ペット同伴出勤、注意を録音、隣にいるのにメール《令和版モンスター新人》現る!

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2023年04月25日 08:10  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

「頻繁に休憩に出て戻らない」「仕事中に眠り込んでしまう」といった意見も。何か理由があるのか、それとも……(写真はイメージです)

 多くの企業で新入社員が働き始める時期。笑顔で元気に挨拶して、仕事を覚えようと一生懸命で、先輩社員とのコミュニケーションをとろうとする……。そんな新人がいる一方で、先輩社員を困らせるモンスター新人も。こちらの想像を超えるびっくり行動に頭を抱えた経験のある人も多いのでは。そこで、全国1000人の男女に「あなたが出会ったモンスター新人」を調査。なぜそんな行動をするのか? どんな原因が考えられるのか? ジェネレーションギャップだけでは片づけられない要因を探った。

 4月に入り、街や駅などで初々しいスーツ姿を見かける機会も増えた。しかし、爽やかに闊歩するフレッシュマンたちを尻目に、まるで“人狼ゲーム”のように疑心暗鬼になっている人々も……。

注意したところ“自衛のために録音しますね”

昨年入ってきた新入社員のひとりがとんでもない“モンスター”でした。入社後すぐに社内で問題を起こし、会社を散々罵倒したあげくそのまま何も言わずに辞めていきました。今年の新人は大丈夫だろうかと、正直不安です」(35歳・エンジニア・男性)

 後輩たちを温かく迎え入れたいと思う反面、一部の“モンスター新人”に頭を抱えた経験のある先輩社員は少なくないようだ。そこで今回は、全国1000人の男女に「あなたが出会ったモンスター新人」についてのアンケートを実施。

 寄せられたエピソードを、Z世代の若者文化に詳しいメディア研究家の衣輪晋一さんとともに見ていきたい。まず、今回最も多かったのが【マイペースすぎる】というモンスター新人たち。

職場に飼い犬を連れてきた新人がいました。本人は“小型犬でほえないので大丈夫ですよ”と言っていましたが、そういう問題ではない……」(42歳・公務員・女性)

就業中にスマホで音楽を流し始めた新人がいた。さすがに注意したところ“え、なんでダメなんですか?”と真顔で聞かれて逆に驚いた」(46歳・製造業・女性)

授業の準備に困っているようだったので、手伝うよと声をかけたところ、“じゃあお願いします!”とこちらに任せて先に帰ってしまった」(32歳・教職員・女性)

 と、仰天エピソードがズラリ。

「2000年代生まれの新卒社員が社会で活躍をし始める時代。もちろんZ世代だからモンスターになりやすいといった話ではありませんが、Z世代ならではの特徴を踏まえたうえで接していく必要は十分にあります。

 例えば、新人たちがマイペースすぎるように見えるのは、明文化されていないルールや暗黙の了解をあまり気にしないという個人主義的なZ世代の傾向の表れかもしれません。“言わなくても普通はわかるだろう”といった考えは、そもそも通用しないと心得ておくべきですね」(衣輪さん)

 次に多かったのが、指導中に反論された、逆切れされてしまったというエピソード。

窓口での接客態度を注意したところ“自衛のために録音しますね”と言われ、その後ずっと不機嫌な態度で威嚇された」(40歳・銀行員・女性)

新人のミスに対して、原因と対策を考えるように伝えたところ、“失敗するのは仕方ないですよね?”と反発された」(45歳・医療関係・女性)

 など、先輩たちは新人指導に頭を抱えているようだ。

ガラスのハートの持ち主だと思って注意しよう

「家庭や学校での教育のあり方も変わり、叱られることに免疫がない人も多い世代。基本的な態度さえしっかりしていれば怒られないというスマートさを持っている一方で、軽い注意や指導を“責められている”ように感じてしまうガラスのハートの持ち主でもあります。心の壁を越えて踏み込まれたと感じたときに反論してしまう人もいるため、声のかけ方には注意が必要です」(衣輪さん)

