究極のワイヤレス!「ながら充電」が電気自動車の電欠を解消する

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2015年03月25日 11:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

日産、三菱に加えてVW、BMWなどが日本へ電気自動車(EV)を導入するようになり、ユーザーが増えつつあるが、多くは近距離利用が主体で、遠出にEVを使用するケースはまだまだ少ないようだ。

その理由として大勢を占めているのが、やはり“電欠”への精神的プレッシャーだという。一般路ならまだしも、高速道路を走行中に電池の残量が底をついて電欠を起こしたら……と考えると、100kmを超えるような遠出には躊躇してしまうのが実情。

もっとも、最近では充電スポットが増えつつあり、コンビニや道の駅などを含めて全国に約3,500ヵ所以上、急速充電器が設置されるまでになった。とはいえ、満充電に数十分要することから、先客が充電中の場合、どうしても充電待ちが発生する。こうした事態を解消するため、次世代バッテリーの開発が続けられているが、実用化はもう少し先になりそうだ。

走行中に「ながら充電」する技術

そんな電欠ストレスからEVユーザーを解放する技術が存在する。それが究極のワイヤレス給電ともいえる“走行中給電”。道路上に送電装置を仕込むことで走行中の充電を可能にする技術だ。

SOUMU

この技術のベースとなるワイヤレス給電については既に実用化段階にある。身近なところでは、WPC(Wireless Power Consortium)規格『Qi(チー)』に準拠した“おくだけ充電”や電動歯ブラシなどだ。

YRP

ワイヤレス給電には主として2方式があり、弱電製品では2コイル間に発生する磁界を介して電力を伝送する『電磁誘導方式』が一般的だが、クルマの場合は磁界の共鳴現象を利用して電力を伝送する『磁界共鳴方式』が主流になりつつある。

その理由は、『磁界共鳴方式』のほうが送電側と受電側(車両側)コイルの位置ズレに寛容なことと、電力を飛ばす距離を長くとれることの2点がある。

TOYOTA

駐車場等に設置したワイヤレス送信機の位置に合せて車両を駐車、そのままの状態で充電を完了する。走行中給電の実現にこの『磁界共鳴方式』を使おうという訳だ。

国土交通省が管轄する国総研(国土技術政策総合研究所)の研究によれば、道路の構造や維持管理を考慮した場合、路面アスファルトの中ではなく、地表より60cm以上深い路盤に給電用コイルユニットを埋設する必要があるとしている。

『磁界共鳴方式』では道路に用いられる砕石やアスファルト等があっても殆ど影響を受けない。磁界を主に用いることや、送受電装置間の距離が1mから2mと長く、位置ズレに強いという特徴があるため、走行中給電に向いている。

WTPS

現在研究されているワイヤレス給電技術は、停車中給電を対象としているため、送電装置と受電装置は同形状、同サイズのコイルを用いた例が多いが、国総研では送電コイルと受電コイルの大きさを極端に異なるサイズとすることで走行時に安定した給電ができるなど、良好な結果を得ているそうだ。

世界初の安価な走行中給電技術

また、豊橋技術科学大学では大成建設と共同で日本独自の『電界結合方式』を開発。道路に埋設した電極板からタイヤ内のスチールベルトを介して数MHzの高周波電流をLC回路経由でモーターへ供給し、送受電用コイルを不要にする画期的な技術を実現している。


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EV・PHVの利便性が大幅に向上する

高速道路に走行中給電システムが設置されれば、有料道路としての利用価値が高まると共に、航続距離を伸ばすための無駄なバッテリー増を回避できるため、EVの軽量化が可能となり、電費が向上する。

一般路に降りれば高速道路走行中に充電した電力で走行することになり、ガソリン車にヒケをとらない“遠出”が可能になるというワケだ。効率重視で小さめのバッテリーを積んでいるPHVでも効果は絶大で、高速道路走行中は、すべてEVモードで走ることができる。

資源の少ない日本ではエネルギーの多様化が重要であり、水素エネルギーを利用するFCVとあわせてEV・PHV普及への活路を見出しておくことが望まれる。

このニュースに関するつぶやき

  • 屋根にソーラーパネル仕込めば『ながら充電』出来ると思うけど…
    • イイネ!3
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