目覚めると記憶がなくなる夫に毎朝「あなたの妻よ」と自己紹介する女性(南ア)

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2021年05月17日 04:11  Techinsight Japan

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2016年6月に記憶を失った夫と支え続ける妻(画像は『News24 2021年5月12日付「Pretoria dad and husband wakes up every morning with no memory」(Photo: Fani Mahuntsi)』のスクリーンショット)
南アフリカのハウテン州プレトリアに住むゲリー・カシェロホファーさん(Gerrie Kachelhoffer)は、目覚めるといつも記憶がない。2016年6月に記憶を失ってから毎朝、自分が誰なのか、ここがどこなのか分からないという。そんな夫を5年にわたって常に明るく支え続けている妻のことを『News24』などが伝えた。

建築会社の技術者として働いていたゲリーさんは2016年6月20日、仕事でリンポポ州に向かった。同じ会社のプロジェクトマネージャーとして働いていた妻のイボンヌさんは、いつものように夫を見送った。何度か携帯電話にメッセージを送ったが夫からの返事はなく「きっと忙しいのだろう」と気にしなかった。しかしその日の昼、ゲリーさんは建築資材を買いに行くと言ったまま姿を消した。夕方になっても帰ってこないためスタッフが会社に電話し、そこから警察による捜索が始まった。その後、GPSによりゲリーさんの車が発見され、車のカギと携帯電話は残っていたが、現金と彼がいつも持ち歩いている聖書がなくなっていた。そして失踪から48時間後、行方不明者のビラを見たタクシー運転手がゲリーさんを見つけて警察に連れて行き、そこから病院に搬送された。

病院に駆けつけたイボンヌさんは、目の周りが青く、足に擦り傷、頭に傷を負っていたゲリーさんを見てショックを受けたそうだ。しかもゲリーさんが妻に投げかけた最初の言葉は「あなたは神を知っていますか」という質問だった。退院した後も彼は「自分の家族に会いたい」と1週間言い続け、イボンヌさんや娘の名前を覚えるのに3週間かかった。

脳のスキャンや血液検査などから、ゲリーさんは長期および短期記憶の両方を失っていることが判明した。行方不明だった間に何が起こったのか分かっていないため医師も原因を特定することはできないが、外的要因による心的外傷だと考えられている。

しかし最初の3か月は、服を着ることやお風呂に入ることも覚えていないゲリーさんとの会話は聖書に関することだけだった。イボンヌさんは毎朝必ずゲリーさんより早く起き、彼が目覚めた時に横にいるようにしている。そして、もしかして記憶が戻っているかもしれないという期待とともに「私はあなたの妻よ」と自己紹介をする。続けて2016年に何が起こったのか、出会ってからのゲリーさんのことを1時間かけて説明するのだ。

現在47歳のゲリーさんには3人の娘がおり、孫までいるが、そんな彼女たちも毎朝自己紹介をしなければならない。読み書きや車の運転もできず、仕事もできないゲリーさんは、記憶を抑制しているものが解放されるようにスリープクリニックや精神科医のもとに通っているという。

ゲリーさんを支えているのは、結婚26年になる妻イボンヌさんのポジティブな精神だ。彼女は「彼は毎日私に恋をしているの」と優しく彼の足をさすり、ゲリーさんは「一日一日を導いてくれる神と、献身的な世話をしてくれる妻がいなければ、私は今ここにいないでしょう」、「朝になって目が覚めて違う女性がいても、私はその人が妻ではないと分かります」と愛の強さを感じているそうだ。

画像は『News24 2021年5月12日付「Pretoria dad and husband wakes up every morning with no memory」(Photo: Fani Mahuntsi)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)

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  • 小川洋子氏による小説「博士の愛した数式」を思い出した。大変だと思うけど頑張って生きて欲しい。
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