星野源が俳優賞受賞 なぜ彼は多ジャンルで才能を発揮できるのか

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2014年01月22日 13:50  リアルサウンド

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星野源『Stranger』(ビクターエンタテインメント)

 星野源が、「第68回毎日映画コンクール」の俳優部門で、スポニチグランプリ新人賞を受賞したことが1月21日発表された。今回は星野が初主演した、2013年公開の『箱入り息子の恋』での受賞となるが、このところ星野は音楽活動だけではなく、役者としての評価が形になる機会も多い。1月17日に発表された「第37回日本アカデミー賞」では前述の『箱入り息子の恋』や『地獄でなぜ悪い』での演技が評価され、新人俳優賞を受賞。それ以外にも「第5回TAMA映画賞では最優秀新進男優賞、第35回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞などを受賞している。



 実は星野の俳優としてのキャリアは中学生時代からに遡る。2003年、舞台『ニンゲン御破算』に参加したことをきっかけに、松尾スズキ主宰で宮藤官九郎らが所属する個性派劇団“大人計画”の事務所所属となった星野は、その後も舞台だけでなく『タイガー&ドラゴン』や『ゲゲゲの女房』など数々のテレビドラマに出演。俳優としての芸歴は10年以上にもなる。繊細で気弱な役どころから肉食でアグレッシブな体当たり芝居まで役柄は幅広く、すべてをナチュラルに演じる“俳優”星野源には、業界内でもファンが多い。



 もちろん、音楽家としての存在感も年々増す一方である。2000年に星野がリーダーとなり結成したインストゥルメンタルバンド“SAKEROCK”だけでなく、近年ではソロ活動も精力的に行い、2013年5月に発売された最新アルバム『Stranger』はオリコン初登場2位を記録。SAKEROCKでの作品も含め、自己最高位を記録した。2013年7月に開催予定だった初の武道館でのワンマン公演は、星野が2012年にくも膜下出血を患い病気療養のため休養に入ったことから延期されたが、2013年9月には自身のオフィシャルサイトで完治を報告。振替公演が来月6日に行われる。“日常”を感性豊かに切り取る言葉と普遍性なメロディーを、多方向なアレンジで彩る星野の楽曲は、世代や男女を問わず多くの音楽ファンに支持されている。



 そして星野の才能はそれだけにとどまらない。自身が主宰する映像制作ユニット「山田一郎」が制作したSAKEROCKのMVは、SPACE SHOWER Music Awardsでベストコンセプチュアルビデオ賞を受賞。アニメ映画『聖☆おにいさん』では主人公の声を担当し、声優に初挑戦。また自身の著書も2作品発表しており、数々の雑誌で連載を抱える文筆家でもある。とにかく様々な活動で、自身の個性を発揮し続ける希有な表現者なのだ。



 映画監督であり、演出家の大根仁は自身のブログで星野について「役者をやりながら音楽をやる人は、そりゃたくさんいる。マルチな才能を使い分けて様々な表現をする人は、そりゃたくさんいる。個人的にも何人か知っている。が、星野君の表現スタイルはどう考えてもニュータイプだと思うのだ。(中略)バランスが良いとかそういうことではなく、音楽的才能と役者的才能が生まれつき同じ分量で備わっている」と語っており、さらに「これは世代的なことが大きいのだけれど、変な自己主張やがっつきが無いこと。『俺、なんでもやれちゃうもんねえカッコ良いだろう』という邪気がまったくない。実にサラリと冷静にふるまいながら、廻りの状況を判断し、それでいて表現は『HOT』という理想的な表現者であるのだ。(中略)それでいて、ココロの根っこの部分にはドロドロとしたマグマが煮えたぎっている」と、星野が多方面で活躍できる理由について解析している。それは星野の音楽作品についても全く言えることで、とても優秀なポップスでありながら、淡々としたなかに描かれる歌詞の世界はただのポップスというにはあまりに生々しい。星野の成功はそんな確かな作家性と情熱に加え、大根氏が云うところの星野の各々の活動における“フラットさ”が、今の時代性にフィットした結果ともいえるのかもしれない。



 本格復帰し、2014年も幅広い活動が期待される星野源。表現者の新しい形を体現する星野は、これからも多くのファンに胸が弾む作品を届けてくれることだろう。(岡野里衣子)



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  • 源くんの今年のライヴチケットもゲットしたから、会えるのが楽しみです!サケロックのベストも買いました!早く元気な姿を見せてください!でも無理しないでください!
    • イイネ!2
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