セリフが胸に突き刺さる!お見合い結婚の裏側と相手についてを男女が本音で語り合う映画『きっと、それは愛じゃない』

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2023年12月21日 22:01  Pouch[ポーチ]

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【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、イギリス映画『きっと、それは愛じゃない』(2023年12月15日公開)です。ディズニー実写映画『シンデレラ』でシンデレラを演じて人気女優になったリリー・ジェームズさん主演のリアルなラブストーリー。これが素晴らしかったんです。

まずは、物語から……!

【物語】

ドキュメンタリー監督として活躍しているゾーイ(リリー・ジェイムズさん)は、幼馴染のパキスタン系のカズ(シャダド・ラティフさん)が、母親が決めた相手と見合い結婚をすると聞いて興味を持ちます。

彼にお願いをして、お見合い結婚の軌跡を取材することになるのですが、彼女自身、結婚について改めて考えることに……。

【結婚相手に求めるもの】

本当に、心に刺さりまくった映画でした!

最初は「ゾーイがカズのお見合い結婚を追いかけるうちに、自分がカズを好きなことに気づくラブストーリーかな」と軽く考えていたんです。たしかにそれは間違いではなかった……のですが、本作はもっと深く、国や宗教、家族によって「結婚」の捉え方は全然違うことを描いていました

私もゾーイと同じように「親の決めた相手と結婚」なんて、今の時代にある?と思ったのですが、カズの家族は同じ宗教の人であることがお嫁さんの条件。

カズの妹は家族の反対を押し切って異教徒と駆け落ち婚をしたため、彼女の話はカズの家庭では禁句になるほど。でもお見合い結婚をするとカズが決めたのには理由があるのです。

【生まれた国で認められない苦しみ】

カズは生まれも育ちもイギリスだけれど、頻繁に出身地を聞かれ、世界のどこかでテロがあると謝る必要性も感じてしまうことに苦しみを抱いていたのです。

だから「両親が自分にしてくれたのと同じ環境で子どもを育てたい」と。煩わしい思いをせずに家庭を築きたかったのでしょう。異教徒とは絶対に反対されますし、結婚したとしてもいずれ衝突すると思ったのかもしれません。

【ときめかないと結婚できない?】

とはいえ、カズは紹介された女性と会っても「ときめかない」となかなか結婚相手が決まりません。最初は「親が決めた相手なら誰でも」くらいのノリでハードルは低い感じだったのに……。

いっぽう、ゾーイの恋人選びはマッチングアプリ。気に入った男性と次々関係を持ちますが、ピンと来なくてワンナイトで終わってばかり。「数打ちゃ当たる」みたいで好感は持てなかったけれど、彼女も焦っていたのかもしれません。

結婚したいと思っても「出会いがない」ってよく聞くけれど、「結婚」を意識すればするほど理想を抱くようになるから「出会い」が遠のくことはあるかもしれないと、カズとゾーイを見て思いました。

【年下美女と結婚が決定…したのに?】

そんな中、オンラインお見合いで知り合ったマイムーナ(サジャル・アリーさん)と意気投合して結婚を決めたカズ。数回オンラインで話しただけで決めちゃっていいのかと思ったら……。マイムーナは婚約後に本性を表します。

「そんな予感がした」と思いつつも、カズが傷つくんじゃないかと心配しちゃいましたよ。

またゾーイもカズの影響を受けて、母の勧める男性とお付き合いをするようになるのですが、これもまた急展開! 恋愛と結婚は違うと完全に割り切れればいいけど、やっぱりちゃんと心が動かないと。自分の気持ちを偽っちゃダメなんですよね。

カズとゾーイ、それぞれのエピソードを見ながらしみじみ思いました。

「結婚相手を見つける」というテーマに真摯に向き合った映画で、お見合い結婚のドキュメンタリー撮影をしながら、結婚、家族、愛について登場人物が語り合う内容は興味深かったです。2人がどうなるのか、その行方はぜひ映画を観ていただきたい!

ひとつひとつの言葉が刺さり、観終わったあとにも思い出すラブストーリーの良作……おすすめです!

執筆:斎藤 香(c)pouch
Photo:© 2022 STUDIOCANAL SAS. ALL RIGHTS RESERVED.

『きっと、それは愛じゃない』
(2023年12月15日よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー)
監督:シェカール・カプール
配給:キノフィルムズ
出演:リリー・ジェームズ、シャザド・ラティフ、シャバナ・アズミ、エマ・トンプソン、サジャル・アリー

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