片手で持てるスマートフォンですら、フルHDを超えるディスプレイを持つようになった現代。ハイレゾリューションなコンテンツを求める声が高まっている。その声に応えるかのように、静止画像の画素数増大、および動画の解像度・フレームレート増大と、レンズが捉えたシーンの細部まで記録できるようデジカメ・ビデオカメラのセンサーのスペックが向上している。
リッチなコンテンツはそれだけファイルサイズが大きくなる。ならばこそ高速にデータを転送する技術が求められる。
業界初!? 新技術TransferJetをつかったSDメモリカード
東芝が発表した『SD-TJA016G』は、まさに新しいトレンドとなるSDカードといえよう。
『SD-TJA016G』は近接無線転送技術TransferJetを搭載した業界初のSDメモリカードとして7月31日からリリースされる。別途PC・スマートフォン&TransferJetアダプタが必要になるが、データを転送したい端末のアダプタに『SD-TJA016G』を挿入したデジカメをかざすことで、実効レート375Mbpsというハイスピードでメディアデータを転送できる。
いちいちUSBケーブルでデジカメとPCなどとを接続しなくてもいいし、SDカードを抜いてカードリーダー経由でデータを転送する手間もない。近接させる必要はあるが、完全ワイヤレス環境でデータの転送・共有が可能だ。しかもWi-FiやBluetoothと違ってペアリングも必要としない。
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技術そのものは2008年に一般公開されたものとなる。TransferJet事務局代表をつとめるソニーは2010年、TransferJet対応したコンパクトデジカメ、メモリースティック、Windows PCをリリースした。しかし2012年を過ぎるとソニーは熱意を失ってしまう。
そんなTransferJetに再び光を当てているのが東芝だ。USB/MicroUSBのTransferJetアダプタ、Lightning(iOS用)のTransferJetアダプタをリリース、また東芝製のチップを搭載したと見られるTransferJet対応スマートフォン(ARROWS NX F-04G)もリリースされた。
そして待望のTransferJet対応SDカードの発表だ。
従来のボディを変えなくても機能をアップデート
同製品のはるか以前からWi-Fi機能付きSDカードで一世風靡したEyefiというライバルがいるし、電波の到達範囲が約10メートルで理論スループットが6.8GbpsとなるIEEE802.11acが控えていることを考えると、TransferJetが今後広く普及するものになると考えるのは無理がある。しかしSDカードという、従来のデジカメのボディを変更せずとも機能をアップデートできるデバイスゆえに、同製品を求めるユーザーは多いだろう。