健診結果表(イメージ) 正常とされる血糖値の範囲内でも、20年後の生存率には差があるとする研究結果を東北大などの研究グループが23日、発表した。一定の血糖値未満は20年後の生存率が高く、がんや心筋梗塞などによる死亡が顕著に少なかったという。
東北大病院の今井淳太特命教授らは、岩手県大迫町(現花巻市)の住民を対象に、1986年から4年に1回続く追跡調査のデータを活用。ブドウ糖75グラム入りの飲料を摂取した後の血糖値と寿命の関係を調べた。
それによると、調査を初めて受けた時点で糖尿病ではなかった595人のうち、摂取1時間後の血糖値が血液1デシリットル当たり170ミリグラム未満のグループは20年後も8割近くが生存。死亡した場合でも、がんや心疾患が死因だった人は少なかった。
一方、初回調査時に170ミリグラム以上だったグループは20年後に5割近くが死亡していた。
通常の検査では、摂取2時間後の血糖値が200ミリグラム以上の場合などに糖尿病と診断される。今井特命教授は「正常とされる血糖値でも、死亡リスクの低下につながる範囲があることが分かった。診断時は1時間後の血糖値も考慮する必要がある」としている。
論文は米科学誌「PNASNexus」に掲載された。