中村勘九郎、父・勘三郎さんの素顔を回顧 畏敬の存在から良き祖父へ「“孫パワー”は本当にあるんだな」

0

2024年02月15日 12:41  ORICON NEWS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ORICON NEWS

父・勘三郎さんの素顔を回顧した中村勘九郎 (C)ORICON NewS inc.
 歌舞伎俳優の中村勘九郎(42)と中村勘太郎(12)親子が15日、東京・京橋にある「江戸歌舞伎発祥之地」記念碑前で、現在歌舞伎座で開催している中村勘三郎さん(享年57歳)の十三回忌追善興行『猿若祭二月大歌舞伎』の取材会に参加した。

【動画】中村勘九郎、バレンタインで息子・勘太郎のモテモテぶりに驚き! 負けじと過去の自慢披露「僕はトラック2台分」

 今年は江戸歌舞伎の誕生400年、十八世勘三郎の13回忌となり、夜の部では、江戸歌舞伎の発祥を題材とした中村屋ゆかりの舞踊『猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)』が選ばれた。本演目は、勘三郎さんが1987年の初演で主役・猿若を演じ、その後2005年から2021年まで勘九郎が同役を継承。今年の追善興行では、勘三郎さんの孫で勘九郎の長男である勘太郎が初役で猿若を務めている。

 取材が行われた「江戸歌舞伎発祥之地」記念碑は、2005年に18代目の襲名を控えた勘三郎さんが記念碑リニューアル記念の除幕式に参加した場所。江戸歌舞伎の誕生400年、勘三郎さんの十三回忌となる今年、息子と孫が同所にそろった。勘九郎は「江戸歌舞伎が始まって400年。その節目の日にこうやって勘太郎と一緒にこの地にいられることに縁を感じる」と、約20年のときを経ながらも親子三代で同所に立った喜びを噛み締めた。

 そして同役を勘太郎に任せることについて「父が初演した当時は30歳頃でしたし、私が初めて猿若を演じたのも22歳頃なので、正直なところ12歳で挑戦する演目ではないかなと思っていた」と心境も明かしつつ、「勘太郎は本当にけいこ熱心でもありますし、何よりも芝居が好き。そういった熱意を感じた」と太鼓判。「吸収力がすばらしい。お客様のパワーもそうですけれども、共演者の方々からも力をもらって日々進化している。うれしいですね」と、役者としての成長を喜んだ。

 勘三郎さんが亡くなった当時、まだ1歳だった勘太郎は「ほとんど記憶がないです」と言うが、勘九郎が「でも、ありがたいことに毎年のように密着番組が放送されていて、その映像の中で父と一緒にいる光景を見ているので、じいちゃまの存在はだいぶ近くに感じていると思います」と言い添えると、大きくうなずいた。

 続けて勘九郎は、「子供の頃、父はやっぱり怖かったので、こしらえをしているときに側に寄ったりとかっていうのは、なかなかできなかったんです」と、畏敬の存在であったことを吐露。しかし、勘太郎が生まれ「『お祭り』という機嫌のいい演目があるんですけれども、父がその『お祭り』の格好で勘太郎を抱っこしていた」と言い、「自分のときはそういったことがまったくなかったので、ちょっと信じられなかった(笑)。やっぱり“孫パワー”というものは本当にあるんだなって思いますね」と、“孫煩悩”だった勘三郎さんの姿を明かした。

 その後も、勘太郎が生まれたばかりの頃に「虫歯菌が移ってしまうからダメだと言っているのに、どうにかして口にチューをしようとするんです。それを阻止するのが大変だった…。本当に可愛がってくれていたんです」など、ほほえましいエピソードも。

 勘太郎とも勘三郎さんについて話すそうで、「『猿若江戸の初櫓』というお芝居は、父が主演した演目で、私が引き継いで今、彼(勘太郎)がやっているので、そのときの話などを伝えています」と言い、「私も猿若を初役で演じたときは、父からいろいろと指導を受けました。そこで父から教わったことを勘太郎にちゃんと伝えることができるのもうれしいですし、それを吸収して…もちろんまだまだですけれども、日々真摯(しんし)に取り組んでいる姿を見られることも親としてはうれしいですね」と笑顔を見せた。

 そして勘三郎さんに対し、「生きていたらまだ70歳前ですから、普通に舞台に立っていたと思うんです。だから、勘太郎の猿若もそうですし、弟の長三郎も『連獅子(れんじし)』を今初めて踊っているので、2人の姿を見せたかった。父も一緒に舞台に立ちたかったと思う」としみじみ。

 「でも、父がいたら私が今回『連獅子』を演じること もなかったと思いますので、しっかりと務めたい」と背筋を正し、「江戸歌舞伎発祥400年という節目の公演はめったに見られないですし、そういった節目に父の十三回忌が重なるという機会は今後ありません。記念すべきときにより多くのお客様に足を運んでいただけたらうれしく思います」と呼びかけた。


動画を別画面で再生する



    ニュース設定