“紅白落選”でも存在感上昇中 SEKAI NO OWARIは、なぜ10代の心を掴むのか?

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2013年12月04日 11:11  リアルサウンド

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SEKAI NO OWARI『RPG』(トイズファクトリー)

 SEKAI NO OWARIの新曲「スノーマジックファンタジー」を起用したCMのオンエアが12月3日夜からスタートした。CMはJR東日本が展開する「JR SKISKIキャンペーン」のもので、2012年は女優・本田翼が出演し、男女グループでスキーを楽しむ可愛らしさが大きな話題を呼んだ。今年は女優・川口春奈が出演しており、楽曲がCMの世界をどう盛り上げているかが注目される。



 この「JR SKISKIキャンペーン」は当初、各地のポスターや公式サイトの画像において、SEKAI NO OWARIのメンバーDJ LOVEのピエロマスク が大きく写されており、ネット上では「去年とのギャップがすごい」「いったいJRはどうしたんだ!?」と騒がれていたが、1週間後には本当のイメージキャラクターである川口春奈の写真に切り替えられた。要するに、DJ LOVEのポスターはティザー広告だったのだ。「ピエロが怖い」という意見もあったが、結果的に多くの人の関心を集めたため、プロモーションは成功を収めたと言えるだろう。



 東洋経済オンラインによると、大々的なキャンペーンにSEKAI NO OWARIを起用した理由について、JR東日本は「ターゲットである若者層からの支持が高く、YouTubeやSNSなどのインターネット上でも多くのファンに支持されており、インパクトがあるため」と答えている。確かに、今年10月に開催した『炎と森のカーニバル』では合計6万人を動員しており(参照:「SEKAI NO OWARI単独フェスは6万人動員 ライブの“テーマパーク”化が進むワケ」)、いま最も勢いのあるバンドのひとつであることは間違いない。音楽ライターの柴那典氏も「10代が本気で盛り上がっている」と話す。



「ライブに足を運ぶと、中高生くらいのファンが圧倒的に多い。今年4月に行われた国立代々木第一体育館のライブでは4人組の女の子が“セ”“カ”“オ”“ワ”(SEKAI NO OWARIの略称)と書いた手製のウチワを振って盛り上がっている風景も目撃しました。いわゆるロキノン系と言われるロックバンドを好む人だけではない、幅広いファン層を獲得しているようです。先日の『炎と森のカーニバル』の模様を収めた最新PV『Death Disco』を見ても、彼らを取り巻く環境がよくわかります。何万人もの観客が一体となり曲の世界観や物語性に浸っているのですが、動画のコメント欄では『この曲はセカオワらしくない』『だったら、いつのセカオワが好きなんだ?』などと議論されている。“荒れ気味”とも言えるのですが、むしろそこに若いファンの熱心さが表れていると感じます」



 SEKAI NO OWARIが10代の心を掴む理由として、柴氏は「ファンタジーな世界観を追求するバンドとしてワン・アンド・オンリーな地位を確立したことにある」と分析する。



「ここ10年ほど、いわゆる売れ筋のJ-POPシーンでは、等身大の歌詞でリスナーに寄り添い共感を呼ぶ楽曲が主流でした。また、ロックバンドにおいてもASIAN KUNG-FU GENERATION、最近だとKANA-BOONなど、“普段着感”のあるバンドが一定の支持を得てきました。SEKAI NO OWARIはそのどちらでもなく、歌詞の世界観やライブの演出、ピエロ姿のメンバーがいることも含めて、全てが“おとぎ話”の方向性を持っている。中高生にも親しみやすいアーティストの中で、彼らほど明確にファンタジーの世界観を追求しているロックバンドは他にいない。唯一無二であることが、熱狂的なファンを抱える理由のひとつでしょう」



 キャッチーなメロディーや、“死”など深いテーマを取り上げる歌詞も彼らの個性だが、ビジュアルやコンセプトも重要な要素だという。



「彼らが目指しているのは総合的なファンタジーエンターテインメント。総製作費に5億円を費やした『炎と森のカーニバル』で、バンドとしてやりたいことの一つがようやく結実したのではないでしょうか。“リスナーと等身大ではない”“ステージ上で日常と別世界を見せてくれる”という意味では、90年代のヴィジュアル系バンドと同じ構造を持っていると言えるかもしれません」



 ファンタジックな作品で独特の存在感を放ってきたSEKAI NO OWARI。今回の「JR SKISKIキャンペーン」でのタイアップは、従来のようにどのように受け止められるのか。



「先ほど“コメント欄が荒れ気味”と述べましたが、こうしたメディア展開も、彼らの世界観に深い思い入れのあるファンからは波紋を呼ぶかもしれません。けれど、批判や議論が巻き起こるというのはそれだけ人気のある証拠。波紋を呼ぶこと自体が話題になり、さらに彼らの人気に繋がっていくのではないでしょうか」



 事前の”内定“報道まで出た紅白出場はならなかったが、彼らの存在感は大々的なメディア展開でさらに高まりそうだ。(リアルサウンド編集部)



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