三毛猫の毛色遺伝子発見=色素切り替え、オレンジか黒に―サビ猫や茶トラにも関与・九州大など

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2025年05月16日 07:31  時事通信社

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時事通信社

三毛猫(写真左)とサビ猫。オレンジか黒の毛色を切り替える遺伝子が発見された(九州大の佐々木裕之特別主幹教授提供)
 三毛猫のオレンジ(赤茶)または黒の毛色を決める遺伝子を発見したと、九州大の佐々木裕之特別主幹教授らが15日付の米科学誌カレント・バイオロジー電子版に発表した。この遺伝子は性染色体のXにある「ARHGAP36」で、配列の一部に欠失があるとオレンジの色素が合成され、欠失がないと黒の色素が合成されるため、場所によって色の違いが生じる。

 三毛猫はほぼすべて雌であり、この遺伝子がX染色体にあることは約120年前に、2本あるX染色体のうち1本が不活性化され、残り1本だけ働くことは約60年前に解明されていたが、具体的な遺伝子が特定されていなかった。

 佐々木さんは「犬猫好きとして長年の謎を放置できず、研究費の一部として2022〜23年にクラウドファンディングを行い、約600人から1000万円超を頂いた。米スタンフォード大の研究チームも同じ遺伝子を特定して同時発表しており、間違いないと思う」と話している。

 九州大と国立遺伝学研究所、麻布大、近畿大などの研究チームは福岡市内の動物病院の協力を受け、さまざまな毛色の猫からDNAを採取、解析したほか、米ミズーリ大が公開しているDNAデータを調べ、「ARHGAP36」遺伝子を発見した。

 活性化している方のX染色体にあるこの遺伝子に約5000塩基分の欠失があると、オレンジの色素「フェオメラニン」が合成され、欠失がないと黒い色素「ユーメラニン」が合成される。オレンジと黒の2色のサビ猫もほぼ雌であり、色素切り替えの仕組みは共通。茶トラ猫の場合は雄が多く、性染色体がXとYの組み合わせであり、Xのこの遺伝子に欠失があるためオレンジが基調となる。

 まれに存在する雄の三毛猫には性染色体が1本多い異常があり、X2本とYの計3本になっていた。一方、白い毛の原因は常染色体にある別の遺伝子であり、仕組みが異なる。

 猫の祖先は中東のリビアヤマネコであり、約1万年前までに人に飼われるようになったと考えられている。リビアヤマネコは現代のキジトラ猫と似ており、毛の1本ずつが黒と茶のしま模様。古代の猫のミイラや絵画などを調べれば、いつどこで「ARHGAP36」遺伝子の欠失が生じるようになったか分かるかもしれないという。 

九州大の佐々木裕之特別主幹教授と三毛猫。三毛猫のオレンジか黒の毛色を切り替える遺伝子を発見した(同氏提供)
九州大の佐々木裕之特別主幹教授と三毛猫。三毛猫のオレンジか黒の毛色を切り替える遺伝子を発見した(同氏提供)

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  • 昨日、三毛猫のミケが実家にやってきた日だったのですが、九州大学の研究に期待と感謝を。南極に行った雄の三毛猫のたけし、も、その後元気だったか。
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