ファイナルラップの熾烈すぎる表彰台争い。優勝は混乱抜け出したGAINER TANAX GT-Rが今季初V【第3戦鈴鹿GT300決勝】

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2020年08月23日 17:21  AUTOSPORT web

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2020年スーパーGT第3戦鈴鹿 優勝したGAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)
2020年のスーパーGTは新型コロナウイルス蔓延の影響を受け、例年とは異なるスケジュールで行われている。8月23日(日)、三重県の鈴鹿サーキットでは第3戦の決勝レースが行われ、スーパーGT GT300クラスはGAINER TANAX GT-Rが優勝を飾った。

 2017年に鈴鹿1000kmレースが終了してから、2年ぶりとなった8月開催の鈴鹿でのスーパーGT。搬入日から連日35度に迫ろうかという酷暑でスタートしたレースウィークだが、決勝日の朝も雲ひとつない晴天で迎え、決勝レースは気温32度、路面温度48度、湿度66%というコンディションで行われた。

 決勝レースは定刻の13時、セーフティカー先導のもと、フォーメーションラップがスタート。ポールポジションのTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(31号車)、2番手ARTA NSX GT3、3番手リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rとグリッド順に続いていき、1周ののち、決勝レースの火蓋が切って落とされた。

 スタートの1コーナーを制したのはポールポジションスタートのTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(31号車)の中山友貴。大きな順位の変動はなくスタートしたと思われた矢先、逆バンクの出口で16番手スタートのTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTをドライブする永井宏明がクラッシュ。オープニングラップでセーフティカーが導入された。

 レースは5周目に再開。リスタートも危なげなくスタートしたGT300クラス。トップを走るTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(31号車)は2番手のARTA NSX GT3に1.188秒差をつけて5周目を終える。

 後方では日立オートモティブシステムズシケインでアールキューズ AMG GT3のインにARNAGE AMG GT3が飛び込み接触。アールキューズ AMG GT3は一旦マシンが止まってしまうが、その後すぐにコースへ復帰している。

 8周目、2番手のARTA NSX GT3にリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが0.5秒差で食いつき、そのさらに後ろには0.8秒差でランキングトップの埼玉トヨペットGB GR Supra GTが続いていく。そしてGT500クラスがGT300の集団に追いつき、ここからさらに戦いが激化。2番手争いは10周目にコンマ2秒まで迫り、白熱の様相を見せる。

 レース15周目、トップを走るTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(31号車)は安定したペース周回を重ね、2番手以下に5秒以上の差をつけて快走を続ける。

 接近していた2番手争いも約1秒の差がつき、少し落ち着いたかと思われたGT300クラスの周回で16周目、バックストレートでGT500クラス、リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rのフロントカウルが外れてしまったため、 2度目のセーフティカーが導入される。

 このセーフティカーによりトップを走っていたTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(31号車)の5秒以上のアドバンテージはリセットされてしまった。

 その後、GT500/300クラスごとに隊列が整理され、トップ10台は、TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(31号車)、ARTA NSX GT3、リアライズ 日産自動車大学校 GT-R、埼玉トヨペットGB GR Supra GT、たかのこの湯 RC F GT3、GAINER TANAX GT-R、TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-R、Hitotsuyama Audi R8 LMS、UPGARAGE NSX GT3、シンティアム・アップル・ロータスというオーダー。

 セーフティカー中の21周目 、HOPPY Porscheがピットに入ったが、セーフティカー中のドライバー交代はできないためタイヤ交換だけを終えてコースへ戻っていく。隊列が整い、レースはGT300クラスの周回で22周目にリスタートする。

 リスタートと同時に上位勢ではTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(31号車)、リアライズ 日産自動車大学校 GT-R 、埼玉トヨペットGB GR Supra GT、シンティアム・アップル・ロータスらがピットイン。前戦と異なり、今大会以降は決勝レース中のタイヤ4本交換義務の適用がなくなったため、なかにはピット時間短縮の作戦を採るチームも見られた。

 リスタート前まで2番手を走行していたARTA NSX GT3も24周目終了時点でピットインし、タイヤ交換とドライバーチェンジを行い、コースへ戻っていく。

 レース27周目、S字でHitotsuyama Audi R8 LMSの川端伸太朗とたかのこの湯 RC F GT3の久保凜太郎がバトルのなかで接触。Hitotsuyama Audi R8 LMSはグラベルにマシンがはまってしまい、この日3度目のセーフティカーが導入。再び、クラスごとの隊列が整えられ、GT300クラスの周回で32周目に、リスタートが切られた。

