「週5日も働いてたの?」という時代は来るのか データで見る週休3日制

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2022年11月24日 09:12  ITmedia ビジネスオンライン

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「週休3日制」は実現するのか

 2021年6月に閣議決定された政策の方向性を示す「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に「選択的週休3日制の促進」が加えられたことで、「週休3日制」が注目を集めています。



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 「多様な働き方の推進」を目的とした施策のうち、「副業・兼業」などと同様に「週休3日制」が含まれています。海外でもアイスランド、米国、スペイン、スコットランド、ベルギーなど欧米を中心に積極的に議論、検討が進められていて、国内でも大手企業を中心に既に週休3日制の導入が進んでいます。



【国内の導入企業例】



ファーストリテイリング:15年に全従業員の2割にあたる転勤のない地域正社員に対し、1日10時間の週4日勤務を導入



佐川急便:ドライバー不足を解消するために、17年にセールスドライバーが週休3日を選択可能にできるように



みずほファイナンシャルグループ:20年に社員が週休3〜4日を選択できる制度を導入



塩野義製薬:22年から週休3日制を選択できる制度を導入



パナソニックホールディングス:22年度内に週休3日制の試験導入を開始すると発表



●データで見る週休3日制



 昨今、週休3日制に注目が集まっていますが、実態としてはどのような状況なのでしょうか。



 東京都産業労働局の調査によると、週休3日制に対して「既に導入済」「導入済だがさらに拡大したい」と答えた企業はわずか2.4%。87%の企業が週休3日制に対して「導入する考えはない」「わからない」と回答しており、企業の導入意向はまだ高くないことがうかがえます。



 一方で、就労者の54.5%が「週休3日制を導入してほしい」と回答しており、就労者の過半数は導入を希望しています。



 転職サイトの求人数も調査したところ、22年10月時点で「週休3日」というキーワードにヒットする割合は、最も高いエン転職でも1.25%。週休3日の求人は、求人全体の中でもほんのわずかしか存在していないようです。



・リクナビNEXT:189件、0.29%(189/6万4384)



・エン転職:61件、1.25%(61/5345)



・マイナビ転職:112件、0.64%(112/1万7443)



・DODA:270件、0.16%(270/15万8884)



 また、Googleトレンドで「週休3日」を検索したところ、5年間の推移で確認しても大きなトレンドが見られませんでした。一般的にはまだ「週休3日制」に対する認知が進んでいないようです。



●週休3日制は広がるのか



 さまざまなデータを見る限り、週休3日制の認知はまだまだ低いものの、就労者は導入を望んでいます。導入すれば、入社を希望する人が増えたり、離職者が減少したり、さまざまな課題を解決できそうですが、いまのところ企業側の導入意向は高くないようです。



 そもそも「週休2日制」は、いつ定着したのでしょうか。1988(昭和63)年4月、労働時間短縮を骨子とする改正労働基準法が施行され、そこから10年ほどの猶予期間を経て適用が広がりました。つまり、政府主導の法改正により導入が進んだといえます。



 しかし、週休3日制に関しては骨太の方針に加えられており、政府としても強く進めていきたい内容であるものの、現時点では法改正などによるものではなく、あくまで企業側の導入判断に委ねられています。



●「給与維持型」の導入は実現できるのか



 現状、週休3日制は3つのパターンに分類されます。



(1)給与・総労働時間が共に減る「給与減額型」



 週40時間勤務を週32時間に減らすことで、そのぶん給与も従来の8割などに減額される。



(2)給与・総労働時間ともに変わらない「総労働時間維持型」



 通常、1日8時間×5日のところ、1日10時間×4日という形で、1日の労働時間を増やすことで休日を1日増やすといった形式。そのため週の合計労働時間自体には変動がなく、給与も週休2日と同額に。



(3)給与は変わらずに総労働時間が減る「給与維持型」



 週40時間勤務を週32時間に減らしながら、給与は維持される。



 (1)の給与減額型と(2)の総労働時間維持型に関しては、働き方の多様化という色合いが強く、企業にとっても現状からの変動リスクを最小限に抑えることができ、制度設計のみで導入可能な企業もあるでしょう。



 一方で(3)の給与維持型に関しては、人件費を維持したまま勤務時間を減らす形となり、就労者に最も喜ばれると考えられます。しかし、あわせて生産性を大きく向上するなどの業務改革が必要となります。



 (1)〜(3)は同じ週休3日制とはいえ、(3)給与維持型とそれ以外では導入の難易度が大きく異なります。



 (1)給与減額型、(2)総労働時間維持型に関しては、働く時間やタイミングを従業員の意向で変動できるので、「フレックスタイム制」に近い制度ともいえます。



 フレックスタイム制は1988年4月、正式に導入されました。しかしながら、厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査」によると、フレックスタイム制を導入している企業は、全体の6.5%にとどまっています。



 そのため(1)と(2)に関しても、法改正などがなければ、普及が広がらない可能性があります。より導入ハードルの高い(3)の導入率は、ほんのわずかな企業のみになるでしょう。



●50%以上の業務は自動化できる



 (3)給与維持型の導入には、基本的に20%以上の生産性改善が求められるので、業務の効率化や自動化を進め、日常の業務を大きく改革する必要があります。



 そもそも20%以上の生産性改善は本当に実現できるのか? と思う方もいるかもしれません。



 マッキンゼーが20年5月に発表した「The future of work in Japan」というレポートによれば、日本は反復型のルーチンワークに費やす時間が56%を占めていて、「自動化」の適応可能性は、世界各国と比較しても「最も可能性が高い」と記載されています。



 SaaSなどを用いて業務のデジタル化を実現し、AI、RPA、iPaaSなどの技術によって業務を自動化することで、20%どころか50%以上の業務を効率化できるかもしれません。



 「自社にエンジニアや情報システム部門が存在していないからとDXを諦めている」という企業も存在しますが、最近ではソースコードを一行も書かなくても、業務のデジタル化を実現できる「ノーコードツール」も数多くあります。業務のデジタル化や業務の自動化は、一昔前のように限られた企業のものではありません。



 生産性を20%以上向上するだけでなく、「社内制度の整備」や「労務対応の変更」など、週休3日制の導入を行うにあたって課題はあれど、多くの企業にとって本気で取り組めば実現可能な制度だと私は考えています。



 エンジニアなどの採用が非常に難しい職種に限られるかもしれませんが、中には週休3日どころか給与を維持しながら「週休4日」を実現する企業が出てくる可能性もあります。



 経営者や人事担当者の方はぜひ、自社の業務改善も含め週休3日制の導入を検討してみてはいかがでしょうか。



(波戸崎 駿、Yoom代表取締役)


このニュースに関するつぶやき

  • 大企業ばっかりぢゃねーかwww 中小企業でもやれるようになってから言いなさいな(´-ω-`)
    • イイネ!22
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