近年、健康意識の高まりにより、白米よりも“大麦”の注目度が上がっているという。中でも食物繊維の含有量が多い“もち麦”はスーパー等のお米売り場でも多数陳列されており、コンビニのおにぎりで「もち麦入り」商品を見かけることも多くなった。もちろん健康を考えて選ぶ人が増えているが、商品が増えているのには他の理由もあるという。穀物製品を製造・販売する「はくばく」に話を聞いた。
【画像】おにぎりだけじゃない! リゾットや中華粥もおいしい“もち麦レシピ”
■生活習慣病の予防と改善に、“もち麦”ってどんな食材?
2010年代後半から、テレビ番組などで大麦の健康効果についての報道が増え、一気に大麦市場は拡大した。もち麦は、大麦の中でも水溶性食物繊維を豊富に含み、もちもちぷちぷちとした食感も人気の理由のひとつとなっている。
もち麦に多く含まれるβ-グルカンは、血中の悪玉コレステロール低下する作用、血糖値の急な上昇を抑制する作用が、世界中の研究者たちにより明らかになっている。そのため生活習慣病(脂質異常症、2型糖尿病)の予防・改善効果が期待されている。
もち麦は白米に混ぜて食べるなど主食として利用することができるため、生活習慣病対策が手軽にできる食材に適している。ます。
もち麦の健康効果の注目により、昨今コンビニ各社のおにぎりにも“もち麦入り”商品を見かけるようになった。「はくばく」の手塚俊彦さんによると、健康志向以外にもち麦商品が増えた理由があると言う。
「ひとつは、もち麦の持つ“保水性”です。冷蔵、冷凍耐性が精白米より高いので、品質に対する価値が高いと言えます」
もち麦は精白米と比較して、水分を保持し続ける効果(保水性)が優れている。そのため、レンジアップする際に精白米より固くなりづらく、冷蔵品にしても固くならない。また、もち麦入りのごはんは時間がたっても、パサつかず、美味しく食べられるのもポイントだ。「はくばく」で、冷蔵保管したもち麦の保水性の試験を行なったところ、精白米に比べもち麦は離水しにくいことがわかったという。
実際に、コンビニでの取り扱い商品数や出荷量も増加傾向にあるという。
「弊社業務用の出荷量は2021年比135%で伸びています。おにぎりだけでなく、スープやサラダなどにも、もち麦を活用いただいております。もち麦を入れることで、“もちぷち食感”が加わり満足感のある一品になること、ソース絡みが良い点などが評価されている理由です」(手塚さん/以下同)
もう一つの理由は「おいしさの価値」だと手塚さん。もち麦の第1次ブームは、ダイエットに関心の高い女性ユーザーがけん引し、売り上げも伸びていった。引き続き、女性からの支持も高いが、第2次ブームとなる今は“筋トレブーム”を背景に男性ユーザーが牽引しているそうだ。
近年、筋トレ系のインフルエンサーがYouTube等でボディメイク食として“もち麦”を紹介するケースが増加。それにより、男性の購買率(特に30〜40代)が上がっているという。
加えて、食べ方にも広がりが。もち麦の特性として、白米に比べて粒と粒の間にできる空気の層が大きく、タレが入り込みやすいため、短い時間でタレがご飯と混ざり合い、おいしく味わえる。白米と混ぜて食べるだけでなく、最近では中華やイタリアンといった食ジャンルの拡大も広がっている。
特にリゾットにするとソースが一粒一粒に絡みやすく、かつアルデンテに仕上がる。中華粥は煮込むことでうまみをたっぷりと吸いながらも、もち麦の特徴であるぷちぷちとした食感も残り、スープ、主食、両方で満足のある一品に。実際、コンビニ等のスープ系商品へも、もち麦採用が広がっている。
「健康志向ユーザーを捉えながらも、もち麦の食感とおかずとの相性が男女問わず受け入れられ、様々な商品に採用をいただいております」