日大重量挙げ元監督を逮捕=奨学生から授業料徴収容疑―総額3800万円詐取か・警視庁

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2025年06月10日 10:31  時事通信社

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時事通信社

警視庁品川署に移送される日本大重量挙げ部元監督の難波謙二容疑者(左)=10日午前、東京都品川区
 日本大重量挙げ部の奨学生から本来は免除されている授業料などの名目で金をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は10日、詐欺容疑で、同部元監督の難波謙二容疑者(63)=東京都狛江市東和泉=を逮捕した。容疑を否認し、「寄付金として保護者の了解を取り付けて、もらったお金という認識だった。私的に使用した金は一切ない」と話しているという。

 同課は同様の手口で、約10年間に計48人から計約3800万円を詐取した疑いがあるとみている。

 逮捕容疑は2022年12月、翌年度に入部予定の奨学生の保護者4人に「2年次以降は徴収されない」と偽り、本来は支払いが免除されている授業料などを請求し、計205万円をだまし取った疑い。

 同課によると、難波容疑者はコーチに指示し、入学時の大学への納付金として、本来払う必要がない授業料などを含めた金額を記載した独自の請求書を奨学生の保護者に送付していた。

 保護者が同部の口座に振り込んだ金の一部を詐取した後、正規の振り込み依頼書を使って、学生名義で大学に納付金を振り込んでいた。大学はこうした「代理徴収」の手口に気づいていなかった。

 詐取金は現金で引き出し、自身の研究室に保管していた。大半は自身のスーツやバッグの購入などに充てていた。

 日大によると、同様の手口は少なくとも20年ほど前に始まり、不正徴収額は計約5320万円に上った。

 難波容疑者側は、日大との訴訟などの中で、不正徴収を否定。保護者から受け取って大学に納付しなかった金は「寄付金」だったと主張し、有望な高校生の勧誘経費に使ったと説明した。

 日大は、別の不祥事を調査する中で今回の不正を把握。被害が確認できた元部員の保護者ら58人に不正徴収相当額を全額返金した。

 難波容疑者の逮捕を受け、「社会に深くおわび申し上げるとともに、厳正に責任追及をする」とのコメントを出した。

 難波容疑者は00年4月に監督に就任した。日大は問題発覚を受け、24年7月に懲戒解雇し、警視庁に相談していた。

 日大重量挙げ部は1965年に創設され、全日本大学対抗選手権大会を23度制した名門。五輪出場選手も多数輩出している。 
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