 遅刻や無断欠勤、就業中の居眠りといった問題についての悲鳴も多数。中には、

周りに上司がいても平気で居眠りをする。何度注意しても直らず、一度病院で診察を受けるように伝えたところ、なぜか整骨院に通い始めた」(43歳・商社勤務・女性)

 といった驚きの事例も寄せられた。

「個人の性格によるところも大きいですが、社会常識から外れることがあまり怖くないという世代的な特徴がありますね。会社の歯車として順応しようという意識は薄く、出世するよりもプライベートの時間を大事にしたいという人も多い。さらに、Z世代はSNSなどを通じてさまざまな“成功”のモデルケースを知っています。会社になじめなければほかの道を進めばいいというバイタリティーもあり、そういう強さがモンスター的に見えてしまうことは多そうです」(衣輪さん)

「敬語が使えない」「上司にタメ口」といった言葉遣いに対する苦言は、いつの時代も“新人あるある”だ。

お客様にタメ口で話しかけたり、上司に対してプライベートのことを根掘り葉掘り聞いてくるなど、どこか友達感覚で接してくる」(37歳・不動産業・男性)

 と、職場での距離感が近すぎることに驚いたというエピソードも。

「Z世代の親は、かつて“新人類”と呼ばれていた世代。親子でも友達のような関係を築いてきた負の側面なのかもしれませんが、優しい大人たちに育てられたZ世代が年齢差や上下関係などに無頓着になるのは、ある意味では仕方ないところもあります。

 一方で、大人を信用していない部分もあり、従うべき上司を値踏みする賢さも持っています。能力主義的な考え方が根付いているので“年上だから従え”は通用しません。自分たちの価値観を問答無用に押しつけようとせずに、上司としての能力をきちんと示しながら対応することが必要となるでしょうね」(衣輪さん)

基本的なコミュニケーションにまつわる先輩たちの悩みも多い。「挨拶しない」「返事をしない」といった意見のほか、

ひとつの業務が終わったらボーッとしていて、こちらから声をかけなければ次の仕事に着手しない。何かあると口頭ではなくすべてメールで報告してくる」(41歳・事務職・女性)

 と、指示待ち型の新人に対する苦言も。

“給料に見合う以上の仕事はする必要がない”

明るく見えても本質的には内向的というのも、Z世代の特徴のひとつ。SNSなどでの発信は得意でも、オフラインでのやりとりが極端に苦手という人も増えています。また、非常に合理主義的で“給料に見合う以上の仕事はする必要がない”というドライな考えを持つ人も。

 自分の能力を客観視する力があるので、実力や必要以上のことに手を出さない慎重さが指示待ちにつながってしまうこともありえます。いずれにせよ、先輩のほうから意識的にコミュニケーションをとっていく配慮は大事ですね」(衣輪さん)

 その他のエピソードの中には、かわいらしい“プチモンスター”の目撃談も。

手書きの書類がギャル文字でまったく読めず、さすがに怒るよりも笑ってしまいました」(38歳・製造業・男性)

新人に手洗い洗車を頼んだところ、手のひらを濡らしてじかに洗剤をつけて手で車を洗い始めたので、スポンジを使うところから指導した」(41歳・ガソリンスタンド勤務・男性)

 といった意見には新人ならではの愛らしさも。

経験不足ゆえの失敗は、世代を問わず誰しもが通る道。傷つきたくないというZ世代の新人たちも多いと思いますが、多少の無理や失敗をすることも大事だよと伝えていきたいですね」(衣輪さん)

 多くの優秀な新人の陰に隠れて、ふいに現れるモンスター新人。対処法を考えておくことも必要なのかもしれない。

衣輪晋一(きぬわ・しんいち) メディア研究家。雑誌『TVガイド』やニュースサイト「ORICON NEWS」など多くのメディアで執筆するほか、制作会社でのドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中

取材・文/吉信 武

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