井之脇海が朝ドラ3度目の登場 『ちむどんどん』ではヒロインのライバルに?

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2022年05月19日 06:11  リアルサウンド

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井之脇海『ちむどんどん』(写真提供=NHK)

 「タコとオリーブとセロリの冷製サラダ」を手にし、朝ドラ『ちむどんどん』(NHK総合)に登場した井之脇海。彼が朝ドラに出演するのはこれで3度目だ。夢にまで見た憧れの東京へとやってきたヒロイン・暢子(黒島結菜)にとって、井之脇演じる矢作知洋はどのような存在になっていくのだろうか。


【写真】長瀬智也と共演した井之脇海


 兄・賢秀(竜星涼)がプロボクサーとなり、そのファイトマネーによって念願の上京を果たした暢子。しかし、前途洋々とはいかないのがいかにもこのヒロインらしい。賢秀はボクシングジムの会長らに借金をし逃亡中であり、暢子は働き口さえ見つかっていない。それでも悲観的にならず、目の前のこと一つひとつを楽しんでいこうという姿勢もまたこのヒロインらしさといったところ。だからこそなのか、ひょんなことから平良三郎(片岡鶴太郎)&多江(長野里美)夫妻と出会い、「銀座いちのレストラン」で働くチャンスを得ることができたのである。


 井之脇演じる矢作はここで登場した。彼はこのイタリアンレストラン「アッラ・フォンターナ」の料理人。暢子が客としてこの店を訪れた際にサラリと初登場し、三郎の紹介状を手に再び暢子が訪れたいま、本格的な登場を果たしたところだ。暢子とはまだ会話という会話を交わしておらず、いったいどのような人物なのかは分かっていないが、どうやら“イイヤツ”ではなさそうである。暢子の言動に対して「ずぶの素人」だと口にしたり、鼻で笑ってみたり。彼女の新たな障壁となりそうな人物だ。


 この一連の様子を見ていて、「さすが井之脇海」と唸ることしきりである。シーンの中心にいるのは暢子と料理長の二ツ橋光二(高嶋政伸)、厳しい性格のオーナー・大城房子(原田美枝子)の3人。いち料理人であり、事情をあまり知らない矢作に発言権はほとんどなく、そのため演じる井之脇にはほぼセリフが用意されていない。それでいて彼の存在が印象に残るのは、大城とはまた別のやり方で、暢子に対して非・歓迎的なムードを一人で体現しているから。鼻で笑ったりするようなあからさまな振舞いでなくとも、彼はカメラに一瞬映った際の目つきだけでこれを的確に表現している。そして「ずぶの素人」という言葉の響きには、暢子を相手にせずただ見下しているというよりも、どこか“敵視”している印象があった。それはつまり暢子が「アッラ・フォンターナ」の採用試験に合格した場合(確実にするわけだが)、彼が次なる敵になることを示唆している。実際、番組の公式サイトの紹介では、「料理人としての野心と確かな才能を秘めながら、新人の暢子には厳しくかつちょっと意地悪にも当たる、ひねくれた部分もある」(※1)と矢作について解説している。さらには、「物語の中で紆余曲折を経て、暢子の重要な仲間になっていくことに」とも。


 おそらく暢子にとって矢作とは、敵は敵でも“好敵手(ライバル)”となる存在なのではないだろうか。彼女が成長するための大きな役割を担っていきそうだ。本作の公式ガイド『連続テレビ小説 ちむどんどん Part1』(NHK出版)にて井之脇は、「第一印象はよくない印象を持たれやすい矢作ですが、ひねくれたことばの裏にある真意や、台本に描かれていない人生を想像して、かむように矢作を味わっていただけたらうれしいです」と述べている。暢子は持ち前の明るい性格で、逆境をものともしない人物だ。彼女との交流によって矢作がどのように変わっていくのか。井之脇がこの変化をどのように演じるのかによって、ドラマの盛り上がりに影響が出てきそうである。ムダを排してムードを体現できる彼ならば、必ずや面白いシーンを黒島と共作していくことだろう。


 そんな井之脇が朝ドラに登場するのは、冒頭に記しているようにこれが3度目。2013年放送の『ごちそうさん』、2017年放送の『ひよっこ』にこれまで出演をしてきた。子役出身のため若くしてキャリアは長く、映画にドラマにと数多の作品に参加しており、バイプレイヤーの印象が強い俳優だが、作品で核となる役どころを演じることもまた非常に多い。『ちむどんどん』では最終的にどのような立ち位置を築くのだろうか。


※高嶋政伸の「高」はハシゴダカが正式表記。


※参考
1. https://www.nhk.or.jp/chimudondon/


(折田侑駿)


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