カメラの設置が増えた頃に「プライバシーが侵害される」と抵抗していた人たちがいたっけなあ(遠い目)
    • イイネ!7
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(59件)

前日のランキングへ

ニュース設定