【図解】タワマンに住む人はお金持ちではない?

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2015年09月25日 17:11  ニューズウィーク日本版

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 ビリオネア(富豪)になりたかったら、まずはその実像を知るべし――。そうして彼らと同じように考え行動することが、自らもお金持ちになる近道だと、評論家であり、億単位の資産を運用する個人投資家でもある加谷珪一氏は言う。


 住む場所から友達の選び方、移動手段、見栄の張り方まで、加谷氏は著書『お金持ちの教科書』と『図解 お金持ちの教科書』(ともにCCCメディアハウス)で、お金持ちの実像を明らかにしている。


 ここでは『図解 お金持ちの教科書』の「第1章 お金持ちってどんな人?」から一部を抜粋し、6回に分けて掲載する。今回がシリーズ第4回。タワーマンションを題材に、どんな層がどんな物件を買う傾向があるかを見ていこう。


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『お金持ちの教科書』


 加谷珪一 著


 CCCメディアハウス


『図解 お金持ちの教科書』


 加谷珪一 著


 CCCメディアハウス



※第1回:【図解】そもそもお金持ちって? はこちら


※第2回:【図解】あの人はお金持ちなのに、なぜ貧乏そうなのか? はこちら


※第3回:【図解】土地を持っているお金持ちと、お金を持っているお金持ち はこちら


◇ ◇ ◇


 最近はタワーマンション・ブームだが、先にも触れたように、東京の「一等地」の高台には多くの先住者がいる状態。したがって、新しい高級マンションの多くが、これまではあまり高級とは言われていなかった低地や海沿いに建てられている。


タワマン居住者は破産者予備軍!?


 一部ではタワーマンションはお金持ちの象徴とされているようだが、現実はだいぶ違うようだ。タワマン居住者は、新たな破産者予備軍とも言われているのである。


 東京圏ではタワーマンションは大きく3種類に分類される。


・都心に建てられた高級物件


・湾岸地域の物件


・首都圏近郊の物件


 都心部の超高級物件を購入する層は明らかに富裕層である。地方の富裕層がセカンドハウスとして購入するケースも多い。一方湾岸エリアのタワーマンションを購入する層の中心は、富裕層ではなく大手企業のサラリーマン層が多いと言われている。


 湾岸部のタワーマンションを購入しているのは、一昔前であれば世田谷区など郊外エリアに好んでマンションを購入していた層なのだ。彼らの年収は1000万円前後。富裕層には程遠いが、中小企業のサラリーマンなどから見たら高給取りだ。しかも妻の多くが専業主婦であり、いわゆる「昭和妻」タイプが多い。


 昭和妻とは雑誌『AERA』が名づけたもので、一流企業に勤める旦那さんを持ち、専業主婦、そして「マイホーム」「消費」「子供の教育」に血道を上げる昭和的価値観を持った女性ということらしい。


 彼らは富裕層への憧れが強く、食材も高級スーパーで購入したり、外車に乗ったりしている。だが実際の年収は1000万円程度しかなく、可処分所得で比較すると、典型的な中間層である年収600万円台の人と大して変わりない。しかも、年収600万円でも夫婦で共働きだと、収入は逆転されてしまう。


タワーマンションは幻想の住まい


 年収1000万円の専業主婦家庭が5000万円のマンションをローンで購入するのは、かなりキツい。少し贅沢な消費をしたり、子供の教育費がかさんでしまうと、たちまちお金がなくなってしまう。この状態で旦那さんがリストラされてしまうと、一気にローンが返せなくなり破産してしまう、というわけである。最近、突然経営危機に陥る大手企業が続出していることで、この懸念が現実のものとなりつつあるというわけだ。


 一方、都心の超高級物件には富裕層が住んでいる。お金持ちは上り詰めるのも早いが凋落も早い。高級賃貸物件では2年から3年で住人がすべて入れ替わるとさえ言われている。その意味で、タワーマンションは幻想の住まいなのだ。


※第5回は9月28日に掲載予定です。




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