大谷翔平の「DH賞4連覇」を阻むライバルは5人 筆頭候補の実力は?

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2024年03月11日 10:40  webスポルティーバ

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 新人王や2度のMVPをはじめ、大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)はこれまでにいくつものアウォードを手にしてきた。なかでも「エドガー・マルティネス賞」は、2021年から3年続けて受賞している。

 このアウォードは、シーズン最高のDHに贈られる。ア・リーグがDHを導入した1973年に「アウトスタンディングDH賞」としてスタート。2004年からエドガー・マルティネスの名前を冠し、「エドガー・マルティネス・アウトスタンディングDH賞」となった。以降は、すべてDH賞と表記する。

 選ばれるのは、両リーグでひとりだ。各チームのビートライター(番記者)、ブロードキャスター、広報部長の投票により選出。シアトル・マリナーズひと筋に2004年までプレーしたマルティネスは、1995年、1997年〜1998年、2000年〜2001年に受賞している。

 ナ・リーグは短縮シーズンの2020年にDHを採用し、翌年はDHなしに戻したものの、2022年から再びDHありとした。大谷は2021年にア・リーグのDHのなかから選ばれ、2022年と2023年は両リーグのDHのなかから選出されたということになる。

 大谷の受賞3度は、デビッド・オルティーズの8度(すべてボスソン・レッドソックス時代)とマルティネスの5度に次ぎ、ハル・マクレー(1976年、1980年、1982年/カンザスシティ・ロイヤルズ時代)と並ぶ。3年連続の受賞は、史上ふたり目。オルティーズは2003年〜2007年に5年続けて選ばれた。あとの3度は2011年と2013年、現役最後の2016年だ。

 今シーズンのDH賞で、大谷の「4連覇」を阻む選手がいるとすれば、筆頭候補はヨルダン・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)だろう。過去3年の合計スタッツは、大谷が打率.277と出塁率.379、124本塁打、OPS.964。アルバレスは、打率.291と出塁率.385、101本塁打、OPS.958だ。

【DH賞を受賞している現役選手は現在2名だけ】

 大谷とアルバレスの打率、出塁率、OPSはほぼ同水準。ホームランは大谷が23本(年平均7.7本)多いものの、打数も203多い。ホームラン1本あたりの打数は、大谷が13.1、アルバレスは14.0なので、その差は1打数に満たない。過去3年、シルバースラッガー賞のア・リーグDH部門は、大谷→アルバレス→大谷の順に受賞している。

 アルバレスの懸念材料は、ケガとポジションだ。3年連続30本塁打以上ながら出場145試合のシーズンはなく、昨年の欠場は50試合近かった。また、出場の30〜40パーセントはDHではなく、レフトを守っている。チーム事情により外野手として出場がさらに増えると、どんなに打ちまくっても「DH賞にふさわしいのか?」という疑問が生じる。

 大谷とアルバレスに次ぐ候補は、これまでの実績からすると、カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)、マーセル・オズナ(アトランタ・ブレーブス)、ホルヘ・ソレア(サンフランシスコ・ジャイアンツ)に、ジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)といったところだ。

 シュワーバーは過去2年、どちらも大谷より多くのホームランを打っている。2022年が46本、2023年は47本だ。ただ、打率が.218と.197と極端に低く、四球率は高いにもかかわらず、出塁率は.350に届いていない。OPSも.830未満だ。昨年は「打率1割台で40本塁打以上」という史上初の記録を打ち立てた。

 オズナは大谷の連続受賞が始まる前、2020年にDH賞を手にしている。この年は打率.338と出塁率.431、OPS1.067を記録し、18本塁打と56打点で二冠王となった。DH賞を受賞したことがある現役選手は、オズナと大谷のふたりしかいない。現時点でナ・リーグの受賞者は、オズナだけだ。

 4年前は短縮シーズンながら、昨年は40本のホームランを打ったように、オズナのパワーは本物だ。また、オズナには有利な点もある。ブレーブスには強打者が多く、相手の投手はオズナだけを警戒するわけにはいかない。ブレーブスは点ではなく線の攻撃で、投手にプレッシャーをかけることができる。

 昨年、ブレーブスでは5人が30本塁打以上を記録した。2019年のミネソタ・ツインズに続く、史上2組目の「30本塁打クインテット」の誕生だ。オズナ以外の4人は、マット・オルソンが54本塁打、ロナルド・アクーニャJr.が41本塁打、オースティン・ライリーが37本塁打、オジー・アルビースは33本塁打。彼らは今年もブレーブスのラインナップに揃う。

【移籍を挟んでDH賞を連続受賞した選手は過去ふたり】

 もっとも、強力打線はドジャースにも当てはまる。ムーキー・ベッツと大谷とフレディ・フリーマンのみならず、マックス・マンシーやテオスカー・ヘルナンデスも擁する。

 ソレアは2019年に48本塁打を記録し、そこから不振とケガを経て、昨年は36本のホームランを打った。今オフにFAとなってナ・リーグ西地区の球団と契約を交わしたことは、大谷と共通する。

 ちなみに移籍1年目のDH賞受賞者は、延べ50人中15人を数える。1973年に初代の受賞者となったオーランド・セペダ(レッドソックス)や、2020年のオズナもそうだ。1991年のチリ・デービス(ミネソタ・ツインズ)、1992年のデーブ・ウィンフィールド(トロント・ブルージェイズ)、2010年のブラディミール・ゲレーロ(テキサス・レンジャーズ)は、ロサンゼルス・エンゼルスから他球団へ移った1年目にDH賞を受賞した。

 1985年〜1986年のドン・ベイラー(ニューヨーク・ヤンキース→レッドソックス)と1989年〜1990年のデーブ・パーカー(オークランド・アスレチックス→ミルウォーキー・ブルワーズ)は、DH賞→オフに移籍→DH賞だ。

 スタントンのパワーについては、説明不要だろう。2017年は、60本塁打にリーチをかけた。ケガが多く、昨年は24本塁打にとどまったが、今年は健康維持と復活を図り、体重を大幅に減らしている。

 DH賞の本命が大谷であることは、間違いない。とはいえ、たとえば、大谷とアルバレスが同水準の成績を残し、大谷の数値が昨年の自身より下がり、アルバレスの数値が昨年の自身より上がった場合、ダウンとアップの印象からDH賞を受賞する可能性はアルバレスのほうが高くなるだろう。

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