■表彰台争いが終盤に激化。オリベイラが大暴れ

 リスタート翌周の33周目、ルーティンピット作業を終えたマシンのなかでトップに立っていたマッハ車検 GTNET MC86 マッハ号をスプーンカーブでGAINER TANAX GT-Rとリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rがパス。さらにマッハ車検 GTNET MC86 マッハ号はメインストレートでARTA NSX GT3にも並ばれ、ポジションダウンしてしまう。

 セーフティカーのタイミングとピット作業の戦略により、GT300クラスは上位の顔ぶれに大きな変化があった。各車がピット作業を終え、トップに立ったのはGAINER TANAX GT-R。その後方、2番手にはリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが続いている。以下、3番手にARTA NSX GT3、4番手UPGARAGE NSX GT3、5番手HOPPY Porscheという上位5台の顔ぶれとなった。

 35周目終わりでいい走りを見せていたマッハ車検 GTNET MC86 マッハ号はトラブルか、ピットインしてしまう。さらに、36周目には88がスロー走行が見られるなど,鈴鹿1000kmレース並みの過酷な展開はレースの中盤を過ぎても繰り広げられている。

 GT300の周回で37周目、トップ争いが急接近。トップのGAINER TANAX GT-R 平中の1秒後方にリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rのオリベイラと、さらに1秒後方にARTA NSX GT3の大湯がおり、トップ3台はパック状態で周回を重ねていく。

 レース41周目、シケインでK-tunes RC F GT3阪口晴南がクラッシュ。大きなダメージを負ってしまい、ピットインを余儀なくされる。

 GAINER TANAX GT-Rとリアライズ 日産自動車大学校 GT-RのGT-R同士のトップ争いは1秒以内の差で終盤まで激しいバトルが繰り広げられていたが、45周目、2台の差は2秒近くまで離れてしまった。残り周回数がわずかになるなか、今度は2番手争いが急接近。リアライズ 日産自動車大学校 GT-R オリベイラの真後ろにARTA NSX GT3 大湯がピタリとつける。さらにその後ろにはUPGARAGE NSX GT3 松浦も近づいて3台により熾烈な2位争いが繰り広げられた。

 そして、GT300の周回でレース47周目、デグナーカーブのひとつめでリアライズ 日産自動車大学校 GT-RとARTA NSX GT3が接触。2台がコースオフを喫した間にUPGARAGE NSX GT3が2番手へポジションをあげる。ARTA NSX GT3はこの接触でフロントカウルが外れ、ラジエターも破損してしまい、48周目のS字で残念ながらマシンをストップしてしまった。

 レース49周目、ペースが上がらない3番手のリアライズ 日産自動車大学校 GT-RにSUBARU BRZ R&D SPORT、LEON PYRAMID AMG、シンティアム・アップル・ロータスが接近し、4台による表彰台争いが激化。

 そのなかでLEON PYRAMID AMGがダンロップコーナーでクラッシュを喫してしまい、この争いから脱落してしまった。残りの3台の戦いの舞台はスプーンカーブへ。ここで一気にポジションをあげたのは3台のなかで一番後方にいたシンティアム・アップル・ロータスの柳田だ。

 前の2台のインに鋭く突っ込み、見事、前戦勝者のシンティアム・アップル・ロータスが2台抜きで3番手にポジションあげた。そして最後、ファイナルラップで混戦の主役でもあったリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rがヘアピンで痛恨の接触。コースオフを喫して一気にさらにポジションを落としてしまうこととなった。

 GT300クラスの決勝レースはトップが50周で終了。GAINER TANAX GT-Rは結局2位以下に4秒以上の差をつけ、2020年シーズン初優勝を飾った。2位はUPGARAGE NSX GT3、3位シンティアム・アップル・ロータス、4位SUBARU BRZ R&D SPORT、5位TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-Rのトップ5となった。

 2位のUPGARAGE NSX GT3は今季初表彰台、3位のシンティアム・アップル・ロータスは前戦に引き続き表彰台を獲得した。

 編集部集計のポイントランキングでは優勝したGAINER TANAX GT-Rの平中克幸/安田裕信/組が35ポイントでランキング首位に躍り出た。2位には連続表彰台獲得となったシンティアム・アップル・ロータス加藤寛規/柳田真孝組が4ポイント差の31ポイント、3位は埼玉トヨペットGB GR Supra GT吉田広樹/川合孝汰組で25ポイントとなっている。

 2020年のスーパーGT第4戦はツインリンクもてぎへ舞台を移し、9月12〜13日に行われる。

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  • 「日立オートモティブシステムズシケイン」を「カシオトライアングル」と脳内変換。��������
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