クマによる被害が相次いだことを受けて警察庁が初めて開いた研修会で対応を指示する同庁の阿波拓洋生活安全企画課長=16日午後、東京都内 各地でクマの被害が相次いでいることを受け、警察庁は16日、警察官がクマへの対応法などを学ぶ研修会を初めて開催した。各都道府県警の地域警察部門の指導担当者ら約50人が参加。クマの生態や被害事例を内部で周知し、住民の安全確保などに生かすのが狙い。
クマ被害に関する環境省のまとめでは、全国で108人が負傷し、うち5人が死亡(9月末時点)。警察庁によると、警察官が通報を受け現場で住民の避難誘導をしたり、不明者を捜索したりする機会も増えているという。
研修会では、市街地にクマなどが出没した際に市町村の判断で発砲を可能とする「緊急銃猟」制度について説明。クマの生態に詳しい大学教授が習性や身を守る方法などを解説したほか、北海道警と秋田県警の担当者が、実際に管内で起きたクマ被害事例を基に対応や得られた教訓を発表した。
警察庁の阿波拓洋生活安全企画課長は「クマの生活圏への出没や人身被害事案は大きな社会問題で、今後全国的に広がる可能性がある」とし、対応経験が少ない地域にも十分な準備が必要だと強調。機材や研修を充実させ、自治体などと緊密に連携することなどを指示した。