マシンガンズ西堀亮が説く『コタツがない家』“ダメ男製造”のからくり「各世代の面倒臭いが…」

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2023年11月08日 07:01  TVerプラス

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小池栄子さんが主演を務める水曜ドラマ『コタツがない家』(日本テレビ系、毎週水曜22:00〜)に出演中のお笑い芸人・西堀亮(マシンガンズ)さんが、存在感のある演技で注目を集めています。

同作は『俺の話は長い』で「向田邦子賞」を受賞した金子茂樹さんが脚本を務め、会社社長兼カリスマウェディングプランナーの深堀万里江(小池)が3人のダメ男たちとの日々にてんやわんやしながらも新しい家族の形を模索し、奮闘する姿を描く笑って泣ける、ネオ・ホームコメディ。吉岡秀隆さんが夫の悠作を、作間龍斗さんが息子の順基を、小林薫さんが父の山神達男を演じています。

西堀さんは本作のプロデューサーである櫨山裕子さんの作品に以前から多数出演しており、本作でも父の達男が働き始めた建築現場の先輩警備員・熊沢徹役として第3話から出演。小池さんから“ダメ男”認定(!?)されている西堀さんが、深堀家の“ダメ男”たちが出来上がる理由をどう考えているのか――ドラマの見どころや、撮影現場でのエピソードなどと一緒に伺いました。

お笑いとドラマの現場の違いは?

――本作への出演はどのような経緯で決まったのでしょうか?

もともと櫨山班には以前からお世話になっていたんです。ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが『怪物くん』に出演されていて、そのご縁で櫨山さんが太田プロのライブを観に来たことがあったんです。そこで僕の漫才を見ていただいたことをきっかけに、櫨山さんの担当するドラマ『世界一難しい恋』に出演することになりました。初ドラマで初レギュラーにしてもらったんです。それからポイント、ポイントで櫨山さんが関わる作品に呼んでもらえるようになりました。

――独特のテンポとリズムを持ったドラマだと思うのですが、やはりそれは金子脚本の影響が強いのでしょうか?

脚本でしょうね。金子さんの脚本の色だと思います。会話劇なんですが、みなさんの台詞が長くて、ひとシーンも長い。大変だなと思いながらいつも台本を読んでいます。

――そんな現場にバイプレイヤーとしてすっと入っていく西掘さんはやっぱりすごいなと思います。

いや、なかなか入っていけてないですよ(笑)。素人は僕だけですからね。

――金子さんの脚本についてはどのような印象を持ちましたか?

(初登場の)第3話に関しては台詞も短かったんです。これくらいならいけるなと思っていたんですが、それが徐々に長くなっていって、これはもしかしたら買いかぶられているのかもって(笑)。結構長くてこれは大変だってことで、他の仕事の合間にも台本をずっと読んでいました。

――お笑いの現場での仕事と、ドラマの現場での仕事ではどんな違いがあると考えていますか?

お笑いは間違ったことから起こることも多いんです。言い間違いだったり、噛んだりすることを笑ったり、できないことを笑う文化があるんですが、ドラマは一切それがないんです。メンバーを見ても小池栄子さんに吉岡秀隆さんに小林薫さんですよ。スタッフさん、全員が思っていると思います、「お前、間違えるなよ」「このメンバーで手を抜くなよ」って(笑)。それがビンビン伝わって来るので、その大きなプレッシャーを感じながらやっています。一生懸命、台詞を覚えています。

――台詞を覚えるのは得意な方なんですか?

いや、苦手ですよ(笑)。

――台詞覚えで何か工夫していることはあるんですか?

昔、自分の台詞だけ覚えて現場に入ったことがあるんですが、うまくいかなかったんです。会話の流れというものがあるので。なるべく、ざっくりですけど、人の台詞も覚えるようにしています。こういう風に言ったらこういう風に来るんだって、きちんと一つひとつの受け答えに意味があるので、ひたすら愚直に台本を読むことを心がけています。

――今回の熊沢徹役についてはどのような印象を持ちましたか?

僕っぽい感じ、素の僕でいいんだろうなと思いながら演じています。口調も僕の感じで話しても(スタッフから)「ダメ」は出ないので、たぶんそれでいいのかなと。スタッフさんも何年も前から一緒にやっている人が多いので、僕の感じをみんなわかっているんだと思います。

――お笑いと役者でスイッチの切り替えのようなことはしていますか?

若干ドラマの方が朝、険しい顔をして入っているとは思います (笑)。いや、実際にはスイッチとか、プロがするようなことは一切ないんです、僕には。

「万里江は仏様」小池栄子と通じる部分も

――小池さんや、小林さんは現場に入って来る西堀さんをどのように迎えてくれるんですか?

