トイレで心停止のパイロット死亡、チリの航空会社の機内にAED搭載なし<動画あり>

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2023年08月22日 21:01  Techinsight Japan

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米フロリダ州マイアミからチリの首都サンティアゴに向かっていた航空機内で心停止を起こし、亡くなった「ラタム航空グループ」のパイロット、イヴァンさん(画像は『A Fly Guy’s Cabin Crew Lounge 2023年8月16日付Facebook「Sadly
米フロリダ州マイアミを14日深夜に出発し、乗客271人を乗せてチリの首都サンティアゴに向かっていた「ラタム(LATAM)航空グループ」の男性パイロットがトイレで倒れ、心停止を起こして死亡した。米ニュースメディア『Inside Edition』などが、同機にはAED(自動体外式除細動器)が搭載されていなかったことを伝え、「全航空機へのAED搭載の義務化」を求める声があがっている。

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亡くなったのは、チリを代表する航空会社で世界25か国、約140都市に運航する「ラタム(LATAM)航空グループ」のパイロット、イヴァン・アンダールさん(Iván Andaur、56)で、勤続25年のベテランだった。

航空ニュースサイト『Simple Flying』によると、イヴァンさんはLA505便(ボーイング787-9)がマイアミを離陸してから3時間後に気分が悪くなり、操縦席を離れて向かったトイレ内で倒れ、心停止に陥ったという(心臓発作を起こしたとの報道も)。

同機はその後、副操縦士ら2名が操縦を引き継ぎ、目的地変更から約28分後にパナマシティのトクメン国際空港に緊急着陸した。一方、機内ではアナウンスの呼びかけに応えた医師2名、看護師2名が心肺蘇生措置(CPR)を施したが、イヴァンさんは空港に到着後、死亡が確認された。

イヴァンさんの急死を受けて、ラタム航空グループのスポークスマンは15日、「安全を確保するために必要な全ての手順に従った」と述べ、イヴァンさんの命を救うため最善を尽くしたことを明かすとともに、ベテランパイロットに哀悼の意を表した。

しかしながら蘇生措置に関わった看護師の一人が、同機にはAED(自動体外式除細動器)が搭載されていなかったことをSNSで指摘し、波紋が広がった。米連邦航空局(FAA)は2001年、米国全ての航空会社へのAEDの搭載を義務付けていたが、国外の航空会社は対象外だったという。


なお医師であり、パイロットでもあるボブ・アルノー氏(Bob Arnot)は『Inside Edition』のインタビューに「CPRはAEDまでの繋ぎに過ぎない。AEDは必要不可欠だ」と述べ、イヴァンさんを救命できた可能性があることを示唆しており、このニュースには次のようなコメントが寄せられた。

「医療関係者4人がついてCPRを行ってもダメだったなら、AEDでも助からなかった可能性はある。ただ救えた命かもしれないと思うと非常に残念だ。」
「トイレで倒れてからCPRをするまで時間がかかってしまったのかも。」
「まだ56歳。パイロットというのはやはり、過酷な仕事なのかもね。安らかに。」
「看護師がいうのなら、やはりAEDが必要な状態だったのではないか?」
「AEDによって電気ショックを与えれば助かる命もあり、生存率が上がると聞いたことがある。」
「全ての航空会社にAED搭載を義務付けるべきだ。」



画像は『A Fly Guy’s Cabin Crew Lounge 2023年8月16日付Facebook「Sadly, Captain Iván Andaur Santibáñez has been identified as the pilot」』『Simple Flying 2023年8月16日付「LATAM Pilot Pronounced Dead After Boeing 787 Diversion」(Photo: Vytaulas Kielaitis / Shutterstock)(Image: Flightradar24.com)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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