NewJeans、デビューミニアルバム収録曲がバイラルチャート独占　新たな時代予感させるコンセプチュアルな仕上がりに

参照：https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2022-08-24

　Spotifyの「Daily Viral Songs（Japan）」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの8月24日付のTOP10は以下の通り。

1位：NewJeans「Attention」
2位：NewJeans「Hype Boy」
3位：KOTA「DIE (feat. KZHI)」
4位：NewJeans「Cookie」
5位：NewJeans「Hurt」
6位：Ado「新時代」
7位：DINDIN「I’m not myself when I’m around you (Feat. 10CM)」
8位：AYANE「泣きたい夜」
9位：さユり「花の塔」
10位：Ado「逆光」

　今週のSpotifyバイラルチャートは、トップ10に今週初登場のフレッシュな楽曲と根強い人気を誇るランクイン常連の楽曲が混在する結果となった。さユり「花の塔」が通算31日、Ado「新時代」が通算52日と長期でランクインを続けるなかで、1位、2位そして4位、5位と、ほぼチャート上位を独占したのは、今週初登場のNewJeansの楽曲だ。同チャートは単純なストリーミング再生数だけでなく、バイラル（口コミ）の状況を加味しただけあって、楽曲の話題性が大きく影響をおよぼす傾向がある。そんな、今いちばん話題を集めているアーティスト、NewJeansの魅力に迫ってみよう。

（関連：連載「lit!」第13回：VIVIZ、ヒョリン、NewJeans……日常生活の中にも溶け込むK-POP夏のダンスナンバー）

　NewJeansは、5人組の女性K-POPアーティストで、BTSも所属する韓国の音楽事務所 HYBEからこの夏デビューを果たした大型新人。韓国だけでなく、オーストラリアやベトナム出身のメンバーからなる多国籍構成の同グループは、メンバー全員が10代でありながらパフォーマンス力は非常に高く、歌やダンスはもちろん、表情や立ち姿からもすでにスターの風格すら感じさせる。彼女たちのY2Kな雰囲気のスタイリングも印象的で、Z世代の彼女たちだからこそのリアリティを映し出しているようだ。日常生活で老若男女に愛されるジーンズのように、飽きのこない時代のアイコンになりたいという想いから名付けられたNewJeans。彼女たちの意思表明のようなグループ名を背負った同名のデビューミニアルバム『NewJeans』から、収録曲4曲すべてが同時にランクインしている。

　どの楽曲をとってもこれまでのK-POPガールズグループにはないようなミニマルなトラックに仕上がっており、その逆張りが新しい時代の到来を感じさせる作品だ。このようなアルバム全体のコンセプチュアルな統一感は、収録曲個別の人気にとどまらず、ミニアルバム収録曲すべてがチャート上位にランクインした要因のひとつだろう。

　淡いタッチのMVが印象的なラブソング「Hurt」や、「CDを焼く」というY2Kらしいテーマを歌詞にしたトラップビート調の「Cookie」が4位と5位にランクインするなか、グループ名発表のタイミングでMVが公開された「Attention」、メンバー名の発表とあわせてMVが公開された「Hype Boy」が1位、2位にランクイン。シンセボイスをもちいたイントロがエレクトロな雰囲気を演出する「Hype Boy」は、想いを寄せる相手に陶酔していく姿を描いた一曲。音の抜き差しで楽曲全体の緩急を演出していく手法は、ダンスミュージックやテクノミュージックのそれだ。クラブのフロアにもしっかり響かせることができる一曲になっている。

　そして、首位を獲得した「Attention」は、MVが公開されてから1カ月ほど経った現在で1,900万回再生を超えるなど、大きな注目を集めていることがわかる。K-POPのガールズグループのリード曲としては、非常にシンプルでミニマルなトラックに仕上がっているものの、むしろループするシンプルなフレーズが耳に残る中毒性の高い楽曲。サビで繰り返される〈Looking for attention〉という歌詞も印象的で一度聴いたら忘れることができない。

　これまでのガールズグループとは一線を画したニュースタンダードのNewJeans。彼女たちが音楽シーンを塗り替え、新しい時代のポップアイコンとして愛される日もそう遠くはなさそうだ。（Z11）