最初に撮ったのは小林さんとふたりきりのシーンだったんですが、とてもフランクな方で、「マシンガンズです」と挨拶したら、「え? マシンガンズって聞いたことあるな」って言ってくださって。楽屋で2人だったんですが、隣で僕のお笑いの動画を見始めたんです。それが全然笑っていらっしゃらなくて……。早く撮影始まんないかなってソワソワしてしまいました(笑)。

でもそれ以後も、例えば、俺の相方(滝沢秀一)はゴミ清掃の芸人をやっているんですが、「相棒、ゴミやってるよな」とか、会うたびに気さくに話しかけてくださるんです。

だいたい、人と初めて会うときは悪いシミュレーションをして会うようにしているんです。最悪の事態のことを考えて会うんですが、現場の皆さんはすごくフレンドリーです。

――小池さんや吉岡さんとの絡みはどうだったんですか?

小池さんは前から知っていますし、吉岡さんもあのキャリア、あの実績の方なんですが、僕が「緊張してます」とか言うと、「わかります。僕も緊張します」って言ってくださるんです。これは役者としてだけでなく、人としても負けているなって(笑)。でも、いろいろな人と仕事をしますが、変に厳しいなという人は今のところいないです。今回の現場でもみなさんが快く迎え入れてくださって。小池さんがいるのも大きいと思いますが……ちなみに小池さんってプライベートでもあんな感じ(万里江のよう)なんですよ。

――現場の雰囲気はいかがですか?

このドラマは会話劇じゃないですか。一緒にやっている感、チーム感がすごくあります。みんなで会話をしている感じなんです。「ああ、一つのチームなんだな」と思います。会話劇の内容に関しても芸人のそれに近い感じがあって、お笑いもテンポ命なんですが、同じコメディということでお笑いのテンポに近い感じがあると思いました。

――深堀家の男性陣のあまりのダメっぷりさが話題ですが、この3人のキャラクターは西堀さんにはどのように映っていますか?

男なら、3人の要素はみんな持っているんじゃないですか (笑)。歳をとると達男さんみたいな要素がやっぱり出て来るような気がします。プライドというか、今までやってきたことが邪魔することってありませんか? なんでもかんでも頑張ってやればいいんだろうけど、やりたくないなって気持ちも僕にはわかるんです。

悠作のような働きたくない気持ちもわかります。今やっても仕方ないって。働かない理由を探すところとか、すごくわかるんです。やる気だったのに、人にやれって言われた途端、やる気をなくしてしまうところとか。

あと、順基君のような尖った感じももちろん、みんなが持っているような部分だろうし……。男の子は特にそういう時期がありますから。各世代の面倒臭いがちりばめられたドラマだと思います。それにひとりで対応する万里江さんは大変ですよ(笑)。

――小池さんが演じる奥さん像についてはどんな印象を持っていますか?

仏様ですよね(笑)。あんな人います? でも、普段の小池さんと少しリンクする部分があります。小池さんって、なんでもできてしまうし、人にも寛大なんです。だから僕とも仲良くしてくれる。僕のできない感じもあまり気にしていないみたいで、前に言っていたのは、「西堀さんがダメだから、私が頑張らなきゃ」って(笑)。

頼られる方が、ガッツが出るのかもしれないですね。だから万里江さんを見て思うのは、あの3人をそうさせてしまっているのは万里江さんなのかもしれないなって。万里江さんができる人だし、馬力もあるからみんな寄りかかってしまうんだと思うんです。

――ここまで撮影してきて印象的だったシーンはありますか?

1話の最後で、今まで何も言わずに家を出ていたのに、「いってらっしゃい」ってみんながいうシーンは曲がりなりにも、今、家族ってものが一つになろうとしているのかなという風に見えてよかったです。なんの声がけもなく、「いってらっしゃい」って。いいシーンだなと思って見ていました。

――それでは最後に、ドラマの今後の展開について、どのようになっていくと分析していますか?

熊沢徹は状況的に変化しない気がします(笑)。唯一まともな熊沢がどうなるのか、少しでも家族が親しくなれるためのいい役割になれるのか――そこも期待しながら見て欲しいです。深堀家はどうなるんでしょうね……。逆にみんな自立して、自分のことを自分でやりだすと寂しいと思うんです。みんな仕事を始めたり、やりたいことができるようになったりすると、自分のことを優先させてご飯も一緒に食べなくなりそうですしね。どうするんでしょうね、最後は(笑)。

取材・文・撮影:名鹿祥史
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