関ジャニ∞を“存在感”で牽引してきた渋谷すばる グループ脱退の決断に思うこと

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2018年04月23日 15:31  リアルサウンド

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 関ジャニ∞・渋谷すばるの衝撃的な記者会見から一週間が経った。いちファンとしての気持ちを正直に言えば、まだこの事実を受け入れられない。だが、渋谷のこれまでの言動を振り返ってみると、「彼の気持ちを応援しなければ」という気持ちも少しずつ湧いてきている。


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 渋谷が一気に知名度を上げたのは、ジャニーズJr.の頃に出演した『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)だろう。多くのジャニーズJr.の中、渋谷がソロで「愛してる 愛してない」を披露した時だ。整った顔立ちと少し尖った雰囲気を武器に、多くのファンの心を掴んだのである。それからは、同時期に活躍していた滝沢秀明に勝るとも劣らずジャニーズ街道を走り、関西ジャニーズJr.を牽引する存在となった。


 そんな渋谷は、特にデビュー以降、良い意味で“ジャニーズっぽくない”ポジションを確立し、ジャニーズメンバーのキャラクターの幅を広げた第一人者だったと感じる。それまで、なんとなく「ジャニーズ=ファンにキラキラした笑顔を与える存在」という認識があった人も多いのではないだろうか。だが、渋谷は自分のパフォーマンスに集中し、ファンからの支持を集めていった。


 昨今、その傾向はより強くなっていたはずだ。例えば、筆者はこんな場面を思い出す。『関ジャニズム LIVE TOUR 2014≫2015』で久々に渋谷がソロでパフォーマンスをする姿を見た時だ。ソロ曲「Revolver」をバックバンドと共に披露していたのだが、その迫力に棒立ちになってしまったほど。笑顔を見せるわけでも、手を振るでもない。全身全霊で歌う姿に、釘付けになってしまったのだ。渋谷の“存在感”を、改めて体感した瞬間であった。ジャニーズのグループには、様々なタイプがある。もちろん正統派のアイドルも多いが、渋谷はこの“存在感”で関ジャニ∞というグループを牽引していたのだろう。


 と言っても、渋谷がアンチアイドルだったわけではない。他のメンバーに比べ、ファンサービスが少ないと言われることも多いが、コンサートでトロッコに乗ればファンに手を振ることも多々あり、「歌うのに必死で手を振れない」という渋谷の名言も聞く。さらに、映画『味園ユニバース』でのメディア出演時や、ソロライブのMCで「“関ジャニ∞”の渋谷すばる」と名乗っていたことを考えると、グループのことを心から大切に思っていたことがうかがえる(メンバーとの仲の良いやり取りを見ていれば言わずもがなだが……)。ファンに対しても、「まだまだ一緒に年をとっていけたらと思っています。一緒に素敵なおっさん、おばはん目指して一緒に生きていってくれたら」(『十祭』MCより)と愛情を見せる。確実に彼の心には、ジャニーズアイドルである誇りがあったと思う。


 彼の心の内は当人でなければ分からないが、記者会見の迷いない表情を見ると「音楽で生きていく」という言葉に嘘はないはずだ。36歳の男性が今から新たにチャレンジすることはとても素晴らしいこと。まだ寂しさは拭えないが、我々も渋谷の決断を受け入れて背中を押すべきなのだろう。大きな決断した彼は、必ず再び我々の前に姿を表してくれる。その時は、“アーティスト・渋谷すばる”個人として応援していきたい。(高橋梓)


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