I am your father(私がお前の父親なのだ)とてもシンプルなフレーズですが、これは映画史に残る名セリフの1つ。そう『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』のクライマックスで、悪のダース・ベイダーが主人公ルークの父親であることを明かす衝撃シーンのセリフ。実際、「最も有名な映画のセリフはなにか?」みたいな時にMay the Force be with you!(フォースのお守りあれ!)と並んで、スター・ウォーズからはこの台詞が選ばれることがあります。
英雄神話において主人公が父親を超えていくというのは王道のパターンでもあり、スター・ウォーズの作者であるジョージ・ルーカスがこの要素をとりいれたのは当然でしょうか。しかしルークの場合、父親を倒し真の英雄になったというよりは父親として目覚めさせたという方が正しいかもしれません。公開3作目にあたる『スター・ウォーズ ジェダイの帰還(初公開時のタイトル:ジェダイの復讐)』のクライマックスで、銀河皇帝にルークは殺されそうになります。ルークはベイダーに助けを求めます。その時のセリフはFather,,,Please help me(父さん、お願い、助けて)なんです。初めてこのシーンを観た時に、ヒーローが父親に助けを求めるなんて不甲斐ないと思いました(ルーク、ごめんなさい!)。せめて「あなたはジェダイです!ジェダイに戻って!」的なことを言って欲しかった。しかし、このシーン、後で見直した時にすごくいいシーンなんですね。ルークが息子として父に甘える最初で最後のシーンであり、この時のベイダーの顔が苦しむ我が子をみて苦悩する・動揺する父親としての顔なんです。仮面で表情は見えないハズなのにそれがちゃんとわかる。そしてベイダーから悪のカリスマ臭が消えているのです。ベイダーはジェダイに戻ったから皇帝を倒したのではない。父親として目覚めたから愛する息子を傷つける皇帝に立ち向かったのだ。このシーン、親への反抗期の時に観るのと父親の立場になってから見直すのでは全く印象が違います。父の日に銀河最大のお騒がせ父子の物語をもう一度楽しんでみてはいかがでしょうか?